People's China
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出会いを大切にしたい

雲南省麗江の虎跳峡で大自然を満喫している筆者
森澤亜衣
1987年、高知県生まれ。2009年三月から大学を休学し北京の中国青年政治学院に1年間留学。2010年4月からは神戸の大学で大学生活最後の1年を送る。

2009年3月1日、神戸から天津まで2泊3日の船旅を経て、中国に着いた。今回中国に来るにあたり、この一年を特別なものにしたいと思っていた。一年間の海外留学で、積極的に現地の人と交流し、一生付き合っていけるような友達を作りたい。少しでも早く深く交流できるように中国語の勉強も毎日コツコツと努力していこう。島国日本を出るのだから日本ではできないことを経験し、広い世界をこの目で見よう。そんなことを思っていた。

日本では、中国語とは全く無縁の学科に通っていたため、中国語はさっぱりだった。知っている言葉と言えば「ありがとう」と「さようなら」くらいのものだった。しかし、そんな私に対して船の中で出会った中国人の人達はとても親切に、自己紹介の仕方や数の数え方など、簡単な中国語を教えてくれた。日本と中国は飛行機で3時間ほどの距離で、あっという間に行き来することができる。確かに便利ではあるが、もし飛行機で中国に来ていたら、船の中での出会いや交流はなかった。3時間で行ける所を3日かけて行くのも悪くない。中国人の気さくさや人情に触れた3日間だった。

中国で生活できる時間は限られている。一年間。この一年を有意義にするも無駄にするも、自分次第。夏休みと冬休み以外、日々中国語の勉強に打ち込んだ。中国の大学生は本当に勤勉な人が多い。卒業後、家族のために良い仕事に就けるようにと勉強する。毎日図書館に通い、閉館まで机に向かう。そんな中国の大学生に触発され、日々の勉強に励んだ。中国語がしゃべれるようになると友達とも会話が弾み、相手のことをより知ることができるようになった。その土地の暮らしや文化、現地のことを知るためにはやはり言語は大きな役割を果たす。

夏休みと冬休みには、留学先の北京だけでなく、できる限り他の土地を訪れることにつとめた。一人旅も経験した。夏休みには西安、洛陽、唐山、南寧、桂林、陽朔、冬休みにはハルビン、大連、昆明、大理、麗江、麗水を訪れた。この旅を通して中国人に限らず、沢山の人に出会うことができた。行く先々で出会った人達とおしゃべりをして、その人を知り、自分を知った。

異国の地での生活は、慣れるまでは心細さを感じる時もあった。しかし、そんな心細さは人との付き合いのなかで和らいでいった。日本にいたころ、人との出会いに対して、「運命か偶然かわからないけど、私とこの人は出会った。この地球には何十億という人がいて出会えたのだから、この縁を大切にしていこう」と考えていた。受け身の考えだ。普通に生活をしているうえでの縁であり、自分から求めるわけではなかった。しかし、中国に来て、積極的に外に向かえば自分の興味のある人と出会えることを、経験で知った。

中国での一年で、「人との出会いは人生に欠かせないもの」ということを実感した。人はひとり、しかし人生はひとりではない。人との出会いは人生を豊かにする要素の一つだ。人は人を求め、愛を求めていることに気が付いた。私自身も愛を求めている。しかし、求めるだけでなく与えられる人でありたいと思う。中国で多くの人からもらった愛を、今度は私が表現する番だ。

 

人民中国インターネット版 2010年8月23日

 

 

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