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「一帯一路」は日本にとってもチャンスだ

魏建国中国国際経済交流センター副理事長インタビュー

5月14日と15日の2日間にわたって中国で開催されたシルクロード経済圏構想(一帯一路)首脳会議。1カ月が過ぎたが、日本国内には「日本が参加してもメリットはない」「透明性が確保されていない」といった声が根強い。一帯一路が目指すものは何か。商務部(日本でいう経済産業省)の元副部長で中国国際経済交流センターの副理事長を務める魏建国氏に話を聞いた。

 ぎ けんこく・中国国際経済交流センター副理事長。「一帯一路」シンクタンク協力連盟共同理事長。元中国商務部副部長。1947年、中国江蘇省生まれ。

――「一帯一路」首脳会議(サミット)をどう評価されますか。

29カ国の国家元首と政府首脳がフォーラムに出席し、130余カ国、約1500人の来賓が各界の代表として出席しました。 中国はフォーラムで多くの新措置を提出しました。シルクロード基金有限責任公司(以下、シルクロード基金)に1000億人民元(約1兆6400億円)増資することや、金融機関が人民元建て海外基金業務を行なう(規模は約3000億元)ことなどです。 2013年に習近平主席が「一帯一路」構想を提唱してから3年が経ちましたが、関係国の努力の下、「一帯一路」は点から面へと移り変わるほど好調なスタートを切っています。すでに約100カ国と国際組織が参加し、中国は40カ国と「一帯一路」建設協力協定を結びました。 国連の組織も積極的で、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を代表とする金融協力も絶えず深まっています。

AIIBとの連動

――「一帯一路」とAIIBはどのように連動していくのですか。

AIIBは「一帯一路」の資金を保証する役割を担います。

AIIBは中国の提唱で生まれました。「豊かになりたければまず先に道を造ること」。これが中国の経験に基づいた考え方です。

「一帯一路」の沿線国は資金が不足している。インフラ建設プロジェクトは投資額が大きく、かつ期間が長い。回収率が低いため、中国以外の国では実施が難しい。AIIBは投資銀行であるだけでなく、投資過程で他の銀行の資本を引き入れます。その資本が社会資本、民間資本、国際金融資本を突き動かし、結果的に「一帯一路」のインフラ投資を増やすことに繫がるのです。 AIIBはアジア開発銀行(ADB)や国際通貨基金(IMF)とも協力しあいながら、AIIB全体の透明度、監督レベルを高めていく方針です。

 ――成功して見える「一帯一路」の反省点、改善点はありますか。 

大きく五つの方面での反省点と改善点があります。

まず、躊躇する民営企業が多いことです。彼らは沿線国が何を求めているか、市場規模はどれくらいか、外貨を送金できるのか、完全な投資保護協定があるのか、二重徴税を避けるための協定を相手国と結んでいるかなど、多方面からの情報をほしがっています。

政府は民営企業にこれらの内容に関する研修を行なうべきです。

次に、われわれはいくつかの誤解を解かねばなりません。まず、「一帯一路」は包括的、開放的、互恵的なもので、沿線65カ国だけに限らず、欧米諸国や日本などの参加も歓迎しています。

AIIBやシルクロード基金を単なる独立基金として考えるのは間違いです。向こう10年間、中国はアジアでのインフラ投資に8兆ドルを必要としており、「一帯一路」で使われる資金は25兆ドルです。東南アジア地域を例にとると、毎年8000億ドルの投資を必要としますが、ADBとIMFは1年で250億ドルしか集めることができません。もしシルクロード基金の支援がなければ、われわれも二、三千億ドルしか集めることができないでしょう。この時、民間資本・社会資本を引き出す必要が生まれ、日本の投資が歓迎されるのです。

われわれは中日双方が各自の強みを発揮し、共同で第三者市場を切り開くことを望んでいます。「一帯一路」は中国と沿線国だけに関係することではなく、中国と日本、中国とEU(欧州連合)にも関係することでもあるのです。

三つ目として、双方の政府はなるべく早く、合意に達した早期成果獲得プロジェクトを実行すべきです。たとえばパキスタンの中国・パキスタン回廊などです。 

四つ目として、なるべく早く政策のリンクを実現すべきです。政策のリンクには三つの大、すなわち「産業の大融合、発展の大連動、成果の大共有」が必要となります。 

五つ目は、五つの「通」です。政策の疎通、道路の開通、貿易の疎通、貨幣の流通、民心の疎通です。民心と相通じることが重要です。「国の交わりは民の相親しむにあり、民の相親しむは相互融合に利し、相互融合に利せば、心相通じる」ということです。

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