ポンフェイ先生の旅アドバイスI
オススメしたい海南島の旅

  海南島(省)は中国の「ハワイ」と言われているが、冬も暖かいか。

  「常夏」の観光地なので、これから冬の旅をしたい方にはお薦めしたい。

 海南島の価値は「三亜」にあり、三亜の価値は「亜竜湾」にある。海南島に行くなら「亜竜湾」に泊まらないと、実に大きな損失だ。その海やビーチはとても奇麗で、日本ではなかなか味わえない南国の雰囲気をもっている。どこにも行かずホテルに三連泊して、のんびり過ごすだけでも価値がある。「三亜凱莱大酒店」「天域度假酒店」「天鴻度假村」など、周囲に五つ星や四つ星のホテルがぞくぞくできており、宿泊に困ることはない。

 レストランなどは少ないが、ホテルのレストランの食事で十分楽しめる。周辺にゴルフ場や貝殻館、蝶々館などがあり、観光できる場所は多い。特にマリンスポーツの好きな人には、たまらない場所であるに違いない。家族旅行で一日、ビーチでゆっくりするのも最高のぜいたくである。

 リゾート地として、すでに完備されている。日本人の観光客も多く、特に「ハワイ」派から「海南島」派へ移った人も多い。

  三亜の観光の目玉は?

巨石が点在する「天涯海角」

  三亜市内の「鹿回頭公園」は、三亜市の全景を見下ろすには最高の場所。「南山仏教文化苑」の精進料理はお薦め! 中国各地の精進料理をいろいろ味わったが、ここの料理は上位ランクに入る。三亜の「海鮮料理」は全国でも有名。ただし、作り方は中国風。日本流に作ってほしいと依頼しておけば、口に合うものを作ってくれる。ポン酢があれば、もっとおいしくいただける。

 食材はとても豊富だ。「五指山」の無農薬の山菜、「ヤシ」のジュースや熱帯果物も忘れず味わってほしい。「天涯海角」では巨石が点在する浜の公園、延々と連なる海岸線が見られる。行きは散歩しながらでよいが、帰りは船に乗ればだいぶ楽になる。

 ビーチや自然などが目玉だ。中国を観光する日本人客に歴史好きな人は多いが、残念ながら三亜には博物館のような施設はない。しかし、リー(藜)族やミャオ(苗)族の少数民族に出会うことができ、年配者にはまだお歯黒(既婚者が歯を黒く染める)の風習などが見られ、興味深いであろう。

  三亜市の周辺は?

  バスで一時間から二時間で行ける範囲でいえば、興隆市の温泉郷、陵水市の「猿の島」がお薦め。陵水市のモンキー半島では、猿が千匹ほど生息している。猿のショーもおもしろい。

  海口市にはおもしろいところがあるのか。

  一週間以上の旅行日程なら、海南島の最大都市・海口市に行ってもよい。お薦めは「東寨港海上森林」(マングローブ)、海口から車で30分ほど離れたところにある。満潮の時の景色はきれいだが、潮がひいたときの景色も格別。悠々とアヒルが水中散歩し、その光景に心が洗われる。

 日本から海南島まではまだ直行便がないので、広州経由となる。日程を組むとき、「日本→広州(泊まらずそのまま乗り換えて)→三亜」のように組むほうが、三亜でゆっくりできる。帰りは広州に一泊するとよい。

 近年、冬季にかぎって日本から三亜までのチャーター便が増えている。事前に情報収集する必要がある。


 彭飛(ポンフェイ) 中国上海生まれ。上海復旦大学卒業。1993年、大阪市立大学文学部で文学博士号を取得。現在、京都外国語大学助教授。旅関係の本に『中国旅行ハンドブック』(DHC)、『海南島をゆく』(PHP)、ほかに『大阪ことばと外国人 例文中国語・英語訳つき』(中央公論新社)など、著書多数。