【上海スクランブル】


3種の神器も時代で変わる!?
                             須藤美華

マイカーも増えてきた

 中国経済の発展の拠点としてオフィス、ホテル、マンションなどの超高層ビルが林立する上海。その数、高層ビルが2000百棟、高さ100メートル以上でも140棟を超える。いまも街のあちこちでスクラップ&ビルドが繰り返されていて、工事現場は2万カ所もあると言われる。

 なかでもマンションは、建築ラッシュ。土日ともなると、多くの人が新築マンションのショールームを訪れる。マンション購入を考える友人につきあってショールーム回りをした。

 美しいパンフレットを手にして、完成図を縮小した模型やモデルルームを見ながら説明を聞く。100万元(1元=15円)以上の物件だというのに、「日に2、30組はお客様が来ます。早く予約をしたほうがいいですよ」と、営業マンは自信たっぷりにセールストークを続ける。

 マイホームブームは、家具やインテリア業界にも波及している。スウェーデン系家具販売店の「IKEA」は生活提案型の売り場づくりが若い世代に受けて、週末ともなると立錐の余地がないほど。インテリア関連雑誌も好調で、発行部数は主要六誌合わせると百万部近くに達する勢いだ。

 新居の購入に伴って、家電の買い替え需要も喚起しているようだ。45万元のマンションを購入した、夫は自動車メーカー、妻は量販店のバイヤーという40代の友人夫婦の家庭では、テレビはソニー、冷蔵庫は日立、洗濯機は海爾を購入した。量販店に行くと、日本ではあまり目にしないシーメンスやエレクトロラックス、サムスンなど外資系ブランドの家電製品を目にする。中国市場が世界市場の縮図であることを思い知る。

マイカーやコミュニケーションツールも人気
フォルクスワーゲンのポロの広告

 街の経済成長とともに、消費ブームにわく上海。そんな元気な上海で近頃、マイホーム以外で流行っているものというと、マイカー熱だろうか。政府機関の国際情報センターは昨年4月、乗用車の個人購入率が販売台数の5割を超えたことを受けて、中国はマイカー時代に突入したと分析している。上海現代産業発展センターの調査結果では、上海でも昨年8月時点でマイカー所有台数が10万台を超えた。また、3%(約12万人に相当)の家庭が5年以内の購入を計画している。

雑誌スタンドではファッション誌がしのぎを削る

 一昨年のWTO加盟に伴う輸入車への関税引き下げを機に、02年に入って乗用車の値下げ競争が激化。欧米メーカー系も10〜15万元のクラスを主力車として投入。かなり買いやすい価格帯に近づき、身近にもマイカー族がちらほら出始めた。外資系企業に勤める友人(28歳)は、GMの合弁会社の「セイル」を買った。

 「GMというブランド力と、約12万元という価格が一番の決め手かな。車本体のほかにナンバープレート代や保険、税金などで約4万元かかることを考えると、このくらいが限度」と、購入の決め手を話す。

 そのほか、デジタルカメラやカメラ携帯電話など、新しいコミュニケーションツールも人気だ。携帯電話のショートメッセージも若い世代を中心に定着していて、ある調査によると、15〜25歳の一日の平均送信本数は5・2本。「親指族」も誕生している。

マイナスイオン商品に男性用化粧品も

おしやれな『ojji』の誌面

 情報感度の高い上海女性たちのファッションは、日本の若い女性とほとんど同じファッションだ。日本のファッション雑誌『Ray』や『Ojji』の中国語版は、若い女性たちのファッションバイブルとして人気がある。そういった影響もあって、美意識も確実に変化。ドライヤーや脱毛・除毛商品などパーソナル商品の市場も膨らみ始めているようだ。日本でここ1、2年流行っているマイナスイオン商品も登場し、関心を集めつつある。女性だけでなく男性の身だしなみ意識もアップしていて、こうした意識変化をにらんで化粧品メーカーでは男性用化粧品を発売している。

 時代とともに変わる3種の神器。今は、「マイホーム、マイカー、パソコン」だそうだが、08年の北京オリンピック、10年の上海万博の頃には、人々の三種の神器はどのように変わっているのだろうか。