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山東・寿光 中国最大の野菜基地 ハイテク栽培を実験

 

野菜畑でロボットが活躍

7号パビリオン館内にはダイヤ型の「未来館」が設けられていた。この館の主人は3台の精巧なロボットだ。今回で12回を数える「菜博会」だが、ロボットの登場は初めてとあって、多くの入場者の人気の的だった。

ロボットの調整をする発明者の張欽玉氏

スタッフの紹介によると、3台のロボットはそれぞれ「野菜摘みロボット」「野菜栽培管理ロボット」「環境最適化ロボット」で、形も異なり、仕事も違う。野菜摘みロボットは野菜の色や形を識別することができ、成熟した野菜だけを摘み取る。野菜栽培管理ロボットは農薬の散布や施肥などの栽培管理を行う。環境最適化ロボットは「未来館」内の環境を調整し、野菜の生長にかなった条件をつくり出す。

筆者は野菜栽培管理ロボットが実際に働くところをつぶさに観察したが、その仕事ぶりはほんとうに熱心で、感心してしまった。軌道に沿って移動し、各野菜ごとに数秒間ずつその状況を点検する。問題がなければ次に移るが、問題があると「右手」の先からあるいは肥料を施し、あるいは農薬を散布する。同時に「左手」の先が自動的に光を発する。この光は紫外線で、野菜を殺菌消毒するのだ。

「このロボットは昨年、開発・製造したもので、まだ実際の応用段階には入っていません。応用技術が完璧になれば、栽培ハウス内で作業させることもできるでしょう」とロボットを研究・開発した張欽玉氏は言葉少なに語ってくれた。彼の話によると、ほとんど興味半分でこのロボットの開発を手がけたとのこと。人の動作に基づいてこの3台のロボットが研究・開発されたのだ。

筆者が張氏と話していると、ちょうど寿光第一中学校(中高一貫校)の校長と何人かの教師が参観にやってきた。彼らの話では、張氏はもと寿光野菜研究所の所長さんで、現在は寿光一中の課外指導員を務めているとのこと。ロボットは張氏が寿光一中の生徒たちの課外学習を指導する中から研究・開発されたものだったのだ。

「菜博会」にはロボットのほかにも、中国の最先進の野菜栽培ハイテク技術である「植物工場」「無種育苗」「ベランダ栽培」「噴霧栽培」など、国際的にも最先端の各種ハイテク栽培モデルが集中的に展示され、一つひとつ丹念に見て回れないほどだった。

4分の1を占めた外国ブース

会場では、多くの入場者が手に一つあるいはいくつもの大きな紙袋を提げて歩いていた。紙袋には各種のパンフレットがぎっしり詰まっている。熱心な参観者はどのブースにも足を止め、真剣なまなざしを向けて研究に余念がなかった。

野菜の種を買うクリドゥムさん。彼は昨年、寿光の技術員の指導を受けて、冬暖式大型ハウスを採用、大成功を収めた
山西省の太原市から来たというクリドゥム(克里徳木)さんは「今年の博覧会を今か今かと待ち遠しく思いながら、さっそく駆けつけてきました。去年の第11回博覧会で、私は何種類かの野菜の種を買い求めて、実際に栽培してみましたが、どれも大成功だったのです」と顔をほころばせる。クリドゥムさんは今年54歳。彼は郷里で農民合作社を組織し、農民たちと目新しくて商品価値も高い野菜を栽培している。今年は、何種類かのウリ類とナス、トマトなどの新品種の種を買い求めたいという。

今年の「菜博会」には室内外に2000余のブースが設けられたが、その中には日本、韓国、イスラエル、オランダなど20以上の中国大陸部以外の国と地区の著名な農業関連企業のブースが4分の1以上を占めていた。種苗、肥料、農薬、農業用ビニール、農機具、園芸関連設備、温室材料、野菜・果物、ハイテク成果等々、多項目にわたる野菜栽培関連の製品が展示され、中国各地と世界各国からやってきた1万人に近いバイヤーとビジネスマンでにぎわった。

「フランス科労斯(クラウス)野菜種子公司」のブース前には、立派なセロリ、パプリカ、トマトが並び、多くの入場者を引き付けていた。ブース責任者の于冠文氏の紹介によると、この会社はフランスから野菜の種子を輸入し、中国国内で販売する総代理店で、創業してもう十数年になる。各種トウガラシ、トマト、ニンジン、セロリ、キャベツなど多くの野菜の種を扱い、なかでもズッキーニの種は山東省でのシェアが80%にも上る。

「『菜博会』は私どもに情報交換と商談の貴重な機会を与えてくれるプラットフォームです。中国各地の多くの農業関連企業が国外の先進的な農産物にたいへんな関心を示しています。大きな利益が見込まれる巨大な商機に満ち満ちていると言っても決して過言ではありません」と于氏。

「グリーン・シリコンバレー」と称えられている寿光市は、すでに12回を数える「菜博会」を開催してきた。毎回、世界の最先端の植栽理念と一流のブランド・技術、大量の密度の濃い情報がここに集まり、グローバルな野菜生産・流通の交流が行われて、バイヤーやビジネスマンとの間で商談が進められてきた。統計によれば、今回の第12回「菜博会」では、1回目の署名式だけで20の重点投資項目で契約が成立し、その総投資額は168億元にも上っている。

 

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