チャイナスコープ
基本的人権の尊重めざし改憲で「人間本位」明確に
 


 改憲問題が昨年、中国の政治分野で重要な話題となり、国内外の世論の注目を集めた。初期の社会各界からの意見収集、改憲案の提出、今年の全国人民代表大会での最終審議、採択を経て、ようやく憲法の今回の改正が実現した。

 中国の憲法は1954年に制定され、99年までに数回の改正が行われた。今回は、これまでと比べ多くの重要問題に及ぶだけでなく、「人間本位」をさらに重視するようになった。

 改憲は、「三つの代表」の思想を前文に入れ、「戒厳」を「緊急事態」に変更するなど、13項目におよぶ。しかし最も注目すべきは、社会各界が最も関心を寄せる公民権の確立、政府権力の範囲に関する内容の法制化である。人権尊重、社会保障、公民の合法的私有財産不可侵、土地徴用の補償などの内容は、公民の最も重要な基本的権利である。

 「政府が人権を尊重し、保障すること」は、今回の改憲のポイントであり、中国で初めて人権擁護が憲法に明記された内容である。

 人権の尊重と擁護は、中国が一貫して主張してきたものだが、今回は憲法の形でその方針を明確にした。これは、現在の中国が全国の13億人の権利を保護する能力があることを証明するだけでなく、社会全体の公民権の尊重と保護を強化することになる。また、中国の人権事業全体の発展を促進し、法による国家管理と徳による国家管理に利するものである。

 同時に、「人権」の概念が憲法に入れられたことは、「人間本位」が、国の価値観となったことの証明であり、人権を尊重し、人権を擁護することが、国家機関の活動の準じるべき規則になる。そのため、人々の観念や立法の指導思想を含む関連の国家制度などは、状況に応じて変化していくだろう。

 人権擁護に呼応し、健全な社会保障制度の確立を憲法に明記したことは、中国社会の発展と文明の進歩の重要な指標であり、基本的人権の擁護制度を履行する上での重要な部分だと言える。

 就業と社会保障は、多くの大衆が生活していく上での基礎であり、同問題を憲法に入れることは、中国が経済体制改革を深化させ、社会主義市場経済体制を改善するための要求であり、社会の安定を保障し、国家の長期的な安定を守る重要な保証である。

 大衆にとっての最大の政治とは、富を創造し、富を保護することである。そのため、「公民の合法的な私有財産の不可侵」「国による土地または公民の私有財産の徴収または徴用を行う際には補償する」などの条項が憲法に入れられたことは、政府の「人間本位」思想を表している。