侯若虹=文 馮進=写真
中国の南部、ベトナムと境を接する広西チワン族自治区は今年、自治区成立50周年を迎えた。さまざまな民族が平和に暮らすこの自治区は、この50年間、中国全体の発展とともにすべての分野で飛躍的な発展を遂げてきた。そして今、同自治区には新たな発展のチャンスがめぐって来た。自治区の南に広がる北部湾経済区が、東南アジア諸国連合(ASEAN)に向け開かれた重点経済地区となり、珠江デルタ、長江デルタ、環渤海湾に次ぐ「第4の経済成長の極」になるよう期待されているのだ。北部湾一帯を歩いてみると、経済建設の熱気がひしひしと伝わってくる。
中国経済の新たな「成長の極」
ASEANと海でつながる
広西チワン族自治区は面積23万余平方キロ、人口4850万人で、チワン族、漢族、ヤオ(瑶)族、ミャオ(苗)族など12の民族が世々代々、ここに居住してきた。
北部湾経済区は自治区の区都である南寧と北海、欽州、防城港の四市からなり、面積は4万2500平方キロ。海岸線は1595キロにおよび、ベトナムと国境を接し、陸地での国境線は230キロに達する。
天然資源に恵まれており、300種以上の亜熱帯の農業、林業の経済作物が育ち、鉄、クロム、マンガンなど40種以上の鉱物資源が埋蔵されている。石炭、石油、天然ガスも産出され、さまざまな種類の海洋生物や高価な海産物にも恵まれている。 北部湾はまた、東南アジア諸国と中国を結ぶ水陸の要地となっている。ASEANのメンバーであるベトナムとは水路と陸路でつながり、マレーシア、シンガポール、カンボジア、タイ、インドネシア、フィリピン、ブルネイとは海でつながっている。
中国は1990年代、「西部大開発」の方針を打ち出した。経済発展から取り残された地域の発展をはかるため、中央が地方のインフラ建設などを援助し、外資の導入に優遇措置を実施するもので、広西チワン族自治区を含め12の省・自治区・直轄市が対象地区に指定された。中でも広西は、「西南地区の海に出る通路の役割を十分発揮する」よう要請された。
それ以後、広西には大量の資金が投下され、近代的な空港、鉄道、道路や海運の総合交通ネットワークが建設された。それによって海への出口の中枢としての役割が次第にはっきりしてきた。
2004年、毎年一回開催される「中国・ASEAN博覧会」は南寧を常設会場とすることが決まった。
2006年、胡錦濤国家主席は「北部湾一帯の経済協力は大事業であり、重要な戦略問題であって、その前途は洋々としている」「広西の沿海の発展は、新たな一極を形成しなければならない」と述べた。
2008年、『広西・北部湾経済区発展規画』が国の批准を得て実施された。これによって広西・北部湾は、中国西部の対外開放の窓口の中枢となり、すでに大きく発展した珠江デルタ、長江デルタ、環渤海湾の後に続いて、中国経済を牽引する「第四の経済成長の極」になるであろう。
博覧会の常設開催地、南寧
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夜の南寧市五象広場 |
北部湾経済区の四都市の中で、南寧だけが海に臨んでいない。しかし、山は青く、水は清く、緑なす木々や咲き誇る花々によって、「国連人間居住環境改善最優良モデル都市賞」や「第一回中国居住環境賞」を獲得し、「中国生態環境建設優良10都市」に選ばれた。
この数年、南寧が注目を集めている。それは南寧が「中国・ASEAN博覧会」の常設会場になったからである。2004年から2008年まで、5回開催された博覧会と、中国・ASEANのビジネスと投資のサミットには合計32人の国家指導者と800人を超す大臣クラスの来賓が出席し、12万6000人のビジネスマンらが博覧会やサミットに集まった。契約された貿易額は65億2000万ドル、調印された国際投資協力額は286億2400万ドル。国内の協力プロジェクトは2815億元が調印された。
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「第1回中国居住環境賞」を受賞し、「中国生態環境建設優良10都市」に選ばれた広西チワン族自治区の区都・南寧市 |
博覧会の開催以来、中国とASEANの貿易額は年平均30%の勢いで増加している。2004年は1059億ドルだったが、2007年には2026億ドルに達し、双方にとって互いに四番目の貿易相手となった。また投資額は2007年までの累計で489億ドルに達し、博覧会開催以前と比べ10倍以上になった。
今日、南寧の街を歩くと、いたるところで中国とASEANの協力の成果を見ることができる。3平方キロの「南寧中国・ASEANビジネス区」の中には、ASEAN加盟10カ国の連絡事務所の建物がそびえ立っている。青少年養成基地や婦女研修センターなどの中国とASEANの協力機構も南寧に設立された。南寧は次第に、中国とASEANを結ぶ政治、経済、文化の交流の重要な架け橋となり、舞台となろうとしている。
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