Q 初めての中国旅行で片言でも中国語を使いたいが、何を覚えておけば無難だろうか。
A 旅行会話の本が最近、たくさん出版されている。私の書いた『中国旅行ハンドブック』の第一章に、中国語のわからない人のための「旅行直前に覚える五十句」がある。CDを聞きながら「ものまね」しよう。旅の楽しみも倍増するよ。
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テーマパークで宋代にひたろう |
20年前の中国の旅で自然に覚えた中国語は「没有」(ありません)だという。当時、店は国営で商売熱心ではなく、品物があっても「没有」と答える場合もあった。今は個人経営の店が多く、観光地は売り子が溢れ、「不要」(要らない)を覚えておかないと、売り子に付きまとわれてしまう。「没有」から「不要」へ、中国の変化をうかがわせることばだ。
もう一つ気をつけなければならないのは、日本語の「こわい」。中国語の「快」(はやい)の発音とよく似ている。ある日本人中年女性が中国でタクシーに乗り、その乱暴運転に「こわい」と口にした。運転手は「もっと速くして」だと思って、さらにスピードを上げた。くだんの人は「こわい」を連発、運転手はさらにスピードを出した。これは作り話ではない。本当にあった話である。
Q 春の旅を企画している。「西湖がきれいだ」と聞いたが、いつ、訪ねるのがいいか。
A 西湖は浙江省の杭州にあり、上海から観光列車に乗れば、2時間で行ける。西湖は本当にきれいだ。デートに最適の場所で、新婚旅行にお勧めする。杭州はお茶の産地でもある。近年、中国茶がブームの日本から中国茶の勉強のため、若い女性がよく訪れる。
3月は列車に乗れば、車窓から一面に広がる菜の花畑を楽しめる。ただし、3月は浙江は雨が多く、霧がたちこめ、西湖を眺めることができない場合もある。行くなら4月中旬をお勧めする。
Q 杭州の周辺の都市も回りたいが、どこがいいのか。
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鏡のように澄みわたる西湖 |
A 杭州市と烏鎮のセットがけっこう面白い。数千年の歴史をもつ烏鎮は水郷で、昔ながらの町のなかに「木彫り展示会」「伝統的なベッド展示会」「絞り染め展示会」などがある。烏鎮全体が、一つの博物館のような存在である。
時間があれば、寧波市を一度訪れてください。上海から飛行機で寧波まで30分ほど。寧波は日本からの遣唐使が上陸した港で、天童寺、阿育王寺など日本とかかわる大規模なお寺が多い。道元は天童寺で修行し、鑑真は阿育王寺に滞在していた。寧波の海鮮料理がとてもおいしい。料理の味付けもあっさりしていて、日本人の口には合う。
杭州は西湖遊覧、霊隠寺参拝、博物館などの見学のほかに、お勧めは宋の時代の建築様式を再現した「宋城テーマパーク」。大道芸人のさまざまな芸を楽しむこともできる。朝九時前に到着すれば、宋皇帝お出ましの儀式にも出会える。本当に宋の時代に紛れ込んだように錯覚してしまう。
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