フントゥン(ワンタン)は、餃子(ギョーザ)のように、中国ではとても普遍的な麺食(小麦などの粉で作った食べ物)だ。しかし、大晦日に必ず食べる餃子と異なり、それは気軽に食べられる。
ふつうは、朝食として作るが、焼餅(小麦粉などをこねて焼いたもの)やマントウを添えれば、正式な食事にもなる。フントゥンと餃子がハッキリと異なる点は、フントゥンはスープに入れたものであり、スープの中にもいろいろな食材が入っていること。その皮は餃子より薄く、包み方もいくらか異なる。
さまざまな具があって、北方では豚ひき肉がメーンだが、南方では「海鮮」(新鮮な魚介類)が中心である。海鮮や肉を使わずに、野菜などでこしらえた、あっさりとしたフントゥンもある。
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編集部の侯若虹さん
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近ごろ、よく目にするのが「三鮮」の具のものである。豚ひき肉に、キノコにエビが含まれている。スープの中身も、地方によって特色があるが、一般的には香菜とのり、干し小えびが「定番」である。
本社編集部の侯若虹さんは、小さいころから、自家製のフントゥンが好きだ。今でも「おふくろの味」を守りつつ、自分で作って食べている。スーパーなどで、さまざまな冷凍フントゥンが購入できるが、侯さんの娘さんに言わせれば「やっぱり、ウチのがおいしい」のである。
自分で作れば自由だし、好みによって「創造」できる。たとえば、ふつう香菜はスープの中に加えるが、侯さんはそれを細かく切って、肉の具に混ぜるのが好きだ。それは、さらに特別な味わいになるからだ。
フントゥンには、押し伸ばした皮を用いる。餃子の皮は円形なのだが、フントゥンの皮は厳密にいうと台形だ。かつては多くの商店で、その皮が購入できた。しかし今では、さまざまな冷凍ものが出まわって、みずから作る人は少なくなった。フントゥンの皮も、大型スーパーまで出かけなければ、買えないのである。
侯さんに教えてもらった作り方は、次のとおり。
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具の材料 |
台形の皮を使いたい |
具をくるりと包む |
ワンタンをサッとゆでる |
@ まず、フントゥンの具を作る。香菜と水でもどしたシイタケ、小ネギ、ショウガはそれぞれみじん切りにする。
A@に豚ひき肉と塩、しょうゆ、白コショウ、お好みで化学調味料を加え、よく混ぜ合わせる。
B次に、具を包む。台形の皮を利用し、幅のせまい方に、スプーン半杯ほどの具をのせる。くるりと巻いたら、幅の広い方の角と角をくっつける。少しだけ水でぬらして、皮をとめる。
C最後に、ゆでる。鍋に湯を沸かしてフントゥンを入れ、三〜四分ほどゆでたらOKだ。火をとめる前に、香菜とのり、干し小エビなどを加えて、できあがり。
[材料](3人分)
豚ひき肉……………………… 300g
香菜……………………………50g
水でもどしたシイタケ …………5枚
小ネギ…………………………10g
ショウガ……………………… 10g
塩、しょうゆ、白コショウ………少々
簇篆の皮………………………500g
スープ用の香菜、のり、
干し小えび ……………………適量
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