--中国の東中国海防空識別圏設定の法的解釈
中国政府は11月23日の声明で、東中国海防空識別圏の設定を厳かに発表した。これは国家の安全保障情勢の推移に適応し、国家の主権と領土領空の安全を守ることに着眼し、飛行秩序を維持する正当かつ合法的な措置であり、国家の自衛権をより良く行使するために必要な措置であり、海に面した世界の主な国々が広く行っているやり方とも一致するものだ。解放軍報が伝えた。
防空識別圏は通常、海に面した国または地域が海空の防衛・安全保障上の必要に基づき海洋方向の上空に一方的に設定する特定空域を指し、本質的に国防の必要に基づき設定する早期警戒区域だ。この空域内では、速やかに識別、監視・制御、対処できるよう、国籍、方位、飛行計画など詳細情報の報告を他国の航空機に要求できる。規定を遵守しない場合は、進入を拒否されるほか、阻止され、強制着陸させられる可能性もある。こうすることで不明な航空機が領空に進入する前に、その性質を見極め、対処時間を稼ぎ、国防上の安全を効果的に確保できる。
■国家主権を守る合法的措置
主権は国家の根本的属性だ。主権と安全を侵害されないことは、国家固有の権利だ。国連憲章第51条も国家が「自衛の自然的権利」を有することを確認している。航空分野では国際民間航空条約第1条が、各国は領空に対して完全かつ排他的な主権を有すると定めている。航空機がある国の領空内を飛行する場合は、その国の支配下に完全に置かれる。これは自己保存権、管轄権、管理権、支配権といった主権権利に具体的に示される。最も重要なものが自己保存権であり、いかなる国も領空の安全を守り、外国に侵犯されない固有の権利を有する。この権利に基づき、いかなる外国の航空機も相手国の許可を得ずに、その領空に進入することはできない。国家は外国の航空機の領空侵入に対して必要な条件と手続きを設定する権利も有する。航空技術の発展に伴い、様々な高空、高速、低空、ステルス航空機が幅広く運用されている。もし外国の航空機が領空に接近した時にようやく航空管制を始めるのだとしたら、速やかに突発的状況を見極め、効果的に対処することは困難だ。対処が速やかでなく、または不適切であれば、国家の防空・安全保障に深刻な脅威をもたらす。中国が東中国海防空識別圏を設定したのは、外国の航空機が中国領海に進入する前に適切な防備的措置を講じるためであり、これは国家の主権と自己保護権に関する国際法の原則と精神に完全に合致する。
国際条約の規定と同じく、「中華人民共和国民用航空法」「中華人民共和国飛行基本原則」は国家の領空主権の原則を明確に規定するとともに、外国の航空機が領空に出入りする際は、中国の航空管制当局に事前に報告し、しかるべき許可を得るよう要求している。「中華人民共和国国防法」第26条も、国は国境守備、海防、防空整備を強化し、実効性ある防衛・管理措置を講じ、領土、内水、領海、領空の安全を守り、国家の海洋権益を維持することができると定めている。中国が東中国海防空識別圏を設定し、空中の目標に対して前もって識別、監視・制御を行い、必要時には防御的な緊急措置を講じることには、十分な法理上の根拠がある。
■国際的慣行に合致
防空識別圏制度は20世紀半ばに米国とカナダが他国に先駆けて創始したもので、多くの国々が続々と後に続いた。現在までにオーストラリア、ミャンマー、韓国、キューバ、フィンランド、ギリシャ、インド、アイスランド、イタリア、日本、リビア、パナマ、フィリピン、ドイツ、タイ、トルコ、ベトナムなど20数カ国が防空識別圏を設定。地理的範囲、制限を受ける航空機の種類、管制措置について各々具体的規定を設けている。例えば米国とカナダの防空識別圏は大西洋と太平洋に数百海里も延伸している。具体的事実を見ると、各国は防空識別圏の設定をいずれもある程度承認している。防空識別圏を設定していないが、相応の早期警戒体制を構築している国もある。防空識別圏に対する国際社会の承認、および東中国海周辺国がおしなべて防空識別圏を設定している現状に基づき、国際的慣行を参考に、中国が東中国海防空識別圏を設定するのは完全に正当で、必要で、理にかなったことだ。
■他国の合法的権益を損なわず
主権と領土保全の相互尊重は国際社会の一致して認める国際法の原則であり、中国が東中国海防空識別圏を設定する上で従った重要な点でもある。中国の東中国海防空識別圏の設定範囲は他国の領空に及ばず、周辺国の領空主権を十分に尊重している。防空識別圏は領空範囲の拡大ではなく、領空主権の勝手な拡大でもない。防空識別圏の有する権利と領空主権には本質的違いがある。防空識別圏内では通常、航空機に対して国籍、方位、飛行計画などの情報提供を要求するだけで、国際法にのっとった航空機の通過の自由への影響はない。中国の防空識別圏もこの原則に従っている。だが現在、防空識別圏を理由に他国の航空機の正常な通過の自由を妨害している国がある。これは事実上、防空識別圏の曲解、濫用だ。
東中国海上空は国際線の密集する重要区域だ。中国の東中国海防空識別圏設定は、いかなる特定の国や目標も念頭に置いておらず、各国の航空機に平等に適用され、東中国海上空の航空機の正常な飛行秩序の維持と飛行の安全の保証にプラスであり、軍事的な判断の誤りを減らし、空中での摩擦を回避するうえでプラスだ。中国は平和的発展の道を堅持し、国家の正当な権益を断固維持し、国際係争の対話と交渉を通じた平和的解決を堅持する。改革の全面的深化、総合国力のたゆまぬ向上に伴い、中国は地域の安全・安定維持、世界の平和・発展促進に一層の貢献を果たす。
「人民網日本語版」2013年11月26日
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