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チョモランマに灯る聖火 五輪を機に観光誘致を拡大

 

ポタラ宮前の大通り

ジョカン寺の前で記念写真を撮るラマ僧たち

古い歴史をもち、神秘的な地であるチベット自治区は、はるか昔から、探検家たちにとってあこがれの地だった。だが、変わりやすい気候や環境、不便な交通事情により、足を踏み入れることをあきらめた人も多かった。

 

2006年7月、青藏(青海・チベット)鉄道が開通。これにともない、いまでは国内外からたくさんの観光客がやってくるようになった。

 

今年は、北京五輪の聖火が世界最高峰のチョモランマに掲げられる。チベットはこれを機に、チョモランマ観光の誘致に力を入れている。

 

年間観光客数が400万人に増加  

 

おだやかな風が吹き、うららかな日ざしがそそぐ4月のラサ。ポタラ宮は青い空と白い雲にひきたてられ、より雄壮な姿をみせている。ポタラ宮前の広場は、巡礼にきたチベット族の人々や観光客でにぎわう。

 

今年66歳のチアンバ・ゲサンさんは、20年以上にわたってポタラ宮の管理に携わってきた。ポタラ宮のことなら、隅から隅まで知っている。「ポタラ宮は世界遺産ですので、ラサに来る人のほとんどがここを訪れます。ここ数年、参観者が急に増えたため、一日の入場者を最高で2300人、参観時間は一人一時間と制限しました」と話す。

 

中国西南部の辺境に位置するチベット自治区には、ポタラ宮、ジョカン(大昭)寺、タシルンポ(扎什倫布)寺など名高い人文景観や、ヤルツァンボ(雅魯藏布)大峡谷、ナムツォ(納木錯)湖など美しい自然風景がたくさんあり、それに神秘的なチベット文化も加わって、多くの人々を惹きつけている。

 

外国人観光客に大人気のバルコル

青藏鉄道の開通により、チベット族の人々や各地の人々の交通の便は大幅に改善された

 

青藏鉄道の開通後、中国のほかの地域からチベットまでの距離は大幅に縮まった。統計によると、改革・開放以前の20年、本当の意味でチベットを訪れた観光客はわずか26人だった。改革・開放が始まったばかりの1980年も1089人。しかし2007年には、観光客数は402万人に達し、観光収入も48億元にのぼった。これはチベット自治区のGDPの14.2%を占める。現在、開放している観光地は300カ所以上におよぶ。

 

観光業の急速な発展は、チベット族の手工業にとっても大きな商機となった。1000年以上の歴史をもつ宗教画「タンカ」は、制作過程が非常に複雑で、一枚の普通のタンカを制作するのに十数日かかる。しかも顔料は、金や銀、メノウ、真珠、サフランなど、すべて天然の鉱物や植物を材料としているため、その価値はとても高い。そこで、かつては寺院や身分の高い人の家にしか祭られていなかった。

 

しかしいまでは、ラサの繁華街・バルコル(八廓街)だけでもタンカの工房が数十軒ある。職人たちはすでに伝承が途絶えてしまったタンカ作りの技術を懸命に探索している。

 

ほかの民間手工業の職人たちも以前の事業を復興させ、伝統の民族手工芸品を制作している。年取った職人が子どもに技術を伝える。こうすることで、途絶えようとしていた手工芸が再び伝承され、発展するようになった。

 

五輪チョモランマ観光

 

「私たちは世界の登山界の奇跡をひとつ、またひとつと生み出しています。北京オリンピックの到来を心から期待しています。オリンピック聖火のチョモランマ登頂は、私たちチベット族が待ち望んでいることです。とてもうれしく、誇りに思います」と、チベット登山界の代表的な人物であるゴンポさんは、興奮して語った。 聖火のチョモランマ登頂にともない、チョモランマ観光の人気も高まっている。 チョモランマのふもとにあるティンリ(定日)県ザシゾン(扎西宗)郷には、観光客に衣食や交通のサービスを提供する現地の農牧民が数百人いる。彼らはチベット式の民宿を営み、みやげ物を売り、登山の手伝いを引き受ける。とくに、標高5200メートルのチョモランマ大本営から標高6500メートルのベースキャンプまで荷物を運ぶ仕事は、彼らにとって大きな収入源だ。

 

バルコルにあるタンカの工房

ジョカン寺へ参拝に訪れたチベット族の人々

 

標高8844メートル、世界最高峰のチョモランマは、いくつかの壮麗な雪峰に囲まれている。標高5100メートルの地には、「世界で標高がもっとも高いところにある寺院」といわれるニンマ派の古刹、ロンボク(絨布)寺がある。

 

チョモランマ国家級自然保護区には、高等植物が2300余種、動物が270余種生息し、そのうち国家重点保護動物は33種だ。ユキヒョウ、クロヒョウ、アッサムモンキーなど希少な野生動物も多く生息している。

 

改革・開放以来、とりわけ2000年以来、チョモランマは多くの観光客をひきつけ、毎年春と秋の登山シーズンには、国内外からたくさんの人たちがザシゾン郷を訪れる。このため、同地の農牧民の収益は年間300万元近くにのぼる。07年、チョモランマ観光区が受け入れた観光客数は4万人以上、観光収入は約2600万元だった。

 

「オリンピックの聖火リレーがチョモランマを登頂すれば、この美しい場所を多くの人に知ってもらえる。オリンピック前後は、ここを訪れる観光客も大幅に増えることでしょう。チョモランマ観光は新しい流行になります」とチョモランマ大本営の連絡員であるサンジュさんは話す。

 

これを機に、チベットは「オリンピック聖火がチョモランマを登頂 オリンピック観光は世界の頂」という五輪観光商品を出した。観光部門は、「五輪チョモランマ観光」の観光ルートを三本打ち出している。( 張春侠=文 馮進=写真)

 

 

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