井上俊彦=文・写真 王衆一=写真
蕪湖奇瑞など有名企業多数 企業誘致も売り手市場に
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蕪湖長江大橋 |
蕪湖長江大橋で巣湖と結ばれる蕪湖市は、合肥と並ぶこのエリアの中核都市であり、産業誘致ではすでに大きな実績を持つ。もともと紡績など軽工業が発達した都市だが、この10年ほどで急速に産業構造転換が進んだ。
同市には、コンクリートの世界的企業・安徽海螺グループや、急成長で国内有数の自動車会社となった奇瑞自動車などが立地し、市の知名度もすでに全国区だ。このため、産業移転でも有力企業が続々と進出しており、市の関係者は「企業の方から問い合わせが相次いでいる状態です」と笑顔を見せる。
同市の企業の中でも、各方面からの注目を浴びているのが奇瑞自動車(主要ブランド名は「CHERY」)だ。最近中国を訪れたことがある方なら、きっと同社の「QQ」と呼ばれる可愛い小型車を見たことがあるはずだ。
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奇瑞自動車の見事な生産ライン。同社の工場見学は、中国に「工業旅行」という新しい旅行スタイルを広めたといわれる |
工場見学前の説明を担当した曹筱栄党委員会委員・工会(労働組合)主席は、「私たちの会社のことは、みなさんもある程度ご存じでしょう」と切り出した。その自信も納得できる。初めての製品を発売してからわずか10年で、国内だけでも年間70万台を販売する中国ビッグファイブの自動車メーカーとなり、その成長ぶりは現代の神話とも言われているのだ。その推進力となったのが前述のQQで、一般の大衆車の半額以下という価格設定が、自家用車を持ちたいという大衆のニーズをとらえた。
それにしても、自家用車から商用車、タクシーに至るまで、同社のクルマがあふれる街の様子には驚かされた。地元雑誌の記事によると、同市では経済発展を受けて自動車市場が急速に伸びており、「蕪湖現象」と呼ばれているという。こうした状況に対し、市では将来人口が300万から500万の都市となることを想定してインフラ整備を急いでいる(2008年時点では約230万人)。すでに140億元を投じて、老朽化した社区(コミュニティー)やバラック住宅を改造、緑化面積拡大にも取り組んでいる。
人民中国インターネット版 2011年5月
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