このほど幕が開いた日本の参議院議員選挙の選挙活動では、安倍政権がうち出した経済政策「アベノミクス」が日本の経済の健全な復興を推進しうるかどうかが注目のテーマの一つとなっている。安倍政権の経済政策が初めて「国民のテスト」を受ける機会といえる。「人民日報」が伝えた。
安倍晋三氏は昨年9月に首相に再選されると、アベノミクスの基本的な構想を描き出した。「強い経済」を取り戻し、「国土強靱化」をはかり、「強くて有効な財政」を実現するというもので、15年続いたデフレ局面から脱却し、世界における日本の競争力を再構築すると主張した。かつて40年間続いた世界2位の経済大国の地位を(中国から)奪い返そうとの意図が、言外にちらついている。こうして安倍首相は「大胆な金融政策」と「機動的な財政政策」をうち出し、円高を是正し、デフレから脱却し、市場の信頼感を再び高めようとした。その後さらに「民間投資を喚起する成長戦略」を通じて、日本経済の潜在的な成長力を喚起し、世界における日本の競争力向上をはかろうとした。安倍首相がうち出した金融超緩和政策により、日本円の対米ドルレートは短期間で約30%低下し、日経平均株価は約70%上昇した。
円安は毒を含んだ甘いアメだ。米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和政策をやめれば、アベノミクスは継続が困難になる。実際、アベノミクスの最終的な効果は、これまでずっと論争の的だった。国際通貨基金(IMF)が今月9日に発表した最新の報告では、日本経済の今後の発展に大きな期待を寄せ、安倍首相も今月初め、自身のうち出した財政政策に合格点をつけたが、国際世論では安倍首相の政策の長期的な効果を疑う見方が一般的だ。安倍首相の経済政策は日本の人口高齢化といった一連の問題を踏まえておらず、効果や利益を上げることを急ぎすぎており、長期的にみれば毒薬入りの酒を飲んで喉の渇きをいやしているようなものという見方だ。
安倍政権がうち出した「日本を取り戻す」をテーマとする成長戦略では、多くの矛盾点に目をつぶっている。たとえば投資倍増をうち出しながら、法人税率は引き下げないという。非農業企業によって農業生産額を倍増するとしながら、農地取得の自由化には踏み切らない。海外の人材を導入するというが、移民の管理は緩めない。とりわけ大きな矛盾は、改革を声高に主張しながら、日本最大の「官製企業」である郵政の改革には一言も触れないということだ。安倍首相の「日本再興戦略」では日本産業再興プラン、戦略市場創造プラン、国際展開戦略を鳴り物入りでうち出したが、具体的な内容は市場や社会の期待からはほど遠いものだった。現内閣の経済成長戦略をうち出すべきところ、安倍首相がうち出したのは5年先、10年先を見据え、さらには20年先まで射程に入れた目標であり、日本の「短期政権」の悪癖はうち破ったが、これは実際には行政レベルの政策実施における責任回避の余地をもたせるものであり、市場には幻滅感が広がった。
当然のことだが、アベノミクスの何よりも金融を指標とし、市場への信頼感を高め、資産効果を引き上げ、実体のある投資を再び推進し、戦略的産業を奨励し、戦略市場を開拓し、潜在的な成長力を上昇させるという「逆行型振興」の政策ロジックは、危機の後に実体経済が金融・経済へ移行していくという世界経済の流れに合致するものだ。だが安倍首相が1回目の任期中に採用した逆行型振興モデルを参考にしながら、景気と改革という2つの戦略的構想を止揚して継承しなければ、改革の手はゆるみ、成長戦略は幻となり、市場の信頼は失われ、株式市場が混乱に陥る、という点が問題なのだ。
参議院選挙に際して、日本の有権者がアベノミクスを評価するかどうか、アベノミクスにどれくらいの点数をつけるかがが注目される。
「人民網日本語版」2013年7月18日
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