2013年版防衛白書が「中国の脅威」を公然と誇張したのに続き、安倍晋三首相は17日に釣魚島(日本名・尖閣諸島)から100キロ余りしか離れていない島々を立て続けに視察して、中国に譲歩しない姿勢を示した。一方で日本は日韓関係の冷え込みを緩和できず、中米関係や中韓関係が緊密さを増す中、孤立していくのを感じている。参院選を前に安倍氏は隣国に災いを押し付け、時代の潮流に逆行して国内世論を憂慮させたうえ、それ以上に隣国の不満と非難を招いた。中国新聞網が伝えた。
■「中国の脅威」を誇張 持久戦に陥る安倍氏の対中外交
参院選を前に勢いを盛り上げるため、安倍氏は17日に釣魚島に近い石垣島を訪れて選挙演説をしたうえ、海上保安庁の巡視船に乗って視察を行なった。そして、演説の中で「尖閣諸島は日本固有の領土で、日本側は一歩たりとも譲歩する考えはない」と述べた。同日午後には釣魚島から200キロ足らずの距離にある宮古島を訪れて演説をしたうえ、航空自衛隊基地を視察した。
朝日新聞によると、中日関係が依然緊張する中、安倍氏のこうした行動には対岸の中国側に強いメッセージを発する思惑がある。参院選後も釣魚島問題をめぐる安倍政権の方針に変化はないとの姿勢を示す意味もあるようだ。
安倍氏の「巡回視察」と同時に、日本政府は離島「国有化」の歩みも進めた。日本は6000余りの「島嶼」によって、国土面積の約12倍に相当する約447万平方キロメートルの領海と排他的経済水域(EEZ)を形成している。日本政府はこうした島嶼の状況を把握した後、名称のない島の名称を決定し、日本地図に入れる。このうち、釣魚島は日本のEEZ内、そして400の領海基点の調査範囲に入れられている。
読売新聞は安倍政権の視察活動について、主に釣魚島問題での中日対立を念頭に置き、さらに大きな決意で「領海を守る」政策を強化する安倍政権の決意を示すものだと強調した。
釣魚島問題での絶え間ない挑発に加え、日本の2013年版防衛白書は「中国の脅威」を力の限り誇張した。安倍氏の首相再任後初となる同白書は中国関連の記述を大幅に増やし、中国に対して近年最も激しい表現を使用している。
日本を専門とする王新生・北京大学教授は「日本経済は20年続けて低迷状態にあり、中国にどんどん水をあけられているため、日本国内では『中国脅威論』が非常に受ける。日本は中国との経済貿易関係の維持を望む一方で、中国の影響力が次第に拡大して抑えつけられることを憂慮してもいる」と語った。
中日関係の悪化についても日本の世論は憂慮している。共同通信は「中国は強硬姿勢だが、刺激的な発言を繰り返す日本の首相にも問題がある。まさか日中関係の破壊を代償に国内の支持率を上げるつもりなのか?」との元首相の発言を紹介した。
日本外務省高官は、中国への対抗を貫くなら「日本は中国を阻止できる抑止力を備えなければならない」と表明した。だが国防費の増加は窮地に陥っている財政に追い打ちをかけるだろうし、緊張をエスカレートさせたことで国際社会からも非難される。だが釣魚島の領有権争いの存在を認めれば、領土交渉の席につかざるを得ず、「日本は強い勢いで迫られれば屈する」と思われかねない。こうして日本の対中外交は「持久戦」に陥っている。
■隣国は関係を緊密化 「同盟の苦境」に陥る安倍政権
「中国経済が急速に成長する中、安倍政権は自国の力だけで中国に対処するのは不可能だと考え、米国のアジア太平洋戦略という『追い風』を受けて中国を牽制することを計画している。抱き込みと牽制、安倍氏は中米両国間で『遠交近攻』のゲームを弄している」と王氏は指摘した。
だがこれについて日本メディアは楽観的ではない。共同通信は「安倍政権は『堅固な日米同盟』を強調する。だが米国の視線は日本を越えて中国に向けられつつあるように見える。中米両国の明らかな接近に伴い、日本は米国との同盟関係も調整しなければならないかも知れない。この両大国とどう付き合うかが、日本外交にとって回避できない課題となる」と指摘した。
確かに、「日米同盟」を修復し、大国としての地位を示すという安倍氏の計画は決して順調には進んでいないようだ。6月のG8サミットで日本側は日米首脳会談実現のため日程調整に努力したが、「時間を設けられない」との理由で米側から拒絶された。
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