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2009中国経済の6ポイント

曙光が射した株式市況

沈暁寧=文

中国で株をやっている庶民にとって2008年は、ハラハラドキドキした年だった。それまで値上がりを続けてきた株式相場は、世界的な金融危機を主とする不利な状況の影響で、ジェットコースターのように猛烈な勢いで急落したからである。上海証券取引所の株価指数は5000ポイント近くあったのに、年末までに1600ポイントまで下がり、やっと下げ止まった。一度は大いに儲けた多くの株主は、いっぺんに財布がスッカラカンになってしまった。

ゆっくり回復した株価

2009年の初め、人々はこの一年の株式相場の動向をあれこれと占った。株価は一瀉千里に急落した後に底値付近を徘徊する「L」字型になるのか、それとも底を打ってリバウンドし、急上昇する「V」字型になるのか、あるいはまた上げ下げを3回繰り返す「W」字型になるのだろうか……。

その答えはいま、次第に明らかとなってきた。

今年一月、上海の株式市況はゆっくりと底値から抜け出し、1664ポイントから2000ポイントまで値上がりした。2月、3月の間に一度は2800ポイントまで値を上げた。株主たちは相場が「V」字型を描くのではないかと期待した。しかし、株価指数は2800ポイントに踏みとどまることができず、また2200ポイント前後まで急落してしまった。

株式市況は2009年、次第に回復し、中国の個人株主たちは希望が持てるようになった(新華社)

4月以後、上海の罫線表に示される相場は、上げ下げを繰り返した後、緩やかな上昇傾向を示した。いまは株価は基本的に安定し、3000ポイント前後を維持しており、明らかに引き続き値上がりする余地を残している。

2009年の中国の株式市況は、2007年のピークにまではまだ回復してはいないものの、すでに2008年の谷底からは抜け出した。その過程にたとえ起伏があったとしても、株をやっている人たちは希望をつなぐことができた。

マーケットの「晴雨計」としての株式市況は、経済全体の動向を如実に反映している。2009年に株式相場が一歩一歩好転したことは、金融危機に遭遇した後の中国経済が経てきた再編、強化、グレードアップという過程を体現している。

その背後には、中国政府が実行した「四兆元」の経済刺激策と企業の再編、グレードアップの措置があり、株式相場の好転はそれと切り離すことはできない。

今年の第1四半期、中国のGDPは6.1%成長した。第2四半期は7.9%、第3四半期は8.9%それぞれ成長し、第4四半期の成長は8%より低いことはあり得ないと見られている。

2009年下半期以来、世界的に経済の回復の兆しがますます鮮明になってきた。世界の株式市場は「上げ」の状況を呈し、これも中国の株式市場にとって良い環境をつくりだした。もし2008年の金融危機が大火災で、中国の株式市場という大草原が大被害をこうむったとするなら、2009年に中国の株式市場は火事で灰塵に帰した草原の大地から芽を出して、元気はつらつと蘇ったということができる。

ベンチャー企業に融資の道

2009年7月26日は、中国の株式市場の発達の歴史上、記念すべき日となった。10年の準備期間を経てこの日、中国政府はついに、「創業板」(ベンチャー企業向けボード)の創設にゴーサインを出したのだ。これまで上海と深圳の証券取引所に上場できなかった中小企業や新興の業種に融資の門が開かれ、さらに発展する余地が与えられたのである。  中国東南の沿海部や北京、上海などの大都市から、新エネルギーや新素材、バイオ医薬、電子情報、環境保護・省エネなどの分野の108のベンチャー企業が、その日のうちに上場を申請した。

2009年10月30日、「創業板」に初めて上場した企業の代表者たちがいっしょに取引開始の鐘を鳴らし、ベンチャー企業の株取引が順調に始まった(新華社)

これに対し、中国の経済界はおしなべて歓迎を表明した。中国の株式市場が「創業板」を開設したことは、民営企業を主とする中小企業がさらに大きく、強力になるうえで有利である、と考えたからである。もっと重要なことは、中国政府が国内経済を刺激するために打ち出した「四兆元」の投資計画には、いっそう深い意味がある──つまりそれは、政府の投資を通じて民間の投資が引き起こされるということであり、また民間投資が今後の中国の経済成長のもう一つの原動力となり、中国の資本市場の多元的発展の推進を促すということである。

国家発展・改革委員会は、「四兆元」の投資計画が執行された結果から見て、政府の投資の大幅な増加が実際に民間の投資の増加を呼び起こした、と認識している。今年の1〜9月、都市と町の民間投資は29.5%増加し、民間投資の活気のバロメーターである不動産投資もまた17.7%伸びた。

世界的な金融危機の下で打ち出された「創業板」について一部の経済学者は、時宜にかなったものであり、産業構造の再編と技術のグレードアップによる画期的な改良の時期をうまく利用し、新興の業種の発展を促し、時代遅れの企業を淘汰するのを助けるものだと言っている。

また中国の民営企業は少なくとも600万社以上あるので、「創業板」にはまだいくらでも後続の企業がいる。とはいえ、このボードの発展には、企業の質について注意する必要があり、急激な拡大は避けるべきだ、と指摘する専門家もいる。

 

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