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開放型新体制で共存共栄

中国商務部研究院副院長 李光輝

 中国経済の現状は「新常態(ニューノーマル)」や新モデル、新体制、新戦略などの言葉で要約できる。中国経済はすでに過去の高速成長から中高速成長の「新常態」に移り、経済発展モデルも外資誘致と輸出をよりどころとした過去の外需依存型経済から開放型経済の構築へと変化し、対外開放に新たな戦略を打ち出している。より開かれたやり方で国際的なマーケットに向き合い、協力とウインウインの経済発展戦略を世界各国と繰り広げている。

世界に中国の声を発信へ

 中国は現在、絶えず改革を深化させ、対外開放を拡大し、引き続き海外進出戦略を推し進め、全力で「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」構想を実施し、自由貿易試験区戦略を加速させている。「一帯一路」は将来の5年や10年、ひいてはそれ以上の期間に及ぶ核心的な戦略といえ、「開放型経済新体制の構築」の基盤となる役割を発揮する。自由貿易試験区戦略の狙いは全世界に向けた高水準の自由貿易区(FTZ)ネットワーク構築だ。世界の経済貿易ルールを再構築し経済ルールを置き換える過程で、中国の声と構想を発信するのが目的だ。

 中国は経済のモデルチェンジ過程にあり、新しい競争力はまだ育っておらず、古い競争力は次第に失われつつあると指摘する研究者がいるものの、商務部(日本の省に相当)が今年初めに代表的な中国企業300社余りを調査したところ、3分の2はすでにモデルチェンジの完成段階に入っていた。今年第1四半期に中国の貿易には非常に多くの新たなハイライトが現れた。これは新しく育ってきたモデルチェンジ後の企業によるところが大きい。

 例えば、中国沿海部の紡績・ファッション関連企業はもともと委託加工貿易モデルで生産していたが、現在はすでに全世界のデザインに関わるようになっている。これは企業の競争力を高めた優れた事例だ。海外進出戦略も同じで、現在ではもはや過去のように単純な海外進出ではなく、サービスやブランド、品質を中国企業の新たな優位性として競争力を育てる時期に移っている。

自由貿易区で新たな協力

 「第13次5カ年計画(13・5)」期間に中国経済には非常に多くの積極的な変化が間違いなく起こるだろう。目下、中国は経済成長率の目標を6・5~7%としているが、もし国内のサプライサイド改革や「長江経済ベルト」、東北振興などの経済構造調整と地域発展が世界のマーケットと有機的に結び付けば、中国の国内総生産(GDP)成長はいっそう加速するだろう。

 中国は自由貿易試験区に対する改革と推進を強めており、この過程で重要な役割を果たすだろう。2013年9月29日にスタートした上海自由貿易試験区や昨年4月に設立された天津、福建、広東自由貿易試験区は、中国の対外開放の新しいプラットホームを構成している。これらは過去の地域開放と比べて非常に大きな変化がある。

米ワシントンで4月13日、協調融資枠組みに関する合意書を交わす金立群アジアインフラ投資銀行(AIIB)総裁(左)とジム・ヨン・キム世界銀行総裁(新華社)

 

 この四つの自由貿易試験区では、過去に国内では開放されていなかった分野について率先して試み、試験的に実施し、模倣して押し広めることができる。以前の輸出加工区や経済特区、保税区には見られなかった状況だ。こうした背景の下、新しいプラットホームは未来に向けて改革と対外開放を深化させ、新たな国際経済協力の経験を模索している。

特色ある価値連鎖を構築

 中国は現在、競争力のあるグローバル・バリューチェーンをつくり上げる必要がある。中国は過去一貫してグローバル・バリューチェーンのローエンドからミドルレンジに位置していたため、モデルチェンジを通じて大国としてのグローバル・バリューチェーン構築を実現しなければならない。これは改革開放で積み重ねた経験を総括し、国際的な競争力を高めることでもある。

 その中で「一帯一路」戦略を通じて新たな地域経済協力や、中国の経済発展に有利となる国際的な地域を構築できる。これは長期的な努力を必要とする。「一帯一路」の最終的な効果がどのようなものになるのか私たちも注目している。少なくとも現在実施している政策と措置を通じ、この戦略はすでに前段階の目標を実現している。

 「一帯一路」のようなグローバル戦略のほか、中国の国境地帯開放政策も注目に値する。国境地帯の開放はすでに対外開放拡大の最前線になっており、「一帯一路」などの新たな対外開放戦略と密接に結び付いている。中国は新しい改革開放戦略でも国境地帯開放を重点として布石を打っている。国務院は昨年、国境地帯開放の深化を通じて周辺地域の経済発展を導くと同時に、バリューチェーンをつくり出して周辺を中国経済の発展と融合させるという三つの文書を公表した。例えば中国大陸と香港、澳門(マカオ)、台湾の経済協力は実際、大いに両岸4地域の経済的実力を合わせ、新しい競争力を生み出して世界に向かおうとしている。こうした積極的な変化が中国に与える影響は非常に大きく、ある程度「一帯一路」の実施にも劣らない。

 

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