[第14回東京ー北京フォーラム] 報道で相手国の理解深める

2018-11-23 10:53:12

メディア分科会では、中日両国のベテランマスコミ関係者やジャーナリスト、メディアコミュニケーション研究者ら20人が、「変動するアジアや世界の政治経済で問われるメディアの役割」というテーマをめぐって、積極的な討論と率直な交流を展開した。

メディアの進歩と問題

最新の中日共同世論調査によると、両国民の相手国および中日関係に対する評価は引き続き好転し、積極的な態度が現れている。中国人民大学新聞学院院長で元国務院新聞弁公室主任の趙啓正氏は次のように述べた。両国民の相手国に対する印象の改善は、政治的環境や経済的要因と関係がある一方、両国メディアも重要な役割を果たした。調査によると、866%の中国人が中日関係の改善や両国民の相互理解の促進に対する中国メディアの貢献を認めた。日本メディアが発信した中国関連の報道もより多様化し、一部の日本メディアが歴史の真相を客観的かつ公正に報道したことがメディアのあるべき責任を表していると、中国人から賞賛された。

メディアの進歩を認める一方、パネリストたちはメディアが直面している解決すべき問題を提起した。中国中央テレビ局コメンテーターの白岩松氏は次のように述べた。「私は日本と10年以上の縁があり、日本の優れたところと不十分な点をよく知っている。しかし報道する際、私はなるべく日本の優れたところを紹介する。なぜなら、日本を鏡にして中国をより良くさせたいからだ。日本メディアが中国関連のネガティブな報道をすることは注目度向上につながるかもしれないが、日本の若者たちが外の世界に対し好奇心を持たなくなり、自分の世界に没頭する恐れがあり、最終的には日本に対し良くない影響を及ぼすかもしれない」。香港フェニックステレビ東京支局長の李淼氏は次のように述べた。日本メディアは時に外国人、特に中国人を色眼鏡で見る。外国メディアに対し日本は閉鎖的で、記者の取材環境を向上させるべきだ。NHK国際放送局多言語メディアチーフプロデューサーの山田賢一氏は次のように強調した。一部のメディアの報道で客観性に欠けているのは相手に対する「無知」が原因であり、相手国を全面的に理解することがメディア関係者の必修科目だ。

協力の新たなルート

両国メディアの報道の現状をいかに改善するかについて、パネリストたちは次々と提言具申を行った。経済日報東京支局長の蘇海河氏は次のように強調した。ポジディブであれネガティブであれ、報道には客観的な真実性が重要だ。ニュースは評論ではなく、記者がやるべきことは現場で確かめることで、事前に設定した論点にふさわしい内容を探すことではない。共同世論調査で「分からない」という答えの割合が高かったことに対し、中国社会科学院日本研究所研究員の金嬴氏と中国日報社副総編集長の王浩氏は次のように述べた。これはメディア報道の不十分さと一定の関係があり、両国民に相手をより理解してもらうため、メディアは相手に関する報道をより多くし、より幅を広げていくべきだ。

両国メディアの将来の協力に対し、多くのパネリストが提案した。東京と北京は2020年夏季オリンピックと2022年冬季オリンピックを主催することになっているが、北京冬季オリンピック組織委員会報道宣伝部部長の常宇氏は次のように述べた。両国のマスコミは相手国で継続的で安定した取材活動をしたり、共同で話題を取り上げる取材メカニズムを構築したりして、オリンピックという場を通じて、国家文化の物語を伝え、国民感情を増進することができる。人民中国雑誌社総編集長の王衆一氏は次のような意見を述べた。両国メディアが共に関心を寄せる話題に対し、合同取材やメディア協力を効果的に展開し、相手国のメディアが自国で掘り下げた現場取材をすることを助けるメカニズムを構築する可能性を探るべきだ。

パネリストたちの透徹した見解(7)は分科会に参加した聴衆の共感を呼んだ。創価大学に留学中の詹伊瞳さんはメディアに関心を持っている。彼女は、自分たちの報道によって中日両国民の感情を増進しようというパネリストたちの姿に感動し、メディア関連の研究に打ち込む決意をより固めた。フォーラムに数回参加したことがある田中さんは次のような感想を述べた。パネリストたちの素晴らしい発言を聞いてやる気が湧いてきた。今後は聴衆がパネリストと直接交流できる機会を増やしてほしい。メディア業界に長年携わってきた島影さんは次のような感想を述べた。フォーラムは両国のメディア関係者に虚心坦懐に本音を話す場を提供している。一部の問題にかみ合わないところがあるとしても、これからより踏み込んだ交流をすれば、双方が相互理解を果たせると思う。(段非平=文)

 

人民中国インターネット版 201811

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