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外資導入を超えた対外投資

昨年、中国は資本の純輸出国になったとされます。初めて、対外投資が外資導入(対中投資)を上回った(約200億㌦)わけです。このことは、外資導入をてこに高速成長を遂げてきた中国経済にとってコペルニクス的転回と言っても過言ではないでしょう。今後、海外観光で世界各地に出かける中国人が増えるのと同様、中国企業(資本)が世界各地に進出し、当該国の衣、食、住に貢献するようになるのではないでしょうか。

ところで、昨年、中国は対外投資で米国に次ぎ世界第2位となりましたが、外資導入では米国を抜いて世界第1位となりました。現在、中国には外資企業45万3400社(機関を含む)が進出しているとされています。

昨年から今年にかけて、こうした外資企業の一部に生産拠点を第三国に移転する動きが表面化し、話題となりました。商務部(日本の省に相当)は記者会見で「今のところ外資企業の撤退連鎖の動きはない」(『京華時報』4月17日)と答えていましたが、人件費の上昇などを理由に、パナソニック、ダイキン、シャープ、TDK、小林製薬、無印良品などが中国にある一部工場の日本国内回帰を決定したか検討中です。また、ユニクロ、ナイキ、フォックスコン、クラリオン、三星などが東南アジアやインドに新工場を建設し中国離れを加速しているとの報道(中国経済ネット2月22日)もありました。

変わるメード・イン・チャイナ

こうした動きに加え、主に軽工業生産拠点として世界の注目を浴びていた広東省東莞市、浙江省温州市などで、倒産や工場閉鎖が連鎖しているとの報道(同前)もあります。こんな報道がありました。「メード・イン・チャイナは2015年をどう乗り切るか? 全面的な改革深化にこそ突破口がある(同前)」。目下、中国は全面的な改革深化で、産業構造の調整、高度化を図っています。このことは、世界の工場の中身が変わりつつあるということにほかなりません。この点、今年3月開催の全国人民代表大会(全人代)で、製造業育成のための10年計画となる「中国製造(メード・イン・チャイナ)2025」やインターネット関連産業を活用した新たな産業発展戦略とも言える「インターネット+(プラス)」が国家戦略として審議されるなど、生産、販売拠点としての中国の可能性は、今後むしろ高まってくるのではないでしょうか。対中投資では、サービス分野への投資が増えつつありますが、筆者は、中国企業の対外投資が活発化する中、中国を第三国投資の新たな拠点と位置付け対中進出する外資企業が増えてくるのではとみています。65沿線関係国・地域が支持し、世界のGDPの3分の1を占める「一帯一路」発展戦略が始動しつつあるなど、中国(企業)との経済連携には新たな発展の可能性が秘められていることは間違いないでしょう。注 経済的、社会的変化を、現状改善によって未来の発展に向けた新たな環境創出の機会とすること。

 

人民中国インターネット版 2015年5月12日

 

 

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