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飛躍する天津濱海新区の今
 

国家スーパーコンピューター天津センター

 

世界一を記録のスパコン幅広く応用領域を開拓

スーパーコンピューターというと気象予報や地質探査など大型で複雑な研究テーマに利用される印象だが、「国家スーパーコンピューター天津センター」で、私たちはそれがすでに身近な日常生活に入り込んでいることを知った。

3Dメガネをかけアニメの特殊効果を見たが、劉光明主任によれば、この天河一号によるプラットホームは、アニメ、映画・テレビにおける現在世界でも最大規模で、最高速度のものの1つだという。

このセンターは中国科学技術部(省)、天津濱海新区、国防科学技術大学が共同で構築したもので、天河一号は同センターの中心となる中国初の演算速度千テラフロップス、つまり浮動小数点演算を1秒間に実行できる回数は1000兆回を超えるスーパーコンピューターだ。2010年11月には最高速度4700兆回、持続速度2566兆回の浮動小数点演算を行い、世界スーパーコンピューター・ランキングで第一位を記録した。

スーパーコンピューターの計算ノードについて説明する劉光明主任(左端)

世界第1位を記録した高性能のスパコンだが、すでに民生への応用で成果を出している(天津市濱海新区提供)

「天河一号はすでにアニメ制作、バイオ医薬などの分野で幅広く応用されていて、将来的にも期待されます」

濱海新区の積極的な支持のもと、天河一号は石油及び天然ガス、バイオ医薬、アニメ及び映画・テレビのレンダリング(映像などの生成)、ハイエンド装備製造という4つの重要サービス・プラットホームを基本的に構築し、すでに石油探査からアニメ設計まで幅広い応用に成功、今後にはさらに期待が高まると、劉主任は話す。

「控えめに見積もっても、天河一号を使用すれば、利用者は情報投入費用を1億元以上節約できます」

 

エアバス天津総装有限公司

同社は、エアバス社が51%、天津保税区、中国航空工業第一集団公司、中国航空工業第二集団公司などが49%を出資し創立された

濱海新区の西部には天津濱海国際空港に隣接して航空経済区がある。エアバス社にとって3番目、ヨーロッパ以外では初めての組み立てラインはここにある。2005年に温家宝総理がヨーロッパを訪問した際に交わされた『工業協力強化了解覚書』に基づいて建設が決定、09年6月には最初のA320型旅客機を送り出している。現在は年産44機の生産能力を持つ。

エアバス天津総装(総組み立て)有限公司のジャン・リュック・シャルル(Jean-Luc Charles)社長は、生産の流れを説明しながら、部品は世界中の指定サプライヤーから供給されていると話した。その言葉に疑問をおぼえ、「そのサプライヤーの中に中国企業はあるのですか?」と質問してみた。組み立てラインだけ持ってきた、中国にとってうまみのない進出なのではと感じたからだ。すると、彼は具体的にパーツを示しながら、成都や上海の企業が部品を提供していることを教えてくれた。すでに中国に産業チェーンが確立されつつあるのだ。

組み立ての流れを説明するエアバス天津総装有限公司のジャン・リュック・シャルル社長(右端)

また、シャルル社長は、同社がスタッフ育成に非常に力を入れていることを強調した。ここでの長期にわたる訓練以外に、最長2年に及ぶフランスでのOJTも受けさせているという。さらに同社は、隣接する中国民航大学と覚書を交わし、同大学に協力している。地元から常に優秀なスタッフを確保するルートもしっかり作っているのだ。

中国は今後20年間に3000機以上を購入すると予測される世界第2位の航空機市場だ。同社の長期的戦略はこれを見据えたものといえるだろう。

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