白露秋分 一夜一夜の寒さかな
文=郭冷秋
白露
プロフィール |
黒龍江中医薬大学、漢方薬薬理教育研究室副主任、医学博士。漢方の食事療法、養生の研究に従事、黒龍江漢方医薬科学技術進歩一等賞を受賞。 |
白露の節気と民俗
白露の節気の民俗も多い。福州では「白露には必ずリュウガン(龍眼)を食べる」と言う。白露のこの日、リュウガンを食べると、体に非常によく、一粒は一羽の鶏を食べるのに相当する。多少の誇張はあるものの、やはり道理もある。リュウガンそのものに脾臓の機能を高め、気を補充し、精神を安定させ、皮膚を滑らかにする効果があり、また、貧血、不眠症、神経衰弱など多くの病気に有効である。しかも白露の前のリュウガンは粒が大きく、種が小さく、甘味が強く、口当たりがよいので、リュウガンを食べる最もよい時機である。
白露は太湖の人々が禹王を祭る時でもある。禹王は伝説の中の治水の英雄・大禹のことで、太湖畔の漁民たちは「水路の菩薩」と呼んでいる。毎年旧正月の8日、清明節、陰暦7月の7日と白露に、ここでは禹王を祭る香会(縁日)を催す。その中でも清明と白露の祭りの規模がもっとも大きく、1週間続く。禹王を祭ると同時に、また土地の神、花の神、蚕花姑娘(蚕を飼う人の神)、門を守る神、家の神、姜太公(太公望)なども祭る。
白露の養生
白露のころは、昼夜の温度差が大きい。俗に「白露の節気は服をはだけない」と言うが、つまり、昼は暖かくても、風邪を引きやすいので気をつけてと言っているのである。
白露の節気は、鼻腔の病気、喘息、気管支などの病気にかからないように心がける。とくに体質過敏な人がこのような病気にかかった場合は、飲食に気をつける。普段も魚やエビなどのシーフード、辛い・酸っぱい・塩辛い・甘い・脂肪分の多い食物をできるだけ控えるか、食べないようにする。たとえば、太刀魚、蟹、蝦、ニラの花、ユウスゲ、コショウなどである。あっさりして消化しやすくビタミンに富んだものを食べる。一方、秋燥を予防するのも白露の節気の大事な養生である。ビタミンに富んだ食物を適宜多く摂る一方、肺のためによく、痰を取り、滋陰益気の効果がある漢方薬、たとえば朝鮮人参、シャジン(沙参)、西洋人参、ユリネ、杏仁、貝母などを用いれば秋燥の緩和によい効果がある。
秋分
今年は9月23日が24節気の秋分である。陰暦では、秋分は秋の90日間のちょうど真ん中である。春分と同じく、秋分の日の日光はほぼ赤道を直角に射す。昼夜の長さが同じになる。その後、陽光が南へ移り、北半球は昼が短く夜が長くなる。秋分を過ぎれば天気は涼しくなり、雁、ツバメ、ホトトギスなどの渡り鳥が群れを成し隊を組んで、寒い北から南へ渡っていく。これ以降、降水量はそれほど多くはないが、降水の回数が増え始め、民間では「一雨ごとの寒さかな」という。
秋分の節気と民俗
秋分のこの日、各地それぞれに素晴らしい民俗がたくさんある。史書によれば、早くも周朝(紀元前1046~同前256年)の古代帝王のころには春分に太陽を祭り、夏至に大地を祭り、秋分に月を祭り、冬至に天を祭るという習俗があった。その祭りの場所を日壇、地壇、月壇、天壇と称し、東・北・西・南四つの方向にそれぞれ置かれている。北京の月壇は明・清の皇帝が月を祭った場所である。このような風俗は宮廷と上層貴族だけが行ったのではなく、その後次第に民間に伝わった。
春分と同じく毎年秋分の日に、今なお何千万もの人が〝卵立て〟ゲームをする。よく「秋分が来ると、卵が綺麗になる」と言われる。
秋分の養生
秋分を過ぎると天気がだんだん涼しくなるため、胃病にかかりやすく、また再発しやすい季節である。中医学では、胃腸は冷たい刺激にとても敏感なので、十分に気をつけ、飲食や生活のリズムにも十分注意を払わないと、胃腸の疾病を誘発して、胃酸の逆流、腹の張り、下痢、腹痛などの症状が出たり、もとの胃病が重くなったりする。慢性胃炎を患う人は、特にこの時期胃を冷やさないようにする。飲食は暖かく、軟らかい、味の薄い、精進の、新鮮なものがよい。定時に決まった分量を食べ、量を少なめに回数を多く摂ることによって、胃の中にいつも胃酸と中和する食物があり、それによって胃の粘膜と潰瘍面を傷つけないようにし、病状が進まないようにする。また体に悪い食物を避ける事に注意しなければならない、冷た過ぎるもの、熱過ぎるもの、硬過ぎるもの、辛過ぎるもの、粘り過ぎるものを食べないように心がけ、暴飲暴食はもってのほかである。胃腸の疾病のない人もあっさりとして滑らかな、また温かいものを主とした食べ物を多く摂る。たとえばゴマ、クルミ、もち米、蜂蜜、乳製品、梨、サトウキビなどは、陰と肺を潤し、血を養う。辛いものはできるだけ食べない。
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人民中国インターネット版 2010年10月