「一帯一路」は日本にとってもチャンスだ
「ウィンウィンのグローバル化」
――習近平主席はウィンウィンの経済グローバル化を強力に推し進める必要があると言いました。現在のところ、米国主導の「グローバル化」は一部のグローバル企業の利益にしかなっておらず、世界の大多数の民衆はその恩恵を受けていません。「一帯一路」が実現すべき「ウィンウィンのグローバル化」とはどのようなビジョンなのでしょうか?
私は米国主導のグローバル化は世界中で格差を拡大させたと考えています。世界の国々を「先生と生徒」に分け、一部の先生が大多数の生徒たちに経済のルールを教えてきた。その過程ではもっぱら欧米の価値観が持ち出されました。ところが世界中で貧富の格差が拡大していったため、いまでは生徒たちの多くが米国主導のグローバル化に疑問を抱いています。
新しいグローバル化の中核理念は「平等」です。それは一部の先生が多くの生徒たちに教え諭す類いのものではありません。平等とは、みんなが共通の権力をもつことです。
中国の「一帯一路」は、平等を希求する大多数の国の期待に合致しますし、シルクロードの精神とは「平和的協力、開放と包容、相互学習・参照、互恵とウィンウィン」です。このため、中国が提唱する「共に協議し、共に建設し、共に享受する」という「一帯一路」こそが新たなグローバリゼーションと言い得るのです。
「ウィンウィンのグローバル化」というビジョンは習主席の言う「平和の道、繁栄の道、開放の道、革新の道、文明の道」という五つの道に通底する理念なのです。
今回の会議の成果の一つが、各国が続けて第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムを開催することを求めたことであり、その時には参加する国家首脳の数は倍増し、参加者は世界中からやってくるだろうと予想しています。
保護主義はチャンスを潰す
――欧州でも米国でも、保護主義が台頭していますが、「一帯一路」の理念はこうした動向といかに対峙しますか?
私は対峙という言葉を使うことにはあまり賛成できません。保護主義の台頭は米国が提唱する「グローバル化」がもたらした結果です。保護主義の台頭で利益を減らすのは他でもない米国や欧州です。このまま米国主導のグローバル化が進めば、米国や欧州ではさらに保護主義が拡がり、深刻化するでしょう。
私は日本が、米国に続いて保護主義をとることを望みません。保護主義に迷い込めば必ず発展のチャンスを失うはずです。
――安倍首相は「一帯一路」に「協力」することを表明はしましたが、日本政府全体としてはまだまだ距離をとっているようです。AIIBとも日本は一定の距離を保っている。このことについてご意見をお聞かせください。
私は、日本が世界で最後にAIIBに加入する国となることを望みませんし、日本がG7の中で最後に立場を変える国になることも望んでいません。そうなったら、日本の企業は歴史的チャンスを逃すことになるでしょう。私は安倍政権に早急に情勢を見極め、日本企業の発展要求から出発し、日本の企業の「一帯一路」に参加したいという積極的な願いを考慮して、なるべく早くAIIB参加を表明してほしいと思います。
AIIBへの参加は中日両国民の利益に合致するだけでなく、「一帯一路」沿いの各国人民の利益にも合致します。われわれは日本政府がなるべく早く決断を下してくれることを望んでいます。
質問/野中大樹(編集部)取材協力・写真撮影/尹莉
(原文は『週刊金曜日』(2017.6.23 1141号)に掲載)
人民中国インターネット版 2017年7月6日