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専門家の解説 中国が防空識別圏を設定した理由

 

中国政府が23日に東中国海防空識別圏の設定に関する声明を発表すると、ごく一部の国が強い反応を示した。新華社はこのほど、この件について関係機関と権威ある専門家に話を聞いた。

■中国の防空識別圏設定は、日米の同じやり方に続くもの

 防空識別圏は海に面した国が直面しうる空からの脅威への防備のため、領空外に設定する空域で、当該空域に進入する航空機に対して速やかに識別、監視、管制、処置を行い、早期警戒の時間を得て、防空・安全を確保するために用いられる。

 「つまり緩衝地帯やファイアウォールのようなもので、海上方面からの空の脅威や不明飛行物に対して、それぞれの状況に応じて識別、監視、管制、処置など相応の措置を速やかに講じて対処する」と、中国戦略文化促進会の羅援常務副会長は指摘した。

 「防空識別圏の設定は国家の安全保障情勢の推移上の要請に基づくもので、中国の海洋方面の防御システムを完全なものにすることができる」。軍事専門家の尹卓氏は「方向、速度、高度など航空機の飛行データを把握すれば、圏内を飛行する他の航空機の安全を確保することもできる」と述べた。

 「防空識別圏の設定は摩擦を激化させるものではなく、曖昧な境界線をはっきりさせ、複雑な問題をシンプルにする」と羅氏は指摘。「境界線がはっきりしないと偶発的衝突が起きやすい。境界線があれば、各国は慎重な姿勢を取る。中国の防空識別圏は設定の仕方からして、すでに非常に自制的だ」と述べた。

■防空識別圏設定は、実効性ある安全管理にプラス

 専門家によると、防空識別圏に進入する航空機に対する国際的慣行は、国際的チャンネルを通じて、国籍、飛行方向、高度、速度の通知を含む識別を行うことだ。尹氏は「航路が民間航空機の航路ではなく、高度や速度が民間機と一致しないことなどから軍用機を発見した場合は、戦闘機を発進して阻止する必要がある。つまり機種を調べ、証拠を収集し、通信を行い、中国領空に接近する意図を確認する。応答がない場合、接近飛行する。中国領空に不法進入する意図がある場合、排除などの措置を取る必要があるだろう」と説明した。

中国政府は23日の声明で、東中国海防空識別圏を飛行する航空機に対して、飛行計画識別、無線識別、トランスポンダ識別、ロゴ識別という識別手段を提供し、東中国海防空識別圏管理機関、つまり中国国防部(国防省)または権限を与えられた組織の指示に従うことを義務づけた。また、識別に協力しない、または指示に従わない航空機に対して、中国は武力で防御的な緊急措置を講じるとした。

 尹氏は「中国軍には東中国海防空識別圏に対して実効性ある管理・コントロールを行う能力があり、様々な空の脅威に対して相応の措置を講じる」と述べた。

 専門家は「防空識別圏の設定は中国の領空の拡大を意味せず、中国の主権の外への拡大も意味しない。東中国海防空識別圏の設定によって関係空域の法的性質が変わることはない。東中国海防空識別圏の設定が、他国の航空機の正当な飛行権の行使に影響を与えることはない」と指摘した。

 「防空識別圏の通過に関して、主権国の領空に進入しない航空機は圏内で依然飛行・通過の自由を有するが、速やかに状況を報告し、監視・コントロールを受け入れる必要がある」と尹氏は述べた。

■他国の防空識別圏との重複はどうするか?

 防空識別圏は各国が自国の地理条件、防御上の必要に基づき設定するため、重複する可能性が高い。中国の専門家は「重複区域については各国が意思疎通と交流を強化し、飛行秩序を共同で維持することが肝要だ」と指摘。「重複区域での一般的やり方は、相互に状況を通知し、緊密な意思疎通を保つこと、次に協議を踏まえてある程度のルールを定め、共同で処理、管理、コントロールし、衝突を避けることだ」と軍事専門家の孟祥青氏は説明した。孟氏によると、防空識別圏では識別自体が一種の意思疎通プロセスでもある。「正常な状況では、相手国に識別をさせることは、地上から関係機関に通知するのであれ、飛行中に通知するのであれ、一種の意思疎通だ。識別させない、長時間の滞空、突然の方向転換、領空接近など一方に敵意が存在して初めて、衝突を引き起こしうる」。

 

 「人民網日本語版」2013年11月27日

 

 

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