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盛大に中国・ユーラシア博

 

文・写真=島影均

ウルムチ市の郊外のランドマークになっている博覧会パビリオン。新疆特有のパン「ナン」をイメージしている

砂漠から吹きつける熱風が少し和らいだ9月初旬、新疆ウイグル自治区の区都ウルムチ(烏魯木斉)市で、第2回中国・ユーラシア博覧会が開催された。2日の開幕式には温家宝国務院総理が出席し「シルクロードの新たな栄華を再創造しよう」とあいさつした。今回は参加国・地域が増え55となり、グローバルな博覧会として一歩前進した。会場内の参加各国、中国各地の展示ブースには大勢の人々が訪れ、またウルムチ市内では民族舞踊が披露されるなど歓迎ムード一色だった。

「シルクロードの栄華再び」 開幕式で温家宝総理が力説

温総理は開幕式で次のように語った。

世界的に非常に複雑な歴史的な変革が起きており、ユーラシア諸国は発展と協調を推進する上で、得難い好機に恵まれているが、半面、少なからぬ厳しい試練にも直面している。特に国際金融危機は4年も持続しており、世界経済は回復困難な曲折に満ちた状況におかれ、ユーラシア諸国の経済・社会発展にさまざまな困難をもたらし、発展の推進、貧困からの脱出、民生改善の任務は焦眉の急であり、非常に大きくなってきた。

第2回中国・ユーラシア博覧会の開幕式に参加した温家宝総理(中央)
温総理はこうした現状分析を示した上で、次の4点を提起した。

第一 政治的な相互信頼を強化し、この地域の平和と安定を維持する。中国は、地域問題はその地域の国家と国民が自ら決定すべきだと考え、また各国が国情にふさわしい発展の道を選択することを支持する。各国は国連憲章の主旨と原則を遵守し、対話と交渉を通じて紛争を解決し、外部の干渉に反対すべきである。

第二 市場開放を拡大し、共同の発展を促進する。域内のヒト、モノ、カネ、技術、サービスの自由な流通を促進し、保護貿易主義に反対しなければならない。現行の域内協力システムなどを整備し、二国間、多国間の自由貿易協定(FTA)の締結交渉を急がなければならない。また金融面での協力を強化し、重要な協力プロジェクトに必要な資金提供を保証しなければならない。この域内で困難な問題を抱えている国に対して、必要に応じて援助し、自主的な発展の能力を高めなければならない。協力プロジェクトは民生改善に傾斜配分し、民衆と発展の成果を分かち合わなければならない。

第三 国境をまたいだ地域協力を推進し、相互協力を促進しなければならない。新たなエネルギー・パイプライン・プロジェクトを積極的に推進しなければならない。また中国西部と欧州西部を結ぶ道路、鉄道建設などの重要な交通プロジェクトを加速しなければならない。ユーラシアの物流の大動脈を適切に運営、維持しなければならない。域内通信網の一体化を推進しなければならない。

第四 人的・文化交流を深め、各国国民の友情を深めなければならない。礼儀正しい対話を拡大し、より多くの文化、芸術交流を主催し、留学生の相互派遣を増やし、協力して観光事業を促進し、学術機関、青年組織、メディアの友好的な交流を深化させなければならない。

温総理はさらに次のように指摘した。

中国の全方位対外開放に伴って、新疆が中国の西方への開放、国境地域の開放において、地域的、人的・文化的、資源的に優勢な位置を占めていることが再び脚光を浴びている。新疆は中国とユーラシア諸国、取り分け周辺各国と相互協力を推進する上で橋頭堡の役割を持っている。新疆における改革・開放と発展・振興は、域内の各民族に恩恵をもたらすだけではなく、ユーラシア諸国の発展により多くのチャンスを提供する。

温総理はあいさつを次のように締めくくった。世界中どこにも道はなかった。道は人が歩いて出来るものだ。2000年前、先人たちが切り開いたシルクロードはユーラシアの人々が共同して築いた栄耀栄華である。今日、われわれは歴史の伝統から養分を吸収し、自信を持ち、開拓に奮闘し、手を携え、シルクロードの新たな栄華を再創造し、協力して、ユーラシアに素晴らしい未来を招来しなければならない。

参加企業・商社は5000社余 米国など10カ国がデビュー

銀製品を身に付け、展示しているベトナムのブース
新疆ウイグル自治区のウルムチ市で開催された第2回中国・ユーラシア博覧会は9月7日、温家宝総理が開幕式で述べた「シルクロードの新たな栄華の再創造」にふさわしく、数えきれない成果を残して閉幕した。開催期間中に温総理はじめ、各国要人、来賓約千人が訪れ、また内外のメディア2000社が取材、報道した。展示ブースには連日、多数の人々が参観に訪れた。

昨年の第1回博覧会の参加国は30数カ国だったが、今回は米国、イタリア、オランダ、インド、ブラジルなど10カ国がデビューし、参加国・地域は55に増加、同博は南極大陸を除く6大陸をカバーする規模に拡大した。これら各国と中国国内から5000社を超える企業・商社が参加し、商品展示、商談などさまざまなビジネス活動に取り組んだ。

イタリア対外貿易委員会北京事務所首席代表の頼世平氏は次のように同博を評価した。「今回、イタリアから12社来ているが、中央アジア各国が推奨している環境保護、石油精製、節水型の灌漑設備などの先進技術に関心を持っている」

また同博は台湾地区の商品が中央アジアに進出するプラットホームとなり、食品業など18社が参加し、出展責任者の台北世界貿易センター副総経理の葉明水氏は「多くの商品が回教徒の皆さんに認められた」と語っていた。

同博に出展した「中国のトップ500社」のひとつで、新エネルギー分野、特に変圧器製造で有名な新疆特変電工グループの展示は、タジキスタン、キルギスなど中央アジア各国の注目を集め、商談が活発に行われた。同グループ副総経理の呉微氏は「ここ数年、当グループは中央アジア各国に送電網を建設してきたが、今回の博覧会をきっかけに世界に向かって羽ばたきたい」と、抱負を語っていた。

今回の博覧会の成果は、経済、貿易協力、文化交流にとどまらず、さらに重要なのは「調和の取れた発展 協力によるウインウイン」という博覧会のテーマが各国要人はじめ参加者全員のコンセンサスになったことだ。

ブレア元英国首相はこのテーマを高く評価し「今の世界はかつてのいかなる時代に比べても緊密な関係が不可欠だ。中国は経済的に成功できたが、これは中国が改革開放政策を実行したからだ。さらに高度成長を続けるには各国との協力協調が必要であり、今回の博覧会は中国と隣国間の協力関係を強化し、多様な文化を持つこの地域でも平和共存が可能なことを十分に証明した」と語った。

 

人民中国インターネット版 2012年11月7日

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