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張興斌さんと手伝いをする劉瑞珂夫人 |
80歳を超えた張興斌さんは、影響力の大きい有名書道家で、唐の大詩人・白居易と同じ陜西省渭南で生まれた。
1976年に日本で展示された彼の草書「山雨欲来風満楼」(山雨来たらんと欲して風楼に満つ)は、専門家の間で、「さすがは碑林の故郷・西安が生んだ書道家の作だ」と賞賛を浴びた。
『人民中国』(76年9月号)の書道特集では、この草書をトップページに紹介した。奈良公園には、彼の書による扁額があり、日本で出版された『現代中国書道』『西安書道家作品集』には、彼の作品が収められている。中国でも、多くの出版社が彼の作品集を出版し、書展も何度も開催されている。また、シンガポールでは教壇にも立った。
張さんの書は、勤勉さと芸術に対する追求心から生まれている。彼は70余年、書道に対する精進を続け、漢以来二千年の「中和」をもって美とする伝統を打ち破り、何にも拘束されずに自我を表現した。著名な学者で、中国書法家協会名誉主席でもある啓功さんは、彼の書を絶賛している一人だ。
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「静観世事、笑対人生」(178×68センチ) |
古都・西安の伝統文化の奥深さや、黄土高原の温厚で素朴な民俗風習は、彼の思想や書道芸術に大きな影響を与えた。また、長期間、文化活動や報道に従事していたため、非常に経験豊かで、彼の書法からは、西北部特有の無骨で、雄渾で、純朴な芸術的特徴が伝わってくる。巨大な長巻物を好み、草書に優れ、筆を自由自在に操り、何にも拘束されず、筆、墨、文字配置、文章構成のすべてに優れた書道家である。
例えば、今回掲載した「静観世事、笑対人生」の草書は、書道芸術上、王羲之、張旭、懐素らの草書の真髄、力強さ、格調の高さがにじんでいるだけでなく、作者の豪放かつ闊達で、楽観的な性格的特徴が良く出ている得難い力作である。
張さんの書道芸術に対する傑出した貢献を広く伝えるため、地元政府と支持者たちは、彼のふるさとに「張興斌書法芸術館」を建設した。これは、西安の「碑林」に次ぐ陜西省第二の書道芸術館である。
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