特集 改革開放40年 世界と共に未来築く輸入博

2018-12-17 11:23:22

上海は1843年に開港して以来、伝奇的な色彩に満ちた都市であり続けた。「東方のパリ」とたたえられた上海は、その国際的色彩によって、世界の人々が中国を訪れる際の窓口になった。1990年、改革開放の深化に伴い、上海は新たな重要な発展のチャンスを迎えた。浦東の開発である。28年にわたる発展を経て、浦東新区は数多くの国際金融機関が集まる場所になり、以前の田園風景は一気に「東洋のマンハッタン」へと変わった。こうして、上海は世界的に有名な金融センターになった。2013年9月、上海自由貿易試験区が浦東に設置され、そこは、よりゆとりがあって便利なビジネス環境(1)で、開放の拡大を模索する中国の新モデルとなった。

 上海の発展の変遷を振り返ると、その伝奇物語は開放によるものだが、その開放もまた中国が世界に溶け込んでいることの縮図である。

改革開放40周年の今年、172の国地域と国際機構が参加し、3600社余りの各国企業が出展した第1回中国国際輸入博覧会(以下、輸入博)が上海で盛大に開かれた。115日の開幕式で、習近平中国共産党中央委員会総書記、国家主席、中央軍事委員会主席は世界に向けて、中国が新たな高いレベルの対外開放の推進を見据えていることを宣言し、改革開放を堅持する中国の自信と決意を示した。

より大きな市場を開く

115日から10日まで、6日間にわたった輸入博の会期中、30万平方メートル近い展示ホールには、世界各地から40万人以上のバイヤーが集まった。彼らは鋭い目でビジネスチャンスを探し、一刻を争うように各種の問い合わせ、商談、契約締結を行った。売り手と買い手のどちらにとっても、輸入博はまるで扉を開いた「宝物庫」のようで、巨大なビジネス利益が彼らに手を振っているように感じられた。

習主席が開幕式の基調演説で指摘したように、今回の輸入博の開催は、中国が新たな高いレベルの対外開放を見据えて行った重大な意思決定であり、中国が進んで世界に向けて市場を開放した重大な措置だ。輸入博は現時点で世界初の輸入をテーマとした国家レベルの展示会で、国際貿易発展史上の創造的な取り組みである。

世界経済の大きな調整、保護主義と一国主義の台頭、リスクと試練の深刻化に直面して、輸入博を開催したことは、多国間貿易体制を支持し、自由貿易の発展を推進するという中国の一貫した立場を体現した。それは、中国が開放型世界経済の構築を推進し、経済グローバル化を支持するための実際の行動だった。

習主席は演説の中で、輸入の潜在力を呼び起こし、持続的に市場参入(2)を緩和し、国際的に一流のビジネス環境を整え、対外開放の「新高地」を作り出し、多国間二国間協力の高度な発展を推進するという五つの実務的措置を打ち出し、中国の改革が途絶えず、開放が止まらないという揺るぎない決心を世界に示した。

また、習主席は国際社会に向けて、各国がより大きな勇気を出して、積極的に開放協力を推進し、共同発展を実現すべきだと呼び掛け、開放協力のための「三つの堅持」を打ち出した。すなわち、①開放融通を堅持し、互恵協力の余地を拡大すること②イノベーションによる先導を堅持し、新旧原動力の転換(3)を加速すること③包容普遍的恩恵(4)を堅持し、各国の共同発展を推進すること、である。

習主席が強調したように、人類社会が持続的に進歩するには、各国は閉鎖でなく開放を、対抗でなく協力を、独占でなくウインウインを堅持すべきだ。この「三つの堅持」には、各国との共同発展を実現したいという中国の真摯な気持ちが表れている。その発想を踏まえたからこそ、「新時代 共通の未来」が今回の輸入博のテーマになったのだ。

元中国商務部副部長の魏建国氏は次のように分析した。「習主席が演説において宣言した新たな高いレベルの対外開放は、過去40年と比べて、いっそう戦略的な高みに立つものだと思う。第1回中国国際輸入博覧会は1本のマッチのように、中国の巨大な市場ニーズを照らすことで、各国の経済発展の潜在力を燃え立たせるだろう」

国際社会も習主席の演説に積極的な反応を示した。磯﨑仁彦経済産業副大臣は次のように述べた。「習主席は中国がさらに市場を開放することを強調し、中国が引き続き対外開放を拡大する意志を示した。これは日本企業にとって絶好のビジネスチャンスだ。今回の博覧会が日中の経済貿易協力により大きな活力を注ぎ、両国民の友好と交流をより促進すると信じている」

ジャン=ピエールラファラン元フランス首相は、会場で取材を受けた際に次のように述べた。「保護貿易主義の台頭を各国が懸念している中、習主席の演説は、多国間主義と自由貿易を支持する中国の断固とした立場を示した。これは富をつくり発展を実現する『大通り』であり、大多数の国家の共通認識でもある。世界の平和と発展は、力をもって弱者をいじめることではなく、各国の協力によって実現すべきだ」

英国の国際会計事務所アーンストアンドヤング社グローバル副主席のジェイニブ氏は次のように述べた。「習主席の演説からは、中国の大志が見えた。それはさらに改革開放を進め、中国の発展を加速するだけでなく、一部の国が『国境の壁』を建設するのと対照的に、より多くの『懸け橋』を架けて、世界の経済協力を加速することだ」

ベラルーシ対外友好協会のニナイバンノバ主席は次のように述べた。「習主席の演説が示したように、中国は自国経済の強力な成長を維持していると同時に、門戸を閉じるのではなく、より広げようとしている。これは世界経済の成長と他の国々の発展の促進に重要な意味を持っている」

英国リバプール市のジョーアンダーソン市長は、習主席が演説で対外開放のさらなる拡大を約束したことについて次のように高く評価した。「中国は従来から国際貿易に積極的に参加しており、リバプール市はそのことから多くの利益を受けている。上海など中国の都市と結んだ友好関係が、われわれに大きな富をもたらした。今後は英中の『黄金の時代』がもたらすチャンスをしっかりとつかみ、中国との関係を深めたい」

ロシア紙『イズベスチヤ』はウェブサイトで次のように報道した。「中国の指導者が世界各国の指導者たちに信じてもらいたいのは、いかなる貿易戦争でも、北京が経済開放とグローバル化の道からはずれることはなく、中国市場の『門』も閉じることはなく、逆に全世界に向けていっそう開け放たれる、ということだ。この約束は決して空手形ではない。輸入博がその顕著な証しだ」。シンガポール紙『聯合早報』は、「第1回中国国際輸入博覧会の開幕式で習主席は、グローバル化と開放の旗印を高く掲げ、中国が互恵ウインウインの開放戦略を揺るぎなく実行し、高水準の対外開放を推し進める歩みを止めないことを強調した」と報道した。フランス紙『フィガロ』は、今回の輸入博を高く評価し、「欧州全体が、中国が市場をさらに開放することを望んでいる」と記した。米テレビ放送局CNBCは、「中国は、世界の商品の主な消費国としての地位を引き上げるだろう。今回の輸入博は、中国が対外開放の方向へ進んでいることを証明しており、歓迎されるべきだ」とコメントした。

協力の中で未来を共有

輸入博の開催期間中、上海のあちこちで四つ葉のクローバーを持ったかわいらしいパンダのキャラクターを見掛けた。これは本輸入博のマスコットキャラクター「進宝」だ。この名前には「進口(輸入)博覧会の宝」という意味が込められており、「招財進宝(財宝を招き寄せる)」という願いも込められている。「進宝」が手にしている四つ葉のクローバーは幸福の象徴だ。また、今回の輸入博の会場である上海国家エキシビションコンベンションセンターも四つ葉のクローバーの形をしている。サッカー場38個分に相当する巨大な「四つ葉のクローバー」で行われる博覧会で、各国企業は協力を結び、富を生み、幸せを分かち合った。

世界からやって来た3600社余りの出展企業の中には、米国のクアルコム、ゼネラルエレクトリック、ジョンソンエンドジョンソン、デュポンなど200社余りのフォーチュングローバル500の企業や各業界のトップ企業、そして数多くの中小企業がいた。出展された製品の数は数万点にも上り、サービス貿易、ハイエンドスマート設備、自動車、医療器械、医薬保健、生活家電、服飾、日用品、食品、農産物など各分野を網羅した。そのうち5000点以上の製品は中国初上陸のものであり、会場には100を超す新技術が展示された。

展示エリアでは高さ8、バスケットコート半分の面積に相当する「牡牛座」と呼ばれるドイツ製の「プラノミラー」(プレーナー形フライス盤)、2億元相当のイタリア製のドクターヘリ、羽を広げ空を飛べるスロバキア製の自動車、人間とコミュニケーションが可能な日立製のロボットを間近で見られ、スペインのハム、フランスのワイン、ニュージーランドの乳製品、アフリカのカカオパウダー、スリランカの紅茶、ロシアのキャビアなどを実際に試食できた。このような展示物の他に、マイクロソフトの革新的な理念を聞くことも、カタール航空の上質なサービスを受けることもできた。エリアには目移りするような展示物があまりにも多く、その場から去るのが惜しいほどだった。

国別の出展企業数では日本が最多だった。合わせて450社の企業が出展し、展示エリア面積は2万平方を超えた。伊藤忠、不二越、三菱、三井、トヨタ、キヤノン、日立などの大企業もあれば、日本酒、米、つえ、歯ブラシを専売する中小企業もあり、八つのエリアのどこでも日本企業のブースを見掛けることができた。

 多くの日本企業が取材に対し、輸入博に参加した目的や寄せる期待を語ってくれた。花王(中国)投資有限公司の中西稔董事長兼総経理は次のように語った。「輸入博を通じて、中国の消費者に花王製品への理解をますます深めてもらい、花王に対してさらなる信頼感や安心感を持ってもらいたい。目の肥えた消費者がいる中国で成功を収めることができたら、世界でも成功できると信じている」

 高島屋は日本の伝統的な染織工芸を使用した京都の西陣織を展示した。アジア事業部の鈴木大介部長は次のように語った。「今回の輸入博を通じ、より多くの人々に日本の伝統的な染織工芸を知ってもらい、日本の伝統工芸と中国の服飾美学を結合させ、より美しい衣装を生み出したい」

 キヤノンは主にハイエンドスマート医療設備を展示した。出展した目的は、中国市場のニーズの現状とその発展動向を理解することと、より良い技術で中国の全体的な消費レベルを持続的に向上させることだ。

日立はたった2日間で多くの重機関連の発注契約を結んだ。日立(中国)有限公司企業PR部の伊藤昌広総経理は次のように語った。「第三国で協力を展開できる中国のビジネスパートナーを見つけ、共に日中産業協力の空間を広げていきたい」

各企業は独自の期待を抱いているが、皆「匠の心×イノベーション」という共通の精神を持っている。この精神によって、出展した日本企業の製品やサービスはユーザー視点や高品質という特徴を持ち、数多くのバイヤーから注文を勝ち取り、中国市場に受け入れられた。

前出の魏建国氏は、中国が新たなハイレベル対外開放を推し進める背景の下、中日経済貿易協力に「2度目の春」が訪れると考える。消費市場にとって、中国に暮らす4億人余りの中間層の日に日に増大する将来の素晴らしい生活への需要こそ、巨大な購買力だ。中日の経済貿易関係は過去7年間の低迷状態から一転して、回復傾向が現れ始めており、日本はすでに中国との協力に動き出している。魏氏は、来年の中国と日本の貿易額は欧州連合(EU)や米国との貿易額を上回るかもしれないと予測する。

各国企業が積極的に出展し、全力で自社をPRしたのは何のためか。習主席は次のような明確な答えを出している。「中国は13億人余りの人口を有する大市場であり、中国は真摯に各国へ市場を開放する」「今後15年間で、中国は商品とサービスをそれぞれ3010以上輸入する」。また、習主席は世界に向けて次のように発表している。「中国が積極的に輸入を拡大することは便宜的措置ではなく、世界に向け、そして未来に向けて共同発展を促進する長期的な考えだ」

このような巨大なビジネスチャンスは中国のニーズであり、世界が求めるものでもある。

発展続く上海で

1110日、第1回中国国際輸入博覧会が幕を下ろした。わずか6日間で、来場者数は80万人、成約額は578億3000万に達した。人々は成果を携え、名残を惜しみつつ会場を離れたが、まだ期待できることがある。それは、習主席が世界に示した約束だ。中国国際輸入博覧会は、毎年開催していくだけでなく、レベルと成果を高め、ますます良いものにしていかなければならない。「来年の輸入博で会いましょう」。皆、こう言って互いに別れを告げていた。

輸入博開催都市として、上海には、さらに国際化のオーラが加わり、開放拡大を推進するという使命と責任がかかるようになった。

対外開放における上海の重要な役割をより発揮させるため、中国政府は次の決定を行った。すなわち、上海自由貿易試験区の新区域を増設すること。上海証券取引所に科学技術イノベーションボードを開設し、登録制を試行すること。上海が位置する長江デルタ地域の地域統合発展を支持し、国家戦略に格上げすること、である。

復旦大学中国研究院の張維為院長は次のように分析する。「輸入博がもたらした人の流れ、物の流れ、情報の流れ、市場の集中効果は、上海が、中国の金融の中心、経済の中心、水上運輸の中心、貿易の中心、科学技術イノベーションの中心になることを強力に推進するだろう。そうして、国際競争力が全面的に高まり、上海は『全世界の商品の売買ができる』最大の舞台として、全中国、全世界に貢献していく」

輸入博の開幕式で、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は中国が懸け橋を架けることに長じていると高く評価し、次のように述べた。「中国は前後して世界のために、三つの懸け橋を架けた。最初の一つは40年前で、改革開放によって架けた世界につながる橋だ。それは数億人の中国人民の生活を変え、自国のモデルチェンジを実現しただけでなく、間接的に他国人民の生活にも寄与し、世界経済のモデルチェンジを後押しした。二つ目は繁栄につながる橋で、今回の輸入博こそ、一つの契機であり、中国が世界貿易構造の転換を推進することを示唆しており、中国にも、世界にも有益なことだ。三つ目は未来につながる橋だ。各方面が経済貿易紛争を緩和し、十分に国際貿易協力の力を利用し、世界貿易体系を修復し、世界経済の崩壊を回避することを、この場で呼び掛けたい。12の橋を有する上海で、新たな協力の幕が開かれることを望む」

輸入博から、開放を拡大する中国の決心が見いだせるというなら、上海の発展からは、中国が改革の深化にかける力の強さが感じられる。この二つを合わせると、自らの発展と世界の繁栄とを同一視する、中国の胸の内と責任感が見えてくる。長江の流れを背に、大海に臨む上海で、中国は世界と、ますます固く手を握り合っていく。(沈暁寧=文 )

 

人民中国インターネット版 2018127

 

 

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