農村の発展と農民生活の改善は、一貫して国が注目する重要課題である。
1982年以降、中国共産党中央委員会と国務院は共同で、五つの農村経済の発展に関する「一号文書」を発布し、農村改革と農業生産を促進し、農業が持続的に発展し、農民の収入が普遍的に増加する局面を作り出そうとしている。
ところが、経済発展につれて、農業と農村に多くの新たな矛盾や問題が出てきた。これらの問題は、主に農民収入の増加の遅れに起因している。1997年以降、農民収入は、7年連続で低成長を続け、穀物の主要な生産地と多くの農家の収入は増減を繰り返している。都市と農村の収入格差も拡大の一途をたどり、1980年代半ばの1・8:1から、3・1:1に拡大した。
全人口の70%以上を占める農民の収入増加が遅れれば、農民の生活だけでなく、食糧生産や農産物の供給、さらには国の国民経済成長に影響が及ぶ。これは経済問題であるだけでなく、政治問題でもある。
そのため、現在の農業や農村の経済を事実に基づいて分析し、『農民の増収を促進する若干政策に関する中国共産党中央委員会と国務院の意見』が発布された。
同意見は、農民収入の増加の重要性と緊急性を強調し、農民の増収を円滑に進める総体的要求を明確にしている。これは、2004年に発布された最初の文書のため、通常、「一号文書」と呼ばれる。
「一号文書」は、農民の増収を重点目標として、農業税税率を引き下げ、葉タバコ以外の農業特産税を取り消し、農民に直接補助を与える優遇政策を出した。
統計によると、今年、農業税税率を一ポイント引き下げることで、農民の負担を約70億元減らすことができ、農業特産税の取り消しにより、48億元の負担軽減となる。この他にも、農民に対する直接資金補助は、百億元を下回らない。
また、農業と農村改革の市場化の方向性をさらに明確にし、農村の第二次、第三次産業の発展、農民の就業機会の拡大を強化する。
「一号文書」ではさらに、農村の改革を推進し、土地徴用制度の改革を加速し、出稼ぎ農民の合法的権益を十分に保障するなど、一連の重要な政策と措置を提出した。
農民の増収を農村の経済活動の基本とし、中国の「三農」(農業、農村、農民)問題における「多く与え、少なく取り、活性化する」の基本思想を反映している。同時に、農民の経済的利益と農民の自主経営権を尊重し、農民の穀物生産を強制はしていない。
一方で、穀物生産地域の農民収入を増やすために、一連の政策と措置を制定することで、農村の経済活動の「人間本位」を体現している。(2004年4月号)
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