中国西北部にあたる陝西省、山西省、内蒙古自治区の一帯では、寒さや乾燥に強いカラスムギを栽培している。このカラスムギで作った粉は、「ヨウ面」と称される。ヨウ面は淡灰色で、粘りけのある口当たりである。土地の人たちがンッ面で作る麺食(小麦などの粉で作った食べ物)は、地方色豊かな食べ物となった。
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発行部責任者の孫立成さん |
貨物の流通が盛んになった今では、小麦粉の主食に食べなれた人々は、ヨウ面の食べ物を主食としなくなった。しかし、地方色にあふれた懐かしい食べ物として、一部のグルメやレストランの経営者たちが、再びンッ面に注目している。
本社発行部の責任者、孫立成さんは、相当なグルメで知られ、ヨウ面にも一家言をもっている。今回、紹介してくれたのは、「乞丐巻」(乞食巻き)というユニークな食べ物だ。
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カラスムギ粉と、よくこねた生地 |
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ジャガイモ、ニンジン、春雨など |
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のばした生地に千切りにした具をのせる |
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具を巻いたら、幅5センチに切る |
乞丐巻の作り方は、いたって簡単である。ヨウ面の生地をのばし、彩りのよい具をのせて、それを巻いたら切り分けて、蒸し器で蒸せばできあがり。こうした作り方が、まるで「乞食」が粗末なふとんを丸めるようなので、その名がついた。
ヨウ面は油分が多く、消化しにくいために、腹持ちがいい。ジャガイモ、ニンジン、春雨は、どちらかといえば「単調」な具であるが、やせた土地に住む人々の、生きるための糧だった。そういう意味からすれば、乞丐巻は、土地の人たちの頑強な生命力を反映しているといえるだろう。
現代っ子が作る乞丐巻は、昔に比べて多彩になった。具の中に、ネギのみじん切りや香菜を加えれば、おいしくなるし、彩りもいい。つけていただくタレには、しょうゆにラー油、またはごま油を加えてもいい。蒸し器は大きなものでなく、南方で使われている小さなセイロでじゅうぶんだ。現代っ子たちは乞丐巻を作って、その珍しく、懐かしい気分を味わっているのかもしれない。
乞丐巻の作り方は、次のとおり。
@カラスムギ粉は熱湯を加えてよくこね、厚さ三ミリほどにのばして、長方形に切る。
Aジャガイモ、ニンジンは皮をむき、千切りにして、さっとゆでる。
B春雨はぬるま湯でもどしてから、食べやすい長さに切る。
Cジャガイモとニンジン、春雨をよく混ぜ合わせ、@の生地の上にのせ、ネギのみじん切りと刻んだ香菜をちらす。
DCを手前からしっかりと巻いたら、包丁で幅約五センチに切り分ける。
E蒸気のたったセイロに、Dの断面が上になるようにして入れ、七分ほど蒸す。しょうゆにラー油か、ゴマ油を加えたタレにつけて、いただきます。
[材料](3人分)
カラスムギ粉…………………500g
ジャガイモ……………………1個
ニンジン………………………2本
春雨(太め)…………………100g
ネギ、香菜……………………少々
しょうゆ………………………少々
ラー油、またはゴマ油………少々
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