西暦842年から864年、中国の唐に観音像を求めた日本の僧侶が普陀山(浙江省舟山市)に観音道場を開いたという歴史的伝説をもとにした映画「不肯去観音(行かず観音)」が26日の観音菩薩成道日(観音様が悟りを開いた日/旧暦6月19日)に全国で封切られる。中国で観音を題材にした映画が製作されたのは初めて。中国を代表する実力派女優の斯琴高娃(スーチン・ガオワー)や「古装の王子」と呼ばれる聶遠(ニエ・ユエン)、張芸謀(チャン・イーモウ)監督の「金陵十三釵」でヒロインの一人に抜擢された新鋭女優・李純(リー・チュン)など中国の著名俳優のほか、中野良子や中泉英雄など中国でも知られる日本人俳優も出演する。「北京青年網」が伝えた。
■「不肯去観音」予告編ロングバージョン 「和を以て貴しとなす」
封切りに先立つ11日、1分間の予告編最終バージョンが公開された。先に公開されていた30秒バージョンの予告編よりもさらに多くの仏教的な要素が加わり、禅の趣にあふれている。観音映画を見るように、菩薩の加持を受けるところから始まり、人々に厳粛で畏敬の念を覚えさせる。また、4つの仏教用語を軸として、その間に映画のハイライトシーンが挟まれる構成は、「和をもって貴しとなす」という理念が表現されている。修行者が互いに仲良く敬いあうべき6つの点「六和敬」(ろくわぎょう)のうち「口和無諍、身和同住」(言葉で示す、心で示す)、「見和同解、戒和同修」(見解を同じくする、戒めを同じくする)、「利和同均、意和同悦」(自利の修行を同じくする、心を同じくすることで喜びを知る)の3つの言葉が全編を通して表現され、善良な心を持ち続ければ、必ず天の加護があるという言葉で締められている。これは、善をもって人に対し、小人はもって小善を持って益無しとして為さずを中心的な理念を表現している。表面的には玄妙な道理に満ちているように見えるが、実は禅の趣にあふれている。「不肯去観音」の張鑫は、「世の中のすべての出会いは前生から久しく会っていない人との再会を表し、この映画にはこのような多くの仏教理念が取り込まれている。例えば、偶然の巡り合わせや、因果応報、心の中の善、普度衆生(ふどしゅじょう、生命のあるものすべてを救い出す)などは人々に人生の啓示や悟りをもたらしてくれる。予告編は佛教音楽「大悲咒」の音楽が使われており、大海原、蓮の花、観音像などの耽美的な映像が静かで穏やかな感覚を持たらしている。
■中国で初めて観音をテーマにした「心が洗われる映画」
中国で初めて観音をテーマにした映画「「不肯去観音」は西暦842年から864年に日本の僧侶が中国の唐に渡り観音像を求めた歴史的伝説を切り口に、普陀山(浙江省舟山市)に観音道場が開かれるいきさつを描いている。このほか、映画には幅広く奥深い仏教文化と、中国の伝統文化の中で育まれた調和の精神が反映されている。
張鑫監督は「この映画を通して、観音菩薩の「大慈大悲」(仏の広大無辺の慈悲)や「普度衆生」、「高架慈航」などの崇高な美徳とともに、大きな愛や友好の大事さを人々に伝えたい。実際すべての人が観音のような神通力や法力を持っているわけではないが、一つのほんのささいなこと、あるいは一つのいい行いをするだけで、誰もが観音菩薩になれる」と語る。同映画は、菩薩が悟りを開いた旧暦6月19日に当たる26日に中国全国で公開され、主演は聶遠、李純に加え、ベテラン俳優の斯琴高娃と中野良子が共演していることも話題になっている。同映画は、現在大規模な宣伝を展開中で、後に大規模な無料鑑賞会も行われる予定という。
「人民網日本語版」2013年7月15日
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