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2009中国経済の6ポイント

今年もまた作柄は良かった

孫雅甜=文

安徽省六安市霍邱県の食糧生産は今年、166万5千トンとなり、食糧生産農家は1億3000万元の増収となる見込みだ(新華社)

2009年の中国の農業と農村経済の発展は、起伏に富み、ドラマチックな展開を見せた。年初には大干ばつと農民工の大量失業に見舞われ、確かに少し心配な事態となった。

中国政府は一連の措置を打ち出し、農業と農村経済の安定的で比較的速い発展を保障した。2008年12月には中央農村工作会議が開催され、2009年には「食糧生産の安定」「農民の収入の増加」「農業インフラの増強」「民生の発展の重視」の四つの面から農業と農村に対する活動を展開することを明確にした。

豊作で収入が増えた

今年、農業の良好な作柄を達成するのは容易なことではなかった。2月、50年来なかった大干ばつが冬小麦の主要生産地である河北、山西、江蘇、安徽、河南、山東、陝西、甘粛の8省を襲い、干ばつの被害を受けた面積は一挙に全国で1073万ヘクタールに達した。

政府と農民は全力を挙げて災害に立ち向かい、この危機を突破したばかりでなく、夏季収穫の食糧は連続6年の増産を達成し、生産量は1億2335万トンに達した。これは昨年に比べ260万トン多く、2.2%の増加であった。早場米の生産は3327万トンで、昨年より167万トン、5.3%増加した。

農民の収入を増やす面でも、政府は手を抜かなかった。2009年、政府は引き続き食糧買い上げの最低価格を引き上げ、マクロコントロールによって農産物の市場価格を安定させ、最大限、農民の利益を保護した。政府はすでに、2010年の小麦の各品種の最低買い上げ価格を500グラム当たり0.03元引き上げるとともに、米の最低買い上げ価格を適当な幅で引き上げることを明確に表明している。

また政府はすでに、農民に対する補助金を増額した。食糧生産に従事する農民に対しては引き続き直接補助、優良品種補助、農機具購買補助、農業生産手段総合補助を拡大することにしている。

このほか中国経済が次第に回復するのに伴って、農民工の就業状況が好転した。珠江デルタ地帯や長江デルタ地帯では「労働者の求人難」という事態まで起こり、多くの企業は賃金を引き上げた。統計によると、浙江省の農民の今年第3四半期までの一人当たりの収入は9431元に達し、昨年同期に比べ6.6%増加した。

民生改善に力を入れる

食糧の豊作は民心を安定させ、収入の増加は生活を改善させた。そればかりではなく、農村のインフラや教育、医療、社会保障などの公共サービスのシステムも逐次改善され、政府は、二年間で4兆元を投入して内需拡大をはかる経済刺激策を打ち出したが、その中の3700億元は農村の各種の民生プロジェクトとインフラ建設に用いられる。財政部(省)が6月に発表したデータによると、2009年の中央政府の公共投資予算のうち2522億元が農村のインフラ建設や農村の民生プロジェクト建設に使われるよう割りふられた。

国家発展・改革委員会は九月、『農村インフラ建設発展報告(2009年)』を発表したが、その中で、今年の投資は農林業と水利の重大プロジェクト建設を重点的に支援し、農業の総合的な生産力を高めるとともに、農村の生産と生活環境の改善に力を入れる、と指摘している。

2009年下半期になると、中国経済は回復し始め、浙江省義烏市では多くの企業が操業を再開した。義烏市の労働市場では、毎日、数百の企業からの求人がくるようになった(新華社)

中央政府はすでに、88億元を危険なダムの強化プロジェクトに、152億元を飲用水の安全プロジェクトに、50億元をメタンガス利用プロジェクトに、120億元を農村の道路改造プロジェクトに、それぞれ使うよう割りふった。さらに約350億元が教育や医療・衛生、文化・体育などに投資される。

今年、政府は引き続き「新型の農村合作医療」と呼ばれる農村の医療保障制度の完備に力を入れるとともに、これに参加した農民に対して引き続き資金補助を拡大する。

2009年に中国は、「新型の農村社会養老保険」を試験的に始動させた。これによって将来、中国の農民はみな、60歳以後は国から養老金を受け取ることになるだろう。

農村の消費を引き出す

国が農村のインフラ建設に対して大きな投資をすることは、金融危機の克服にとってさらに現実的な意義を持っている。危機に対応するには内需を拡大しなければならないが、内需拡大の最大の潜在力は農村にあるからだ。農村のインフラ建設と社会保障システムの完備は巨大な投資と消費市場の形成をもたらす。

農村の消費市場を活性化させるという意味で、今年のハイライトは「家電下郷(家電を農村に)」であった。農民が冷蔵庫やカラーテレビ、携帯電話などの電気製品を購入すると、政府からの補助金を受け取ることができるというこの政策は、農民の消費を促し、農民の生活を改善することを狙っていた。

有名な家電企業である海爾集団は、農民の家にまで家電製品を届けてくれる(新華社)

この政策は2007年12月から試験的に始まり、今年2月からは全国的に実行され、著しい成果があった。商務部(省)の統計によると、2009年の第3四半期までに販売された「家電を農村に」の製品は2082万台で、販売総額は388億元に達している。

6000万人以上の農村人口を抱える河南省では、今年上半期だけで、128万9000台の「家電を農村に」の製品が販売された。累計で3億3600万元の補助金が出され、170万以上の農村家庭がその恩恵に浴した。

また今年3月には「汽車下郷(車を農村に)」政策が始まった。農民が排気量の小さい自動車を購入すると、政府の補助が受けられる。この政策は膨大な農村の自動車消費市場を開放し、消費を呼び起こすことによって自動車生産を促すことができ、農民を優遇し、農村を強化する重要な措置として期待されている。

 

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