これと対照的に中国の習近平国家主席がオバマ大統領とカリフォルニア州で「ノーネクタイ」の首脳会談を行なったことで、日本はなおさらに「同盟の苦境」に陥った。日本はアジアと国際問題における自らの存在感が中米接近のために失われることを懸念している。
日本は韓国との関係も度々冷え込んでいる。安倍政権は「日韓両国は基本的価値観と利益を共有する重要な隣国であり、協力パートナーだ」と数回表明したが、日本の政治屋が「慰安婦は戦争中必要だった」と妄言を吐き、安倍氏自身も日本の侵略の歴史を繰り返し否認したことに両国間の長年来の領土係争が加わり、韓国は全国を挙げて激怒した。
これを受けて朴槿恵大統領は就任後最初に米国、次に日本を訪問するという韓国大統領の慣例を破り、日本より先に中国を訪問した。「朴槿恵大統領の訪中から、韓朝関係の安定と経済振興のために中国を重視する韓国側の姿勢は明らかだ」と日本メディアは指摘した。日本は孤立することへの憂慮を深めた。
王氏は「日韓関係の発展は確かに余り楽観視できない。日本が歴史問題で深く反省しなければ、日韓関係が一層の成果を上げるのは難しい。今や中韓は経済貿易関係をどんどん緊密化しており、これも日韓関係の将来の方向に極めて大きな影響を与える」と指摘した。
日本経済新聞は日米、米韓、中米、中韓は相次いで首脳会談を行なったが、歴史問題と領土問題を抱える日韓、中日の首脳会談は遅々として目処が立たないと指摘。角逐の激しくなるアジアで米国との同盟関係に依存する一方では、日本は除け者にされるとの見方を示した。
■アフリカと東南アジアを開拓 安倍氏の「自由と繁栄の弧」は実現困難
隣国外交で突破口を見いだせない中、安倍政権は東南アジア、中東、アフリカなど未開拓の市場に目を向けている。日本経済新聞によると、安倍氏は就任後直ちに「目に見える形で戦略的外交を展開する」方針を打ち出し、半年足らずの間に相次いで13カ国を訪問した。外国訪問の頻度の高さは戦後の首相でトップだ。
こうした訪問はいずれも「中国牽制」と海上輸送ラインの確保など安保上の意義に加え、資源獲得と日本企業の市場開拓の支援など経済レベルの重要性を備える。安倍政権は現在アジア太平洋地域で、権益拡大を図る中国に対する「包囲網」の構築に拍車をかけ、「価値観」を共有するASEAN各国およびインドとの協力を強化して中国を牽制しようとしている。
経済外交は「アベノミクス」成長戦略の重要な柱といえる。安倍氏のミャンマー訪問には企業、大学、自治体の幹部40人余りが同行した。6月の第5回アフリカ開発会議で安倍氏は巨額のアフリカ支援を宣言したうえ、アフリカ各国首脳37人と会談した。安倍氏と各国首脳の一連の会談を見ると、その外交の「妙策」が経済先行であることは間違いない。
だがこうした「バラマキ外交」は日本国内で評価されてはいない。共同通信は、安倍氏がこの13カ国中に東欧や中東など遠方の国を選択する一方で、一衣帯水の中韓両国が含まれなかったことは、まさに日本外交の閉塞感の表れだと指摘した。
東南アジア各国はいずれも日本の投資と援助を歓迎しているが、中国の関わる領有権問題や対中「包囲牽制」問題で日本の側に立つ国はいくらもない。ベトナムは国家主席が少し前に訪中したし、フィリピンは「日本の中国牽制の橋頭堡となる重任」を担うのは力の問題で難しい。南アジア地域については、中印首脳は両国間の国境問題について対話と協議を通じて処理し、両国関係の健全で安定した発展に影響が生じないようにする方針をすでに確認している。
アフリカについては、日本はアフリカ投資の最良の時機をすでに逃したとの見方が少なくない。中国は現在、アフリカにとって最大の貿易パートナーだ。欧米各国、韓国、インド、ブラジルもアフリカ市場を積極的に開拓している。経団連の加瀬豊サブサハラ地域委員長は「20年前、アフリカにとって日本はまだ代りのない存在だった。だが現在、日本の政府開発援助はすでに中国と比べ物にならない」と指摘した。
参院選が始まる前から、安倍氏は7月下旬の外遊日程を定めた。7月下旬にフィリピンとマレーシアを訪問し、ASEANとの関係を強化する。8月下旬にはクウェート、カタールといった中東の石油輸出国も訪問する計画だ。だが一連の訪問が安倍氏の期待する成果を上げられるかどうかとなると、日本メディアの言うところの「国際社会が世界第2の経済大国に躍り出た中国に視線を向ける」中、日本外交は依然厳しい現実に直面している。
「人民網日本語版」2013年7月19日
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