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中国の「グローバル・コモンズ」観を築く

 

このところの東中国海防空識別圏をめぐる問題で、中日韓米は観念と意志の勝負を行っており、三方面の衝突と勝負が浮き彫りになった。(文:王義◆(◆は木へんに危)・チャハル学会シニアフェロー、中国人民大学教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

第1に安全保障観の衝突。

 東アジア地域には大きく3つの安全保障観がある。中国の提唱するあまねく広がる安全保障観、米国の主導する排他的安全保障観、日本の推し崇める右翼安全保障観だ。中国は一貫して防御的国防政策を推し進めており、東中国海防空識別圏の設定は釣魚島(日本名・尖閣諸島)およびその上空の主権を強化する実効性ある管理であり、他国による空中偵察、情報収集などに対して実効性ある反撃を行う理にかなった措置でもある。米国主導の2国間同盟を基礎とする安全保障メカニズムは排他的安全保障観を奉じ、長年中国などの安全を犠牲にし、日本右翼勢力にも利用されてきた。

第2に主権および主権能力の勝負。

 主権の帰属は主権を維持する能力と重なるわけではなく、歴史、現実、未来の3つの次元で異なる有様を呈する。まず、歴史的合理性。歴史的に見ると、日本は甲午戦争(日清戦争)を利用して中国の釣魚島を奪い取った。カイロ宣言は日本に明確に返還を要求したが、後に米国は日本と一方的にサンフランシスコ講和条約を締結し、釣魚島の管理権を日本に引き渡し、火種を残した。どちらの歴史観がより合理的か、その回答が釣魚島問題における中日の姿勢を決定している。次に、現実的合法性。防空識別圏の設定は自らの防空の安全を維持するために各国間で広く行われているやり方であり、もし防空識別圏内に自らの領土が含まれなければ、防空識別圏は頼りにならない。防空識別圏をめぐる中日の勝負は実は釣魚島の主権紛争の継続である。

第3に公域と私域の勝負。

 昔から国際紛争はしばしば「公」と「私」をめぐり繰り広げられてきた。国際社会において真の公正無私な行為は聞いたためしがない。そのため公と私の問題においては、3種類の典型的行為がある。

(1)公を装って私利を図る帝国行為:国際空域・海域の安全を維持するとして、「グローバル・コモンズ」の旗印を掲げる、あるいは直接コントロールする、あるいは軍事同盟システムによって保護する、あるいは威嚇によってコントロールする。

 (2)公を利用して私利を図る覇権行為:公海などグローバル・コモンズから絶えず「うまい汁を吸う」ために、「私」の要求を隠して「公」の面を強調する。表面上はグローバル・コモンズを守るためだが、実際には特定の国の私利のためだ。

 (3)私を公で包む指導行為:明らかに自国の国益だが、人類の総意との言葉で包み、「指導行為」であることを顕示するのだが、しばしば国家主権の反発に遭う。国家主権による制約を解除する効果的な方法が、人道的介入、保護の責任、グローバル・コモンズといった様々な旗印を掲げることなのだ。

 防空識別圏問題で米国が国際空域の飛行の自由を再び持ち出したのは、やはり東アジアにおける自らの2国間同盟システムと覇権システムを維持するためだ。米国は安全保障観を変えず、リバランスによってアジア太平洋の安全保障上の衝突と試練の解決を期待しているが、これは行き詰まる。米国が打ち出した「グローバル・コモンズ」戦略は「公共財」より遙かに人を惑わすものだ。これによって米国を頭とする覇権国家は自らの力の優勢によって、「公域」の名目を掲げて実際には「私利」を図ることが可能になり、新興国に国際責任を分担させる目的を達成すると共に、グローバルな指導権を分かち合うことは許さず、費用を削減すると同時に米国の核心的利益と指導的地位をうまく維持して、「スマート覇権」を実現することができるからだ。

 いかにして米国のスマート覇権に対処し、中国のグローバル・コモンズ観を築き、人類の真の総意と正義を追求するか?中国が試されると同時に、中米の新型の大国間関係も試されている。このため、設置を進めている国家安全委員会は大安全保障観を積極的に構築し、安全保障観の発言力を勝ち取り、中国の安全保障の大戦略を積極的に築くべきだ。

 

 「人民網日本語版」2013年12月11日

 

 

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