高原=文 馮進=写真
紅螺山の麓に位置する懐柔区懐柔鎮の甘澗峪村は、かつて北方の少数民族が万里の長城を過ぎ、平野に入る際の重要な通路となっていた場所にあり、軍事上の要地であった。自然環境に恵まれ、木がうっそうと生い茂り、たくさんの泉が湧き出ている。村を出て、少し行けば霊慧山に到着する。山には大きな古木がそびえ立ち、色鮮やかな蝶がひらひらと舞い、水がさらさらと流れる音がどこからとなく聞こえてくる。山の中では、イノシシが遠くの小川で水を飲んでいる姿がしばしば目撃されるという。
甘澗峪村は北京でもその名を知られた紅螺寺に隣接している。紅螺寺は、弟子を取らず、戒律も授けない。そのため、遼・金代(10世紀初~13世紀前半)から、甘澗峪村の周囲にはたくさんのお寺が建てられ、「24のお寺、72の庵」があると言われている。千年近くもの間、戦争や災害に何度も見舞われたものの、多くの古跡が今にまで残されている。
そのうち、もっとも有名なのは朝陽寺である。朝陽寺は明の万暦年間(1573~1620年)に建て始められたもので、規模はさほど大きくないが、美しい場所にあり、辺りがとても静かなため、修行に最適である。寺は南向きに山を背に建てられており、朝陽寺から遠くを眺めると、幾重にも折り重なる山なみが見え、樹木が染められたかのように真っ赤に見える。寺の前には「通天水梯」と呼ばれる81段の階段があり、不思議なことに、階段を上ると「ポタポタ」という、水が滴り落ちるような音がする。
甘澗峪村の霊慧山観光エリアでは、朝陽寺の他にも、近年、霊骨塔、天渓庵、山西庵、徳勝庵、関帝道院などの古建築が修復され、さらに朝陽禅寺、水岸観音などが新たに建設され、濃厚な文化の香りを味わうことができる。
甘澗峪村は北京市懐柔区懐柔鎮にあり、紅螺山のふもとに位置し、山々に抱かれ、美しい環境に恵まれている
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