クコとクルミと豚肉の炒め
杞桃肉丁
写真・文 馮 進
 


  【材料】
(3人分)
クコ…………………………100g
クルミ…………………………100g
豚肉(赤身)…………………300g
ピーマン………………………1個

タケノコ………………………
50g
卵白……………………………1個分
鶏がらスープ………………
100cc
料理酒、塩、片栗粉、 植物油
各適量

 

編集部の侯若虹さん

 家庭料理は、本誌編集部の記者・侯若虹さんのたしなみである。煮たり、焼いたり、炒めたり、油で揚げたりする楽しさは、彼女にとってじつに面白みがあるという。コンロに熱気が立ち上り、中華鍋に油を熱して材料を加えるとジャーッといって、炒め物からプンプンとおいしそうな香りが漂う。作る者をうっとりと陶酔させるのである。

 侯さんは、実直でよく気がつく人だ。仕事はもちろん、人とのつきあいが真面目で、料理の時にもその本領が発揮される。今回、侯さんが紹介してくれた「杞桃肉丁」(クコとクルミと豚肉の炒め)は、色、香り、味の三つがそろい、さらに薬膳の効果もあるという優れた料理だ。

 主な材料は、クコとクルミ、ピーマン、タケノコ、豚肉の赤身。クコは、おもに中国西北部の寧夏回族自治区、甘粛省などで産出される。漢方薬ではよく見ることのできる、一種の「栄養剤」である。筋骨を丈夫にし、老化を防ぎ、カゼを治し、滋養と強壮に効能があるという。北京では「長生きに効く」として、クコを酒に漬け、毎日少量をたしなむお年寄りが多くみられる。北京特産のアルコール度数52度の二鍋頭に漬けると、その効果がさらに高まるのだという。

豚肉の赤身を、さいの目に切る
クコは熱湯を加えてもどす
ピーマンは粗みじんに、タケノコはさいの目に切る
クルミを油で炒める
材料を合わせ、手際よく炒める

 明代の薬学書『本草綱目』では、「生のクコを五升つぶし、絹の袋に入れ、酒二斗のなかに浸す。密封して27日。(それを飲めば)虚弱体質を補い、熱を取り、筋肉を強くし、顔色をよくし、健康にする。肝臓の機能をよくし、涙目を治す」という内容が記されている。クルミをよく摂取すれば、大脳の働きにもよいという。この料理には、まさにクコとクルミの栄養分と、薬用効果が含まれている。おいしい料理を味わうとともに、色と香りを楽しんで、また体を丈夫にする効能もある。

【作り方】
 @豚肉の赤身はさいの目に切り、料理酒と塩、卵白、片栗粉を合わせた下味調味料によくまぶす。

 Aクコは熱湯を加えてもどしておく。

 Bフライパンに油を熱し、@の豚肉を入れて炒める。豚肉の色が白っぽく変われば、色紙切りにしたピーマン、さいの目に切ったタケノコを加え、サッと炒めたら取り出しておく。

 Cフライパンに油を熱し、殻と渋皮をとったクルミを炒める。こうばしい香りがたったら、取り出しておく。

 Dフライパンに油を熱し、鶏がらスープ100CC、料理酒15CC、塩、それに炒めた材料とクルミ、クコを加えて、手際よく炒める。

 E仕上げに水溶き片栗粉を加え、とろみをつけて、サッと炒めたらできあがり。