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山東・寿光 中国最大の野菜基地 ハイテク栽培を実験

 

中国最大の野菜集散地として

「寿光は野菜の生産規模が大きいだけではなく、中国最大の野菜集散センターでもあるのです。全国各地の野菜が、ここ寿光を経て、また全国各地に送り出されて行きます」

山東省寿光永盛種子公司の種苗実験ハウス

三元朱村で聞いたこの言葉が筆者にはどうしても腑に落ちなかった。小さな寿光市が全国の野菜物流をほんとうに左右しているのだろうか。筆者は寿光市にある野菜卸売り市場を訪ね、事の真相を探った。

早朝4時30分、私たちは霧雨の中を市街区の北部に位置する中国寿光農産品物流園に足を運んだ。まだ夜が明けないというのに、総面積200万平方メートルもある寿光農産品物流園内はすでに仕事の真っ最中といった雰囲気だった。収穫したばかりの野菜を運び込む農業用トラック、遠隔地から大量の野菜を積んできた大型トラックなどがひっきりなしに行き交い、たいへんなにぎわいだ。市場の建物内では、荷を積み下ろし、重さを量り、規格ごとに包装するなど多くの人が立ち働いており、目が回るほどの忙しさだ。

2号交易ホール内で、麻袋を椅子代わりに座り、インスタントラーメンの朝食をとっていた大型トラックの運転手でもある野菜商の趙さんに話を聞いた。トラックの荷台にはカリフラワーがぎっしりと積まれており、7、8人の農婦がそこから下ろして、手際よく仕分けし、包装していた。趙さんは東北と南方を行き来する野菜商だという。

「15トンはあるかな。上海郊外で仕入れ、13、4時間かけて、ほんのしばらく前に寿光まで運びこんだところです。上海では1キロ1.9元の卸値で買った。ここで午前中いっぱいかけて仕分けと包装をしてもらい、午後には東北に向けて発ちます」と趙さん。

外が明るくなってくると、山東省以外からやってくるトラックの数が増えてきた。江西省からはタケノコ、ベトナムからはニンジン、海南省からはパパイヤ……。さしも広い交易ホール内もトラックと作業する人々でいっぱいになってしまった。

2号交易ホールの山東省以外からやってきた野菜商とは違い、5号ホールで作業にあたっていた地元の野菜農家の主人、孫さんはもう仕事を終える時刻だった。孫さんは近くの孫家集村にある二つの大型ハウスでニガウリを栽培している。きょうは午前2時にはもう村から15キロほど離れたこの物流園にやってきたとか。午前5時過ぎには彼が運び込んだ400キロのニガウリはすべて売れ、帰り支度をしているところだった。「ほとんど2、3日に1回、ここにやってきますよ。気候がだんだんと暖かくなってきているので、野菜の値段もだんだんと値下がりしてきているね」と孫さん。

張南・中国寿光農産品物流園野菜交易管理部責任者に取材した。

ここでは、地元の野菜、山東省内の野菜、省外の野菜の3種類に大きく分けて扱っている。毎朝午前3時から地元の野菜の交易が始まり、午前4時半からは山東省内の野菜の交易が始まって、午前5時半以降は省外から運び込まれる野菜の交易も始まる。交易が終わると、野菜商は規格に基づいて野菜を仕分け・包装し、荷台に積みなおす。この作業が終わると直ちにトラックは中国各地に向けて出発する。

物流園で扱われる野菜・果物の量は1日に1万5000トンから2万トン。取引額は4千万元近くに上る。ここで全国の20余の省・自治区・直轄市からの野菜が取引されているのだ。ここでは時として何とも不思議な現象も発生する。中国最大のジャガイモ産地である内蒙古自治区のウランチャブ(烏蘭察布)市は北京から四百㌔も離れていない。直接北京に運び込まれるものと誰しも思っているだろうが、実際はウランチャブ市から800キロも離れたここ寿光にまず運ばれ、その後で500キロはなれた北京に送り出されるのだ。なぜこうした不思議な現象が起こるのかといえば、寿光が中国最大の野菜集散地であるからにほかならない。ここは全国の野菜・果物が取り引きされるプラットホームになっているのだ。

 

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