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白と青の織りなすハーモニー 「 影青蓮瓣注碗 」
 
 文・魯忠民 写真提供・中国画報出版社


磁器
北宋(960〜1127年)
高さは25.8センチ


 

 この磁器を仔細に観察すると、磁器本体の質はきめ細かく、色は純白で、全体に「影青釉」という釉薬がかけられ、滑らかでつやつやしている。

 「注壺」(酒を入れる壺)の蓋には、生き生きとした獅子の形のつまみが付いている。「注壺」の本体には、腹から足にかけて六つの「瓜楞紋」(カボチャの皮の波形に似た模様)が薄く刻まれている。注ぎ口は長く、取っ手は湾曲している。

 「注壺」を入れる受け皿は、上向きの六つの花弁を持つ蓮の花の形をしていて、満開の蓮の花に似せてある。この受け皿にお湯を入れ、「注壺」の中の酒を温める。全体の造型は優美であり、着想が絶妙で、美観も実用も兼ね備えている。

 「影青瓷」は、宋代と元代には「青白瓷」と呼ばれ、宋代、元代から明代の初期までの数百年の間、江西省・景徳鎮の窯を中心に焼かれ、南方各省の広い範囲に影響を与えた有名な陶磁器の一種である。各地で焼かれた「影青瓷」は、それぞれ長所があるが、もっとも品質が高いものとして、やはり景徳鎮の窯で焼かれた「影青瓷」を最初に挙げるべきだろう。

 「影青釉」という釉薬は、青の中に白が見え、白の中に青が浮かび、青と白の中間にある。それは「氷肌玉骨」と言われて、芸術的価値はきわめて高い。

 この「影青釉」を施した景徳鎮の「影青瓷」は、本体は純白できめ細かい。釉薬の色は、白の中に青が走り、釉薬かけた表面は透明度が高く、玉のように見える。このため「偽の玉器」とも言われる。

 宋代、元代の「影青瓷」は、陶石と陶土を調合し、鉄分の含有量が1%以下の釉薬をかけ、1200℃前後の「還元焔」で焼かれたものである。「注壺」、「梅瓶」(酒を入れる瓶)、「水注」(硯の水入れ)、香炉、香盒、燭台、筆洗い、筆おき、枕、缶、鉢、俑、動物俑など、さまざまな形のものがある。

 さらに「影青瓷」には、豊富な図案や、独特な彫刻法と「模印」(焼く前の磁器に印鑑を押すように模様をつけること)の技法もある。よく使われる図案には、遊んでいる幼児、人物や風景、動物や花、水波紋、雲紋などがあり、文字が装飾に使われることも多い。

 

 
 

安徽省博物館

 

 
安徽省博物館は、安徽省合肥市の安慶路にあり、安徽省で唯一の省クラス総合博物館である。敷地総面積は5万2000平方メートル。


 1953年4月23日、安徽省博物館の設立準備処が発足し、56年2月に、建築面積1万1580平方メートルの陳列ビルが竣工し、同年11月、正式にオープンした。

 最近の20年来、博物館は絶えず増築されてきた。1978年、300平方メートルの古生物陳列室が完成し、見学者を迎え始めた。1985年には、4156平方メートルの文化財収蔵庫が完成した。1995年からは大型のテーマ展示シリーズ「安徽古代文明陳列」の一般公開が始まった。2000年には、古生物陳列室が増築され、面積は以前の2倍に拡大し、近代的施設と展示技術が導入された。

 安徽省は歴史が長く、文化財が多い省で、全国有数の「文物大省」である。長年にわたり文化財を収集し、保護し、収蔵してきた結果、現在、安徽省博物館は23万点余りの文化財を所蔵している。そのうち、商(殷)・周代の青銅器、楚国の貨幣、漢代の画像石、文房四宝(紙、墨、筆、硯)、元代の金銀の器具、新安派の書画、徽州の彫刻、古書善本、及び徽州の契約文書などが、最も傑出している。

 現代芸術作品も、フランス在住の中国人女流画家・潘玉良の油絵、中国画、版画など4000点以上が収蔵されている。

 同博物館では「安徽古代文明陳列」「安徽古生物陳列」が常設展示されている。