この夏、中国から日本にやってきた女性アーティスト・グループ「女子12楽坊」が一世を風靡した。外資系の大手レコード店・HMVが出しているフリーペーパーでもこのほど、表紙に「女子12楽坊」が登場した。いわゆる「楽坊」とは、唐代に宮廷に設けられた「教坊」(音楽や舞踏などあらゆる芸に秀でた女性を集めた官署)に由来している。また、12という数は、中国の長編小説『紅楼夢』の中の「金陵12釵」から取られたという。 |
8月23日、中国の女性アーティスト・グループ「女子12楽坊」が、東京・恵比寿で初コンサートを開いたが、その1500組の抽選チケットに、4万人の応募があった。大通りや地下鉄、テレビや新聞など、いたるところで「中国美女軍団」のポスターや記事が目についた。
中国大陸から来たこの民族音楽グループは2001年7月、北京で結成された。メンバーの平均年齢はわずか23歳。顔立ちが美しいばかりか、バツグンのスタイルである。また、全員が中央音楽学院など音楽大学の出身で、いずれも優れた演奏によって、賞を受けた経験がある。
発案者の王暁京氏(北京世紀星オ文化伝播有限公司社長)は、かつてロック歌手・崔健のマネージャーで、中国音楽界に大きな影響力を持っている。「女子12楽坊」では、二胡や古筝、琵琶、独弦琴、葫蘆絲、吐良など数十種の中国民族楽器を使い、ほほ笑みを絶やさず、立ったままでも演奏するよう要求したという。彼は、中国民族音楽の「目を閉じて鑑賞する」という概念を打ち破り、彼女たちの音楽は必ず「目を開けて鑑賞するように」とアピールした。
日本で7月24日に発売されたデビューCD「女子12楽坊―Beautiful Energy」は、当初わずか3万枚が出されただけだが、その一カ月後には突然、日本のヒットチャートの第一位に踊り出た。2カ月も経たないうちに、「女子12楽坊」のCDは100万枚を売り上げ、その人気は不動のものになったのである。
近年来、日本の流行の趨勢は、「癒し」という言葉と密接なつながりがある。心の癒しを渇望し、精神を解き放つという状態を探し求め、日本独特の「癒しの文化」を形成したのだ。予想がつかなかったのは、「女子12楽坊」の12人の女性たちが、こうした文化現象を最もよく表しており、ビジネスの上でもかつてない高さまで上昇していることである。彼女たちが用いる中国古典楽器は、その自然に流れるようなメロディーで、多くの日本人の琴線に触れた。積極性と、命の活力の象徴を人々に感じさせたのだ。
プラティア・エンタテインメント株式会社は、今年3月に設立された日本の音楽プロダクションだ。そこで制作された一枚のCDが「女子12楽坊」だった。社長の塔本一馬氏は、数々とのしかかるプレッシャーをはねのけ、このプロジェクトに2億円の投資を決断、その後も一心に打ち込んできた。
まずは、日本人によく知られ、親しまれている音楽を必ず加え、それから西洋のポピュラー音楽と東洋の音楽を組み合わせて、斬新な世界を創造するよう要求した。CDに加えられたSMAPの『世界に一つだけの花』、中島みゆきの『地上の星』、小田和正の『ラブストーリーは突然に』などの歌曲の演奏は、日本の各年齢層における好みを分析し、厳正に選んだものだ。12人の奏者のコスチューム選びから化粧、ヘアスタイル、写真撮影は、いずれも日本人が制作したが、その目的は日本人の好みに合わせるためである。
塔本氏は、「『女子12楽坊』との出会いは、最も貴重である」という。そして「『女子12楽坊』は、日本で息の長い活動を行うのが我々の目標だ。今年11月には、彼女たちが中国でコンサートを開いたときのCDを緊急発売する。来年春には、新作CDの発売と、全国ツアーを実現させます」と、自信を持って抱負を語る。
「女子12楽坊」の日本での成功は、中日両国の協力を成功させるための一つの経験を見い出した。そして、これも一つの「文化資本」となった。それは中国にフィードバックされて、新しい「女子12楽坊」ブームを引き起こすかもしれない。なぜなら、めざましい経済成長をとげる中国では、ますます多くの人たちがこうした「癒し」の音楽を渇望する――と考えられるからである。
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