12政党が激戦を繰り広げた昨年末の衆院選と比べると、今月21日に投票が行なわれる参院選はスリルを欠くと言える。各社の世論調査は、連立与党の自民党と公明党が国会運営の主導権を掌握できる129議席を獲得して、ねじれ国会を解消し、3年の長きにおよぶ安定政権期に入る見通しであることをはっきりと示している。中国新聞社が伝えた。
■選挙の大勢はすでに決した
6月23日の東京都議選で自公両党は過半数の議席を獲得して勝利した。この選挙は参院選の前哨戦と見なされており、街頭演説で経済政策優先を強調する安倍首相の戦略が効果覿面であることが証明された。したがって参院選でも安倍首相はこの路線を継続し、終始「安全運転」を行なっている。
参議院は全242議席で、3年ごとに半数を改選する。現在自公両党は59の非改選議席を有する。各社の世論調査は今回の改選121議席中、自公両党が計80議席以上を獲得することをはっきりと示している。非改選の59議席を加えれば、与党は過半数の122議席を確保するだけでなく、国会運営の主導権を掌握できる「安定多数」の129議席も獲得できる。だが3分の2以上の議席である162議席を獲得するのは比較的難しい。
昨年12月末の衆院選で自公両党は3分の2以上の議席を獲得した。参院選でも3分の2以上の議席を獲得すれば、憲法改正の条件が整う。朝日新聞の星浩編集委員は17日、自公両党は勝利目前だが、3分の2の議席にはまだ開きがあると指摘した。
■憲法改正に向けて最後の攻勢をかける
安倍首相は16、17両日に沖縄県および離島の石垣島と宮古島を訪れて演説したほか、海保と航空自衛隊を視察した。選挙期間に離島を訪れて演説するのは実に異例だ。これついて星氏は、参院選で3分の2の議席を獲得するために最後の攻勢をかけたとの見方を示した。
星氏によると、自民党の優勢は明らかだが、沖縄では自民党はそれほど人気がない。安倍首相は米国の歓心を買うために米軍基地移設問題をあくまで推し進めて有権者を怒らせた。沖縄を訪れたのは劣勢挽回のためなのだ。海保と航空自衛隊の視察も、日本の領土を守る決意を仰々しく顕示して、さらに多くの票を勝ち取るためだ。
安倍首相は15日、長崎国際テレビのインタビューで憲法9条改正の意向を初めて表明し、世論を驚愕させた。これまで安倍首相は仰々しく憲法改正を望んできたが、憲法改正の条件を緩和するために憲法96条を改正する意向を表明するだけだった。今回9条改正に直接言及したのは、憲法改正に賛同する各勢力を結集して、参議院で3分の2の議席を勝ち取るためだと指摘される。
だが星氏によると、安倍首相個人は憲法改正に大変熱意を持っているが、憲法改正はそう簡単では決してない。憲法はすでに66年間の歴史を持ち、その間改正派はずっと動いてきたが、実現することはなかった。その上、日本社会は憲法改正に対して極めて慎重であり、どう改正するかの議論がはっきりするまでは、本格的な日程化は困難だ。したがって、憲法改正は今回の参院選では中心的問題にならない。
■真に試されるのは選挙後
まだ選挙戦中だが、安倍首相本人はすでに選挙後の日程に目を向けている。選挙の4日後にはマレーシア、シンガポール、フィリピンを訪問する。8月下旬にはオマーン、カタール、バーレーン、クウェートも訪問する。安倍首相が外遊を急ぐのは、9月に発表する経済成長戦略第2弾の準備をするためだ。
星氏によると、選挙は安倍氏にとっては出発点に過ぎず、真に試されるのは選挙後だ。選挙に勝利して長期政権の環境を築くのは第一歩に過ぎない。安倍政権は今後の政権運営においても山積する大きな難題に直面する。安倍内閣の高支持率を支える経済政策において、安倍政権が以前打ち出した経済成長戦略は構造改革や規制緩和などの内容に特に見るべきものがなかったため、市場に失望感が広がり、金融市場の混迷を招いた。経済成長戦略第2弾で大胆な構造改革措置を打ち出せるかどうかによってこそ安倍首相は試される。この他、9月上旬のG20で日中首脳会談を行えるかどうかによっても、安倍首相の外交手腕が試される。
星氏によると、参院選後の数カ月間は日本の政治と民生の将来の方向性を決定する要の時期となる。2度の総選挙で国民の信任を得た安倍首相が、国民に満足のいく結果を示せるかどうかが真に試される時期でもある。
「人民網日本語版」2013年7月19日
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