雪山群の麓を行く
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シェーカルの金剛山に位置するチュド寺 |
翌朝になると、窓の外には風光明媚な景色が広がっていた。昨夜たどり着いたものの、ティンリ県までの道のりは一面真っ暗であったため、町の様子はわかっていなかった。
出発まであと一時間ほどあったためカメラを手にホテルを出ると、山の写真を撮ろうと構えている隊員たちに会った。その方向を見ると、山の上に古城のような建物が見えた。赤褐色の山と建築群が紺碧の空と互いに映え、荘重で神秘的であった。
シェーカル(協格爾)の金剛山に位置するこの建築群は、古城ではなく、1385年に築かれた「チュド(曲徳)寺」と呼ばれる古い寺院である。山によりかかるようにして建てられたチュド寺は、過去に四度の修復を経て、次第に規模が大きくなっていった。山にそびえ立つ寺ということ以外、チュド寺にはもう一つ特色がある。サキャ(薩迦)派とシャル(夏魯)派がずっと昔から同じ寺院に平和的に共存していることである。チベット仏教の寺院において、これは非常に稀有なことだ。二つの派別はそれぞれ七つの扎倉(読経する僧院)を擁しており、寺には金めっきの施された高さ九メートルの釈迦牟尼像が奉られて
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羊の肉を買った若いチベット人 |
ティンリ県から西へ60キロほど行くと、突然、ある小さな町とその付近に点在する民家が目に飛び込んできた。「珠峰雪豹客棧(チョモランマ旅館)」と書かれた道の脇に建てられた看板が目を引いた。ここはチョモランマからはずいぶん遠く離れているはずだ。資料を調べてみると、ガンガ(崗嘎)鎮という名のこの町は、標高4350メートル、チョモランマまで60キロはあることが分かった。地元ではちょっと知られたチベットスタイルのこの「珠峰雪豹客棧」は、多くの登山愛好者やバックパッカーに喜ばれている。客棧の展望台からは、チョモランマが一望に見渡せる。
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地元の女性は必ず腰に精巧な銀製 |
遠くからチリンチリンと鈴の音が聞こえてくる。舞い上がる埃の向こうに、チベット人たちの馬車隊が見えた。彼らは私たちに追いつき、自分の頭や腰から玉製、銀製の装飾品を取り外し、私たちに押しつけようとする。物々交換をしようということらしい。私の時計を指して、自分の玉器と交換しようと身振り手振りで示す人がいたが、私は別の女性の腰にかけてある銀製品が気に入っていた。値段交渉をして、精巧に彫り刻まれた純銀の装飾品を最終的に20元で手に入れることができた。
別れ際に、携帯用の食品を少し彼らにおすそ分けした。チベット族の人々は、馬車に戻ると馬に鞭をあて、喜びながら走り去っていった。(馮進=文・写真)0810