2003年11月27〜29日、中国共産党中央委員会、国務院は北京で、中央経済事務会議を開き、2004年経済事務の総合的要求を提出した。この要求には、例年との明確な変化があり、これまでの「持続的でスピーディーな健全さ」を基本としつつも、「協調」という言葉を加え、国民経済の持続的でスピーディーな、協調による健全な発展と、社会の全面的進歩という新思想が確立した。
改革・開放の25年間、中国経済は奇跡的な急成長を遂げている。しかし、改革が深まり、衣食に満ち足りた社会が整うにつれ、経済成長によって生まれた社会問題が日に日に表面化し、産業間、都市・農村間、地域間の矛盾が大きくなっている。
根源をたどると、社会と経済の成長過程に生まれた多くの矛盾は、すべて「三農」(農民、農村、農業)問題と直接的、間接的に関係している。これらに対応するため、今回の会議では、都市・農村の成長の協調関係を重視し、ますます「三農」問題に力点を置き、「三農」問題の解決を今後の経済成長のための最重要課題とすることを明確にした。
2003年、各地の経済は、引き続き高成長を保ったが、経済力の基礎、客観的環境、改革・開放のスピードが地域によって異なるため、地域間格差は、さらに拡大する様相である。会議では、2004年の経済政策の重点を東北経済の振興と西部大開発に置き、貧困な農村地域、現在開発に力を入れている西部、黒竜江省など東北地方の歴史ある工業基地への資金投入を増やすこと、地域間の経済成長格差を縮小し、東(沿海)、中、西(内陸)部の経済を連動させ、優勢な資源を十分に活かし、協調的な発展を進める局面を徐々に作り出すことを確認した。
このような基本スタンスのもと、会議では、経済と社会の協調成長を保証するため、就職、教育、生態環境、医療、公衆衛生、社会不正などの問題を徹底的に解決する必要性を議論した。
これらの取り組みは、次第に経済成長の不均衡、不協調を解消し、経済成長の質と効率を向上させる方針を表している。
現実に、2003年10月に中国共産党第16期3中全会で採択された『社会主義市場経済体制の改善の若干問題に関する中国共産党中央委員会の決定』では、「統一して計画し、個々に配慮し、協調的に成長する」基本方針を打ち出している。今回の会議は、党の第16期3中全会の精神を具体化したものである。
単純な経済成長から、全面的、協調的、持続可能な成長の追求への変化は、成長観の重要な進歩である。新たな成長観は、経済成長至上主義の路線を変更し、中国の新たな指導グループが、地域間、都市・農村間、それに経済と社会のその他の分野間の協調成長の追求に政策を転換したことの表れである。
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