映画 『盲井/Blind
Shaft』
本作品は、ある人間的な「盲井」(見えない暗闇)を描いたヒューマンドラマだ。2002年老舎文学賞を受賞した劉慶邦の小説『神木』を改編した。
映画は、ある炭鉱で起こった出来事を表している。とはいえ、それは生活の苦しい炭鉱労働者の話ではなく、鉱山に住みつき、暇を持て余していた2人の男の物語である。彼らは、出稼ぎにきた人をだまして鉱山に連れて行き、事故を装い炭坑内で殺害、その後、被害者の家族を装って、鉱山主に賠償を請求するのだった。彼らはつぎつぎと人を殺し、金を手にして、その良心をだんだんと失っていく……。
しかし、ある少年を標的にすえた後、謀殺者の1人に良心が芽生えはじめる。少年を殺害しようとする残忍な心と、助け出そうとする良心との間でジレンマに陥るのである。やがて謀殺者は2人とも、深い炭坑内で死を迎えるのだった――。
人間の内面にひそむ邪悪な心と暗闇を、深く描き出した映画である。しかし、そのラストには人間らしい良心の輝きを与えている。特筆すべきは、坑内での演技が、すべて実際の現場でのロケによるものだったこと。坑内はつねにガス爆発が起きる可能性があったし、坑内ロケが10数時間に及ぶこともざらだった。製作中の苦労と危険の度合いは、「筆舌に尽くしがたい」といわれている。
現在ドイツに滞在する中国人監督・李楊の映画処女作。第53回ベルリン国際映画祭で芸術貢献賞(銀熊賞)を、ニューヨークの第2回トライベッカ国際映画祭で最優秀脚色賞、第27回香港国際映画祭で火鳥銀賞、フランスの第5回ドーヴィル・アジア映画祭で最優秀作品賞・監督賞・主演男優賞(王保強)など5つの大賞を、それぞれ獲得した。(監督・李楊 出演・王保強、李易祥、王双宝)
テレビドラマ 『栄誉』
1990年代末、中国の中原市で連続銀行強盗事件が発生した。当時の公安局長は引責辞職し、主人公の林敬東が身の危険を冒して、中原市の公安局長に就任した。やがて部下の刑事たちが強盗犯を逮捕、強盗犯は裁判にかけられた。そのとき林敬東は、事件の背後にひそむさらに大きな犯罪に気づく。容疑者であり主犯である袁成武は、逮捕を逃れてアメリカに逃亡していた。林敬東は袁成武のゆくえをつかんだ。そして警察としての誇りにかけて袁成武に接近、心理作戦を講じて彼をついに逮捕したのである。
数年前、河南省鄭州市で実際に起こった銀行強盗事件をもとに、編集された連続テレビドラマ『栄誉』(全22回)の放送は、大好評を博した。精彩を放ったのは、真実を描いていたこと。主なキャストに選ばれた牛振華、于娜、石兆銷、于小慧などの俳優以外のほとんどは、鄭州市公安局の実際の警官がそれぞれの役で出演している。
山を封じて銀行強盗を捜査する大場面では、河南省から合わせて200台あまりものパトカーと3000人以上の警官、2台のヘリコプターが出動した。さらに著名監督・呉宇森を招き、アクションシーンを専門的に演出してもらうという手のこみよう。それは近年、数多くある刑事関連のドラマや映画の製作では初めてのこととなった。ドラマ全体では、のべ5000人もの警官と、のべ600台あまりものパトカーが投入された。また、当時の状況をリアルに再現するために、6回分のドラマはアメリカで撮影された。この凶悪犯を追って国境を越えるというプロットにより、外国の風情を紹介するとともに、外国の同業者たちに中国警察の「英雄色」を表した。国際協力の製作において、中国警察がもつ独特の風采が反映されたのである。
ドラマの主人公である林敬東は、俳優の程Uが演じた。自然な演技で、公安局長の威厳を備えながら、その人物らしさを十分に表していた。(監督・成浩 出演・程U、于小慧、牛振華、石兆銷)
ベストセラー 『中華伝統礼儀』
中国は古来「礼儀の国」と呼ばれてきた。「礼」は中国人が社会関係を処理する上で、きわめて重要な考え方の出発点となっている。中国の儒家は、礼を修身の最高の境地としており、同時にそれを「人となる」最低限の要求と考えている。
長い社会の発展において、中国人は一連の「礼儀」を確立、それをしだいに完全なものにして、東方文明の特色ある礼儀文化を形づくった。「講信修睦」「律己修身」「仁愛孝悌」「尊師重教」「自謙敬人」など、これらは疑いなく中華伝統礼儀文化の精華である。そしてそれは、中華民族にすばらしい言葉や美しいふるまいを与え、人間関係を円滑にし、自信にあふれる気概をもたらした。また、それは中国社会に数千年間、根付いてきただけでなく、「衣冠文物」として、朝鮮半島や日本、ベトナムなどの地へも伝わり、今日にいたるのである。
時代の変遷にしたがい、元来の礼儀作法も、そのいくつかは現代社会のリズムに沿わなくなってきた。しかし礼の精神は、すでに深々と中国人の脳裏に刻まれている。
本書は中国の伝統礼儀を記録するにあたり、その格言にイラストを添えている。そのため読者が気楽な気持ちで、中国伝統の品格に親しむことができるのだ。 (彭林・編集 西周・絵 北京燕山出版社)
『毛沢東伝』
2003年は、毛沢東生誕110周年の記念の年であった。年末に中央文献出版社が出版した『毛沢東伝』により、新中国建国後の後半部分がついに世に出た。本書の前半部分はすでに1996年8月に出版され、読者の好評を博している。後半部分の完成で、本書の編集作業がついに円満なまでのピリオドを打ったのである。
本書の内容は、おもに中国中央オオ案館に保存されている毛沢東の建国後の原稿、講話、談話の記録や中国共産党中央文献、関係会議記録などに拠っている。また『人民日報』、新華社電などの報道資料、関係書籍や資料、毛沢東と直接関わりのあった同僚たちの回想録や彼らへの訪問記録などにより、編集されている。
内容豊富で、資料は詳細・確実である。毛沢東研究者や毛沢東を知りたい人々にとって、本書はきわめて得がたい書である。(中央文献出版社)
『小店物語―北京小店地図』(ブティック物語―北京ブティック・マップ)
忙しい都市生活においては、人々はいつも緊張したリズムを強いられ、疲労している。休日には友人たちと約束し、好きなように街をぶらついたり、店やブティックをのぞいたりするのが、いまどきの若者たちのリラックス方法だ。
『小店物語』(ブティック物語)はまさに、そんな北京のブティックに楽しみを探すのが好きな人のために用意された一冊である。
北京の特徴のあるブティックを、マップ(地図)方式で8本のバス路線にそって紹介、その他の地区に散在するブティックも、合わせて収録している。各路線の異なる角度から、各地区の北京の風情をまとめて紹介するほか、数多くの現場写真も掲載している。
それらの美しい写真はブティックの玄関や商品の真実を写し出し、読者にさらにリアルな印象を与えている。こうしたディティールを重視したのが、本書最大の特徴である。 (人民交通出版社)
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