展示された野菜は2000余種
樹上に生るトマト、100キロもあるカボチャ、直径7メートルにも広がり1株で1000もの実をつけるナス……。
4号パビリオンに入った筆者はほんとうに驚いてしまった。巨大なカボチャ、手のひらにいくつも載るミニカボチャ、観賞用カボチャ、滋養カボチャといった多くの種類のカボチャだけでなく、ヘビのように長いウリ、特大のトウガンなど、ここ以外ではめったに見られない野菜が数多く展示されていたからだ。私たちばかりではない。何十年も野菜づくりに打ち込んできた老農夫も驚嘆の声をあげたほどだ。
4号パビリオンの東側は広々とした一画で、何本かの木が植えられ、棚がしつらえてあるだけだった。なぜ野菜が植えられていないのかと筆者がいぶかると、カメラマンの魯さんが目ざとくその「秘密」を見つけ出し、「これはトマトの木だ」と叫んだ。
|
巨大な「トマトの木」。棚には赤く色づいた実も |
近づいて上を見上げると、棚にはトマトが鈴なりに生っているではないか。3500平方メートルのこの一画の「天井」はすべてトマトの緑の葉と実におおわれていたのだ。もう赤く色づき始めたトマトもあり、緑の天井に散りばめられたトマトの実は、まるで満天の星のようだった。
「トマトの木」はそれぞれ一辺が一メートル50センチほどの正方形の白い箱に植えられており、箱は鉄枠でしっかりと固定されている。
4号パビリオンの館長、張艶さんの紹介では、白い箱に入っているのは「栄養液」で、「トマトの木」の根はこの栄養液から養分を吸収し、「樹幹」は2メートル50センチ以上にも伸びるとのこと。しかし、トマトはやはり木ではなく、「樹幹」から枝分かれした茎や葉、実を支えるためにしっかりした棚をつくってやらなければならない。
この「トマトの木」のような、土壌に種を植えて育てる普通の野菜栽培とはまったく異なる高度な科学技術を応用した栽培方法が、今回の「菜博会」では少なからず展示され、多くの入場者の目を見張らせた。7号パビリオンに植えられた野菜は、すべて土を用いない「無土栽培」方法で、野菜は直接、栄養液から養分を吸収する。栽培にあたったスタッフは次のように説明してくれた。
「栄養液による栽培は、環境保護面で優れているだけでなく、単位面積あたりの収穫量が土壌栽培に比べ少なくとも5倍にはなります。養分の供給が十分なため葉菜類の生長は土壌栽培よりも速いという利点もあるのです」
何種類もの見事な野菜や見る者を不思議な世界に誘う最先端の科学技術もさることながら、野菜や果物、穀物などをふんだんに使ってつくられた200を超す数々のオブジェは、今回の「菜博会」の目玉と言ってもいいだろう。1万平方メートルの広さがある8号パビリオンには、こうしたオブジェの優秀作品が並び、妍を競っていた。入り口に入ると正面に飾られているのが「双龍戯珠」で、2匹の金龍が宝珠を奪い合う姿が各種の穀物と野菜の種でつくられている。20人が腕によりをかけ50日間もかけて造形したのだという。「江山多嬌」は10トンものショウガでつくられた山河の光景で、ほんとうに驚かされる。中国語では、ショウガ(生姜)の「姜」(ジァン)と「江山」の「江」(ジァン)は発音が同じため、「麗しいショウガの山」と「麗しい江山」はちょうど掛詞になっていて、心憎い。
今年は兔年であるため、会場内にはウリの種や黒豆、小豆などでつくられた多くのウサギが並んでいて、とてもかわいらしい。韓国からブースを出した企業の責任者、阮清熙氏は「私がこれまでに見た最も珍奇で、最も素晴らしい野菜の芸術品ばかりです」と驚いた様子で語っていた。
今回の「菜博会」には、国内外の野菜とその関連産業の発展にかかわる最新科学技術の成果と最先端の技術が一堂に会した。品質の優れた野菜、果実、花卉の品種が2000以上展示され、現代的な栽培モデルは30余、新品種は200以上、新技術・新成果も百以上紹介された。国内外の3000余の企業、およそ1万人のバイヤー・ビジネスマンが経済・技術交流と商談を行った。展示は種苗、肥料、農薬、ハイテク栽培成果など多項目にわたっていた。
|