経済成長だけでなく、社会発展も

 

中国初の都市化計画である「国家新型都市化計画(2014~2020年)」(以下「計画」と表記)は今後しばらくの全国の都市化の健全な発展を指導するためのマクロ的・基礎的な計画である。新型都市化に関するさまざまな課題について、中国国家発展・改革委員会の都市・小城鎮改革と発展センター発展計画部の文輝主任にお話を伺った。

――「計画」のどこが革新的で、注目すべき点だと思われますか

 文輝(以下「文」) 全体には二つの注目点があります。まず、人間が都市化の中心であること。人間の都市化の「人間」とは、どんな人のことを指すのでしょうか。それは、すでに都市部に流入している人口と今後流入するだろう人口のことです。そして、計画では二つの都市化率目標が設定されています。つまり常住人口都市化率と戸籍人口都市化率で、それぞれ60%と45%程度を目指しています。この二つの都市化率の提起が今までのものとの最大の違いであり、最大の進歩でもあります。

――以前に都市化は経済学、社会学、地理生態学という三つの角度から分析できるとおっしゃっていましたが、それはどういうことですか

 文 最初われわれの都市化に対する理解とは、経済学的な角度から見たものが多かったように思います。都市化と言えば、すぐ内需の拡大、経済成長を連想していました。経済面から考えるとそれは間違いではありませんが、経済成長ばかりを語るわけにはいきません。もし社会建設がそれについていかないと、多くの問題が生じます。

 そこで、今回の「計画」では社会発展を強調しています。主に都市部に流入した農民の生産様式と生活様式の転換に言及しています。これまで、農民が都市部に流入すると生産様式は変わりましたが、生活様式には変化が生じませんでした。都市部でお金を稼ぎふるさとに送金し、都市部で消費することはめったにありませんでした。それは都市部では消費に対する保障がなく、消費した後の憂いが解消しなかったからです。これこそ社会建設の立ち遅れといえます。

 また、地理学的意味でいう都市化もあります。これは主に、都市群や大、中、小都市という規模による区分や分類を行うことにあります。

――なぜ中国の大都市と巨大都市は拡大し続けるのでしょうか。中国の中小都市の発展には、どのような問題があるのですか

 文 現行の都市管理と行政体制の下では、都市の行政等級が高ければ高いほど建設用地の規模、建設プロジェクト、財政資金などの資源をより多く獲得することができ、極めて便利になります。市場経済学の角度から見ると、都市の発展も集積効果を追い求めるもので、人口と資源の集積度が高ければ高いほど、規模効果が強くなります。こうして、行政と市場の影響が相まって、中国の大都市や巨大都市の規模はますます大きくなる一方です。

 しかし人々は必ずしも大都市で暮らしたいとは思っておらず、むしろ環境の良い中小都市での生活を望む人が多くいます。中小都市ではプレッシャーも少なく、生活コストも安く、交通もそれほど混雑していません。私は、規模の大小を問わず、すべての都市は平等な発展チャンスが与えられるべきだと考えています。例えば、現在、鎮レベルの行政区画には、「三甲病院(中国における最高ランクの病院)」がほとんどなく、県レベルの地域でも「三甲病院」はまれです。今後は中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議の要求に基づき、資源配分において市場が決定的な役割を果たすようにするべきです。例えば病院建設は行政等級を問わず、人口規模と需要に応じて展開してこそはじめて、中小都市がより速く成長できるようになるのです。これは非常に重要です。

――「計画」では都市群を主要な形態として、大、中、小都市の調和的発展を推進することを打ち出していますが、都市群の機能をどのように理解すればよいのでしょうか

 文 都市群とは一つのプラットホームであり、大、中、小都市はこのプラットホームで「対話」することになると私は理解しています。これまで小都市と大都市は「対話」が不可能で、大都市は等級が高いため、小都市は大都市に従うことしかできませんでした。しかし、都市群では相互に対話できる場を作り出すことができます。

 例えば、燕郊は河北省三河市が管轄する鎮で、行政等級からすれば、北京市より3級も4級も低いため、普通の状況でしたらこの両地域は対話する機会がありませんでした。しかし、一つの都市群になれば、燕郊は首都経済圏における要地として、北京市の人口を受け入れる機能を引き受け、独自の機能と位置を得て、ある程度の発言力を持つようになります。

 都市群において、中小都市が発展する鍵となるのは自らの位置を見定め、特色を持ち、他の都市との補完性を作り出すことです。例えば、北京市近郊にある香河は家具の専門販売でよく知られており、燕郊は主に居住地としての機能を発揮しており、張家口の崇礼にはスキー場などのレジャー・リゾート施設があります。これらの地域はいかにして中心都市のためのサポートに務めるかを考えています。このようにして、それぞれに異なる空間配置が生まれるのです。

――「計画」の実行過程において、どんな点に注意を払うべきですか

 文 新型都市化の過程においては、人為的に都市を造成するのではなく、都市発展モデルの転換に、より多くの関心を払うべきです。新型都市化においては、大きな広場、広い道路、緑地の造成ではなく、ローカーボンで、環境にやさしく、コンパクトでスマートな都市を建設するべきです。欧州には多くを学ぶべきでしょう。欧州は相対的に人が多く土地が少ない状況なので、より節約型の道を歩んでいます。米国のモデルをただコピーするだけではいけません。

 

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