――ロマンチックなモクセイ観賞の旅

上海徐匯区観光局＝文・写真提供

黄金の秋にモクセイを観賞するのは、五代（907～960年）から始まったという。花見をしながら、モクセイ酒を飲んだり、モクセイ餅を食べたりする風俗は、今では中国の長江デルタ地域まで広く伝わっている。

上海市の徐匯、青浦と浙江省の杭州、および江蘇省の南通が共同主催した「モクセイ観賞の旅」は、すでに長江デルタ地域の代表的な観光コースとなり、モクセイ観賞の由来と、モクセイに関わる伝説とその文化などを結びつけた。お茶を飲みながら花見をしたり、詩を詠んだり絵を描いたり、また舟で潮の奔流を見たり、名所を見物したり、ショッピングすることもできる。

 【徐匯　中秋名月が映る花見】

　徐匯区桂林路128号の桂林公園は、上海市内唯一の江南古典園林であり、モクセイで有名である。ウスギモクセイ、ギンモクセイ、キンモクセイと四季モクセイという四種類、23品種のモクセイが千本以上ある。もっとも美しい時期は中秋節で、満開のモクセイの香りが園内に溢れる。凌雲亭や四教庁など趣のある小さな東屋で、モクセイ茶を入れ、何人かの友人を誘って世間話をしながら、香りを楽しみ、花見をするのは、実に趣きがある。もし、みなと一緒に黄家花苑や桂林公館で、モクセイ宴を催しさらにモクセイ酒を加えれば、人生の最高の喜びといってもよい。 　

濃厚な香りを放つキンモクセイ	四教庁では人々が緑茶を楽しむ姿も見られる

名月の夜、桂林公園に来れば、「唐韻中秋」をテーマとした伝統的な大イベントが行われる。モクセイ入り砂糖菓子、モクセイ餅などを食べ、さらに園内特製のモクセイ香水を買って帰り、または親戚友人に贈れば、心のこもったモクセイのよしみを伝えることができるだろう。 　

上海南駅のそばにある上海植物園は、金秋の季節にはモクセイ園一面が海のように次から次に咲くモクセイの花で覆われ、植物園の目玉となる。

【杭州　モクセイの香り満ちる街】 　

モクセイは杭州の市の花で、秋になると香りが街に溢れる。とくに満隴桂雨公園のモクセイ千本が同時に咲きほこる季節になれば、モクセイの林を歩くと、花が雨のごとく降り注ぎ、モクセイの香りを体いっぱいに浴び、まさに人を酔わせる。モクセイレンコン菓子、あの西湖のレンコンで作ったもち米入りレンコンを一口食べてごらんなさい、爽やかな香りのモクセイシロップをつけると、色と艶が人を誘うかのようで、後味がいつまでも忘れ難い。もう一つ甘くておいしいモクセイ栗のおつゆを飲み、美味なごちそうを味わい、西湖の美景を愛でつつ、枝先のモクセイの香りを楽しめば、景色、ムード、味の三拍子が揃う完璧な組み合わせになる。 　

上海市植物園	杭州市満隴桂雨公園

杭州植物園内の「キンモクセイ王」は、モクセイの中のナンバーワンと見なされ、2000本余りのモクセイはそれを取り巻き、大いに賑わい、香りが植物園全体に漂う。

【南通　人、絵画の中に遊ぶ】　 　

秋には、モクセイの花が南通市を覆う。

山は高さに在らず、モクセイ有りて則ち名あり。狼山に狼はなく、仏に因みて名を得る。ところがモクセイに花あれば、狼山のモクセイは香りで人を酔わせ、心を陶酔させる。仏教で言う「一花一世界（それぞれの花にそれぞれの世界）」。狼山でモクセイの花見を楽しめば、花びらの中に一体どんな世界が包まれているか、どれだけ多くの心が通っていたか…を覗かざるを得ないだろう。 　

川は深さに在らず、モクセイ有りて則ち美あり。濠河の美しさは、もとより「翡翠のネックレスのよう」と称えられる。青い波の漂い、一面に漂う金モクセイの香り。のんびりと舟を浮かべ、千年の古刹の鐘の音を聴く。万籟寂として声なく、心も水の如く静かで、まるで「絵画の↖中に遊ぶ」といった奇妙な心境に浸る。

【青浦　タイムスリップの旅へのいざない】

青浦の秋は、まるで詩や絵のような美しい江南の風景である。唐代の古塔、宋代の古橋、明代の古寺。澱山湖のさざ波が揺れ、鏡のように澄んでいる。「金雪飄香」桂花園、秋満開のモクセイの香りが数里彼方まで漂う。 　

上海市青浦区朱家角の放生橋	江蘇省南通市狼山風景区の龍爪岩

青浦が醸し出しているのは貧家の才女と名門富家の娘の両方を兼ね備えたような気質である。上質で優雅、華麗にして精巧なのは大観園。ゆったりと落ち着いた大気、万象を包み込むのは、東方緑舟。前者は中国清代の古典小説『紅楼夢』の世界にあなたをいざない、『紅楼夢』の秋の情景を完全な形で再現する。モクセイの清新な香りが公園に満ち、『紅楼夢』の情景を思い起こさせる。後者はあなたを知識の道へいざなう。のんびり↖と知恵の方舟をさまよい歩き、国の内外の著名人と過去、現在、未来を語り、一片の緑地の中で別の異国情緒を味わうことができる。ここでは、青浦の過去と現在、伝統と新文化、古典と現代、感性と理性が溶け合う。変わったのは、時代の変遷や時間と空間の交錯、変わらないのは金色の秋、あの全てを覆い尽くすモクセイの花の香りである。恍惚の間に、あなたをタイムスリップの旅へといざなう。

【上海市徐匯区】　

唐代風の祭りを楽しむ旅 　

桂林公園に遊び、「唐韵中秋」遊園会を楽しむ。詩を吟じたり、昔の習わしを体験したり、出し物や古典遊戯を楽しんだり、ファッションショーを見たり、ロマンチックな夕食を囲んで、中秋節の情趣を味わう。

浙江省杭州市 レジャーを楽しむ旅

植物園のモクセイの花見、宋城風景区のモクセイ祭りなど、秋の杭州でいろいろなイベントを楽しもう。

江蘇省南通市　 舟遊びの旅 　

濠河に舟を浮かべたり、文峰塔に登ったり、南通博物院を見物したりする一方、狼山風景区を散策したり、庭園芸術を楽しんだり、千年の歴史をもつ仏教古刹の定慧禅寺で鐘の音を拝聴する。

上海市青浦区　 モクセイ観賞の親子の旅 　

東方緑舟公園と朱家角古鎮を散策したり、川で取れた新鮮な魚やエビを楽しみ、太陽島温泉に入ったり、大観園と陳雲記念館を見物したり、アウトレットパークでショッピングを楽しむ。

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