高原=文 馮進=写真
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常州市の新北区にある現代的なレジャー施設の1つ中華恐竜園 | 常州市は江蘇省南部、長江デルタ地帯の中心部に位置し、北は長江に連なり、南は太湖に近く、上海、杭州、南京からほぼ同距離にあり、江南を扼する要衝だ。同時に、ここは長い歴史的、文化的な蓄積に恵まれた古い都市でもあり、文字で書かれた歴史をたどるだけで3200年余に及び、長江文明と呉文化の発祥の地でもあり、また中国の近代商工業が始動した土地でもある。
いつの頃からか、常州は人々の意識の中から次第に印象が薄れ、曖昧模糊な都市となり、近隣の蘇州、無錫などの名声が鳴り響くにつれ、常州の名は見劣りし、単に豊かな江南の古都として記憶されるだけになってきた。ところが、ここ数年、中華恐竜園、グローバル・アニメ・バレー、淹城春秋楽園など現代的なレジャー施設が相次いで営業を開始し、上海、杭州、南京などから観光客を引き付け、再び脚光を集め始めている。
今では、若者層にとって、ここは魅力たっぷりの大レジャーセンターになっている。
ジュラシックパーク?
グローバル化が大潮流になっている現在、一つの街が独自性を天下に示すのは容易なことではなく、これは中国でも同じだ。千篇一律のように高層ビルの建設が猛スピードで進み、何車線もの広幅員道路や広々とした広場はどこの都市でも標準パターンになっている。都市建設が華麗になるにつれ、感動的な場所はますます少なくなってきた。そこで、人々は伝統的な文化の香りを求め、各地の特色のある古い街並、名園、旧邸宅を訪ねるが、大都市の濃厚な空気が地域文化の特異性を薄めてしまっている。江南を例に挙げると、水路と橋で有名な同里、烏鎮、南潯の違いを言えるだろうか。蘇州の園林を見た後、紹興の沈園、無錫の梅園、上海の豫園を興味津々で見続けるだろうか。
そこで、記者は江南の歴史的な趣が残る常州が三大レジャー施設をあえて街の名刺代わりにして観光客を呼び込もうとしていることを聞き、その独特で鋭いビジネス眼に好奇心をかきたてられ、ずっと前からこの目で確かめたいと思い続けていた。
まず、この中で一番若者に人気のある恐竜園へ行ってみた。ここは有史以前の人類史をテーマにしており、ゲートを入るとすぐに数匹の巨大なアパトサウルスが目に入る。まるで湖で生きているようだ。前に進むと、ヴェロキラプトルが今にも走り出しそうにしており、子供たちがしきりにシャッターを押していた。さらに奥に行くと、各コーナーで象のパフォーマンス、原住民の祭りの儀式が行われ、キング・コングが観光客を乗せた汽車を今にも壊しそうにしている光景も見かけた。もちろん園内ではきれいに飾り立てたパレートが繰り広げられ、ジェットコースター、ターボドロップ、ワイルドリバーなどのおなじみの絶叫マシンもあり盛りだくさんだ。いつ行っても各施設の前は長蛇の列ができ、少なくとも3、40分待ち、夏休みだと3、4時間も待たなければならないようだ。一昨年のメーデーの連休中に来場者は何と延べ20万人に達したそうだ。
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中華恐竜園内にある2万平方メートルに及ぶ恐竜博物館 |
実際、恐竜園は上海のハッピーバレーに比べて、ほぼ同じレベルだが、集客効果の面で優れている。恐竜園には、隣接する恐竜劇場で出し物を見ることができ、恐竜バレーで温泉につかり、淹城春秋楽園、グローバル・アニメ・バレーでさらに楽しむことができれば、これに勝るものはないだろう。
タイムスリップ春秋時代
街の北側にある恐竜園を出て、車で市街地を通り抜け、南側の淹城春秋楽園に向かった。常州の市街地はさほど広くはないが、他の全ての長江三角デルタ地帯の都市と同じように、清潔で整頓され、街路樹が青々と茂っている。快速バスBRTに乗ると、1元(約12円)で、街中のいたるところにスピーディーに行くことができ、交通渋滞でイライラさせられることもなく、大変快適だ。
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淹城春秋楽園内の儒家エリア。高さ23.8メートルの迫力のある孔子像が山際に立っている |
途中、にぎやかなビジネス街を眺めながら大いに驚いたことがある。現代的な大都会と言えば、まず思い浮べるのは、北京、上海、広州だ。ところが、常州のビジネス街は北京に比べて全く遜色なく、逆に、人が少ないせいで、落ち着きがあり、心地よく、大都会にありがちなあわただしい雰囲気はまるで感じられない。大都会からここへ来た人々は、おごった気持ちを引っ込めなければならないだろう。
40分足らずで、淹城春秋楽園に着いた。ここは春秋時代(紀元前770~同403年)の歴史をテーマにしたレジャーランド。このような中身のレジャーランドは国内では珍しい。園内の施設は「呉楚決戦」(春秋時代の南方二大国の決戦)、「西施迷宮」(西施は春秋時代の越の美女。呉王の妃として献上され、呉王を政治に無関心にさせ、結果的に越を滅亡から救った。中国古代の四大美女のひとり)、「昭関漂流」(楚王から命を狙われた伍子胥は地勢が険しい上に警戒が厳重な昭関で一夜を過ごす間に白髪に一変。最終的に救われて呉国に行く)と名付けられ、有名な古代史のエピソードを時代背景とともに紹介している。また「夢回春秋」で「春秋時代」にタイムスリップした気持ちで、ドームスクリーンで古淹国当時の戦争と戦士の雄姿を理解することができる。
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常州市の南側にある淹城春秋楽園 |
古淹国は現在の常州にあたり、2700年前には呉越二大強国のはざ間にあった小国だった。今も残る古淹国の城壁と堀の遺跡は春秋楽園の一隅にある。外周には三本の城壁と三本の堀がしつらえられ、城をしっかり守り、その独特な形状は「中国絶景の一つ」の名声に恥ない。レジャー気分をそそられる春秋楽園の一角で、彫琢が施されていない静寂に包まれた古城の遺跡をそぞろ歩くと、荏苒たる歳月の流れと滄海変じて桑田となる感慨に浸ることができる。
人民中国インターネット版 2013年3月
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