中国国務院は、香港の銀行が今年1月から、香港で人民元預金、兌換、銀行カード発行、振替という四項目の個人向け人民元業務を行うことを認可した。この認可を受け、中国人民銀行では、香港の銀行に香港で人民元業務を行う際の清算ルートと還流メカニズムを提供し、中国内地と香港特別行政区の間での経済・貿易及び人員の往来に便宜をはかり、香港の人民元の秩序ある流通をサポートすることを規定した公告を発布した。
香港の中国復帰後、特に中国内地住民の香港への個人旅行が解禁された後、内地と香港住民の相互訪問や旅行による消費がますます拡大し、経済・貿易関係の往来も日に日に頻繁になり、いまでは人民元が、香港で流通する香港ドルに次ぐ第二の通貨になっている。
金融関係者は、現在の香港での人民元流通額は年間700億元で、2005年末までに千億元に達すると予測する。同時に、『より緊密な経済・貿易関係を打ちたてることに関する中国内地と香港の手配』(CEPA)の条項のさらなる細分化にともない、内地から香港に流れる人民元は、今後大幅に増加すると見られる。
しかし昨年までは、数百億元の人民元が香港で流通していながら、香港の銀行の業務範囲ではなかったため、人民元預金を受け付けることも、人民元を輸出に利用することもできずにいた。これまでの香港の人民元は、香港の外貨両替店や内地にある一部の地下銀行などのグレーゾーンで取引されていた。香港の銀行が個人向けの人民元業務を開始することで、香港の人民元に合理的でオープンな流通ルートが誕生し、地下銀行での運用とマネーロンダリング事件の発生を減少させることが可能になる。
また同業務は、香港及び内地住民の相互消費に便宜を与えるだけでなく、香港の銀行の業務範囲を広げ、競争力を強め、さらには、香港の国際金融センターとしての地位をさらに強固にすることにつながる。
これまでの長期間、香港の金融界は一貫して、香港に人民元の輸出金融センターを設立することに強い関心を寄せてきた。関係者は、香港の銀行が個人向け人民元業務を成功させ、良好な金融取引のメカニズムが形作られれば、将来的に人民元の輸出金融センターを建設する一定の条件を整えることができると見ている。
香港特別行政区の董建華長官はかつて、香港の銀行の個人向け人民元業務の実施は、香港が人民元の輸出金融センターを建設する第一歩で、香港銀行界にとっての意義は大きく、重要なスタートであり、中央政府が香港経済の回復をサポートする重要な施策であると述べた。
また、早くは2003年7月、温家宝総理も、機が熟せば香港に人民元の輸出金融センターを建設することを優先的に検討すると述べている。
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