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神秘の蜀文化を映す
三星堆青銅人頭像
 
 文・魯忠民 写真提供・人民画報出版社


青銅器 殷(商)(紀元前17世紀〜前11世紀) 高さ34センチ

 

 三星堆遺跡の文物は、歴史的、科学的、文化的価値があるだけでなく、芸術的な鑑賞性にも富んでいる。初めて公開された頃には、内外の人々のため息を誘い、特に、今回紹介する青銅人頭像は多くの人を驚かせた。

 三星堆遺跡には二つの祭祀遺跡があり、全身立像、人頭像、人面像を含む、等身大の青銅器70数体が出土した。多くの専門家は、祭祀の場として使われた時期は、殷(商)(紀元前17世紀〜前11世紀)に相当すると考えている。

 出土した青銅人像は、中国でも前例のない形だったため、中国の冶金と彫塑芸術の歴史に大きな意義を持ち、一連の謎を残すことになった。専門家は、文物の表面に残る焼け跡から、古代蜀族が盛大な祭事で使ったものだと推測できるという。祭事の対象は、天や地、山や川などの自然界の神様だった。

 青銅人像と人面像は、高い確率でいけにえを象徴していると考えられ、人を捧げる代用品となっていた。この種のいけにえの代用品を火にあぶってから埋葬する儀式は、甲骨文字の中にしばしば見られる「燎祭」に当たる。

 ここから、古代蜀族が、祭事や儀礼制度において、中原の殷文化の影響を受けていたことがわかる。しかし、青銅人面像などは強烈な地域色を示し、殷文化の特徴は見られず、古代蜀族の青銅器文化の芸術的成熟を反映している。

 人頭像は、高さ34センチ。冠の形が特異で、表情は厳粛で、眉が太く目が大きい。また、口が広く鼻がとがり、えら骨が張っている。両耳は外側に張り出し、それぞれの耳たぶに孔があけられている。大まかな輪郭と誇張された形は、古代蜀国の神秘性を表し、蜀国のきらびやかで美しい特色を提示している。

 
 

三星堆博物館

 

 
 三星堆博物館は、四川省広漢市の西郊外、省都の成都市から約40キロの三星堆遺跡北東部にある大型の現代的な歴史博物館である。

 遺跡の総面積は12平方キロ。四川省で発見された遺跡の中で最も広く、最も出土文物の分布年代が幅広く、最も文物が美しく、最も文化的価値が高い古城、古代文化遺跡である。1998年、国務院より「全国重点文物保護単位」に指定され、いまでは世界文化遺産にもリストアップされている。

 1929年春、一人の農民が、溝を掘っていた時に偶然、美しい色をした玉を見つけた。これが、数千年前の古代王国が眠りから覚めた瞬間だった。

 専門家は当時、璧、環(いずれも輪の形をした玉)などの珍しい文物400点以上を発掘し、それ以降、数十年の考古学発掘を経て、大きな成果を上げている。古城壁遺跡の確認、宮殿遺跡の発掘、数え切れない文物の出土なども重要だが、特に、1986年に2つの殷(商)代の大型祭祀遺跡が発見され、千を超える貴重な文物が出土したことで、国内外から注目を集めた。

 三星堆博物館は、1992年8月に起工、1997年10月に竣工し、一般公開された。敷地面積は20ヘクタール、主館面積は7000平方メートルある。博物館の外観は、地形、史跡、文物の造形芸術を結合させた趣を追求し、原始的要素と現代の息吹を融合させている。ホールは現代化されていて、『古城古国古蜀文化陳列』をメーンテーマに、三星堆遺跡及び2つの大型祭祀遺跡から出土した陶器、玉器、骨器、金器、青銅器などの千点以上の貴重な文物を展示している。