上海・南京路 羅 丁 経営トップたちが集まる
上海一の繁華街、南京路に面した国際飯店は昨年11月22日、特別な客人を迎えた。タイム・ワーナー、アウディ、ルイ・ヴィトン、コダック、ニュース・コーポレーション、シティバンク、ナイキなど多国籍企業二十八社の経営トップたちで、彼らは上海の有名なショッピングストリート・南京路をめざしてやってきたのだ。 その少し前、上海は、中国の世界貿易機関(WTO)への加盟が承認された直後に世界に向かってこう宣言した。 「(我々は)180億元(1元は約15円)を投資して、南京路に世界一流のショッピングストリートを建設する」 それにより今後10年の間に、南京路の小売業面積の三分の一を提供し、国内外の有名ブランドを呼び寄せるのだという。南京路は、中国がWTOに正式加盟して以来、初の「対外開放ストリート」になるのである。 28社の経営トップたちは、上海市黄埔区政府主催の「世界一流の南京路を建設するための国際コンサルタント会議」に参加するため、上海を訪れた。彼らは、南京路の実情を視察したり、同会議や「南京路国際フォーラム」に出席したりして、中国の小売市場に進出するチャンスをうかがった。 その中には、有名ブランドや小売商、不動産業など世界から集まった経営トップたちがいた。世界の企業・上位500社のうち十社が、今回の会議に出席したのである。一部の経営陣たちは、会議開催前に南京路を訪れて、実地調査をした。現在、アウディは、南京路が建設を計画する「新車展示販売センター」に注目しているし、ナイキは、南京路に専門店を構える意向がある。またルイ・ヴィトンは、上海における本店を欲しているし、タイム・ワーナーとニュース・コーポレーションは、アミューズメント施設の設置計画に興味を示しているという。 WTO加盟によるチャンス 上海の南京路は、北京の王府井、パリのシャンゼリゼ通りと並び称されるように、重要な位置を占めている。誕生して以来、150年の歴史に彩られ、上海や中国商業の「代表」、「中華商業第一街」(中国商業、一番の繁華街)と称えられてきたのである。 かつては、一日の集客・300万人の世界記録を打ち立てた南京路だが、残念なのは現在、一日の消費額が一人あたり約29元と、かなり落ち込んでいることだ。 ここの「顔」となる販売店は、やはり伝統的な百貨店だ。上海第一百貨、新世界商厦、華聯商厦という三大百貨店が(南京路における)小売総額の66%を占めている。しかし、この三店舗は近年、3年連続のマイナス成長を記録している。国際的に知名度の高いショッピングストリートと比べれば、有名ブランドの専門店や都市型のショッピングセンター(設置の出遅れ)など、その経営モデルはまだ模索段階にある。 しかしながら中国のWTO加盟は、南京路の開放と発展に、この上ないチャンスをもたらした。世界の小売業・上位50店舗のうち、すでに70%が中国進出を果たしている。その経営はほとんどが合弁方式によるものだ。しかし、WTO加盟一年後には、外国の小売業者は独資(全額外資)方式でも卸売をすることができ、2、3年後には、小売市場が全面的に対外開放される。そのため、国内外の小売業者や不動産業者たちが、進出のタイミングをはかっているのである。 南京路は長年にわたり、発展する中国商業の「生き証人」であった。その対外開放は、世界に次のようなメッセージを投げかけた。 「中国の小売市場は、全方位の対外開放をスタートさせた。それは、(中国も)経済のグロバール化という新時代に入ったことを示している」 中国商業文化協会副会長で、北京工商大学副校長の劉秀生氏は、「南京路を開放したのは、(中国のWTO加盟の)明確なシンボルだといえよう。中国の小売市場に外資が導入できるのも、その重要な流れの一つだ」と語る。また、それは「サービス業や娯楽業だけでなく、卸売業、不動産業、金融業などにも大きな影響を与えるだろう」と分析している。 「外国企業で外国企業を呼ぼう」 従来と異なる点は、上海市が数百万元を投資して世界的に有名なコンサルタント会社、マッキンゼーに白羽の矢を立て、南京路の構造調整や計画項目について諮問したことだ。つまり、国際規格のコンサルティングを彼らにまかせ、それを橋渡しにして多国籍企業を招致するという計画だ。
マッキンゼーの担当者は、三カ月を費やしてシャンゼリゼ通り、ミシガン通り、オックスフォード街、銀座など九つの世界的なショッピングストリートを視察。世界一流の繁華街が持つ特徴と要素をまとめて、南京路の今後の目標を次のように定めた。「2010年までに、南京路の集客数や売上額を国際レベルまで引き上げ、世界一流のショッピングストリートへと知名度を高める」と。 その戦略的実施計画によると、10年後の南京路は「魅力永存」(魅力を永遠に)というテーマのもと、特色ある三つの区域により構成する。 それは一に、「海上情懐」(海上の気分)区域。外灘から河南中路まで続き、ファッショナブルな若者たちと、海外観光客向けの有名ブランドを集める。 二に、「都市時尚」(都市型ファッション)区域。河南中路から西蔵(チベット)中路まで続く道に、大型の室内ショッピングセンターと有名ブランドの本店街を設置する。 三に、「明日之約」(明日の約束)区域。西蔵中路から成都北路までの間に、「大光明映画芸術センター」などを設置したモダンな文化娯楽区域をつくる。 南京路は将来、国内外の一流ブランドがあふれ、豪華なホテルが林立し、アミューズメントセンターが建設されて、文化や娯楽、飲食などの施設が増えることになるだろう。黄埔区の徐建国区長は、国内外のメディアに対して、次のように語った。 「南京路は今回の改造で、中国の特色や時代の特徴、そして上海の特長を一貫して堅持するだろう。だが、改造後に高額消費の場所になるわけではない。南京路はこれまで同様、あらゆる人たちの南京路である」「それは世界で一番有名で、一番にぎやかで、一番長い商店街となるだろう」 計画によれば今後10年間、南京路の売上額を年に12〜15%ずつ増加させる。2010年には、現在の3・85倍にあたる、年間売上額400億元を達成することができる。また上海市は、現有の商店について競争システムを打ち立てている。異なる業績や経営方法に基づいて、@継続して支持する、・特色を生み出すことに支援する、A業績のアップのために支援する、B淘汰する――の四つの方法でそれぞれ対処するのだという。 |