チャイナスコープ
エイズへの偏見なくし、感染者に
やさしい社会作りを

 2003年12月1日は、16回目の世界エイズデーだった。この日、温家宝総理、呉儀副総理らが北京地壇病院のエイズ患者を見舞って握手を交わし、患者の言葉に耳を傾けた。

 この行動は、温総理の「大衆思い」のイメージを高めただけでなく、中国政府が、これまでにないほどエイズ抑制に力を入れていることの中国内外へのシグナルとなった。ちょうど、外国メディアで取り上げられたように、「温総理の病院での一時間は、中国政府がエイズ問題を重視する一歩」である。

 現在、中国には、エイズウイルス(HIV)感染者が84万人いて、毎年30〜40%増加している。国連エイズ合同計画(UNAIDS)の予測によると、この速度で増加すると、2010年には感染者は1000万人を超える。もし1500万〜3000万の中国人が感染すれば、健全な発展を続ける経済建設に大きな打撃を与えるだろう。

 この厳しい現実が、中国政府を立ち上がらせ、2003年9月の国連総会エイズ特別会議では、中国衛生部の高強常務副部長が中国政府を代表して、農村と都市の経済的余裕のないエイズ感染者に無料で治療を行うと約束した。2003年末までに、約5000人の感染者が無料治療を受け、2004年には、条件に合うすべての感染者が治療を受ける見込み。

 政府の公約は、貧困地域のエイズ患者に対する経済援助、その子女の学費免除、エイズに関する法律・法規のさらなる改善、エイズ患者の合法的権益の保護、社会的差別への反対などに及ぶ。

 同時に政府は、エイズの重点対策地域に127の総合モデル地区を設け、一部の地域ではコンドームの普及活動を展開している。注射器のマーケティングと母子感染抑制などの分野でモデル事務を進めることで、全国的にエイズ検査システムの雛型が形作られてきている。

 このような施策により、中国でのエイズ抑制が可能なものとなる。政府の対策が力強い模範となり、大衆がエイズ患者を次第に自然に受け入れる作用が働くとみられ、問題解決のカギは、これらが早急に実行に移されるかどうかにかかっている。

 また、エイズの予防は全社会の責任であり、政府は、政治家、企業家、社会団体、個人などの各種の社会勢力をさらに動員、集中させ、エイズ患者の日常生活の必要性を出発点に、彼らが自信と自尊心を持って生活できるよう援助を行う必要がある。

 エイズ問題は、わずか一回のキャンペーンで解決できるものではなく、長期的な対策が求められている。