インターネットカフェに入りびたり、成績が大きく下がってしまった山東省済南市の15歳の少女がいた。彼女は、それが原因で父親からひどく叱られ、なんと、狂言誘拐を自作自演し、両親を脅すという行動に出た。その後、警察による一カ月以上の捜査の結果、ネットで知り合った友達の家でようやく発見された。
黒竜江省の13歳の少年は、インターネットゲームでの「殺し合い」で対戦相手にかなわず、家のガスパイプを切断して、自殺を図った。幸い、母親が異常を発見して、大事には至らなかったが、このような例は少なくない。
インターネットの発展が、未成年者の知識や情報の入手、潜在能力の刺激、余暇の娯楽に、新しい場を提供している。しかし同時に、腐敗した文化や有害な情報もウェブを通して広がり、彼らの心をむしばんでいる。
少なくない未成年者が、「ネット中毒」にかかり、気持ちが常に落ち込み、孤独や焦りを感じるなどの心の病にかかっている。上海のある大学の統計によると、80%の中退者は、インターネットにおぼれ、学業をおろそかにしたとの結果が出ている。
もちろん、彼らの健全な成長は、早くから重要視されてきた。1991年、『中華人民共和国未成年者保護法』のほか、『中華人民共和国未成年者の犯罪予防法』が公布されたことで、文化作品には、暴力、性、賭博、テロ活動など、心身の健全な成長に悪影響を与える内容を禁止することが、明確に規定された。
新たな社会環境に適応するため、中央政府は2004年3月、『未成年者の思想道徳の形成をさらに強化し改善することに関する若干意見』を発布し、小中高校の周辺200メートル以内には、インターネットカフェやゲームセンターを開設してはならないと規定し、さらに、「国家宝くじ公益基金」のうちの一定額を未成年者が集う場所の設立に投入することを決めた。
同時に、全国各地の博物館、記念館、美術館などの公共文化施設は、今年5月1日以降、無料で未成年者に公開される。
河北省、天津市、内蒙古自治区などの50以上の都市では、10万人以上の社区(コミュニティー)ボランティアを組織し、大人と未成年者が一対一のペアを組み、未成年者が学習や生活の中でぶつかる問題に、教育的な助けの手を差し伸べ、世界観、人生観、価値観の形成過程でのアドバイスを行うシステムが作られた。
現在、中国の18歳以下の未成年者は、約3億6700万人で、総人口の28%を占める。彼らの健全な成長は、膨大な数の家庭の幸せと社会の安定に関係してくるだけでなく、中国の今後の発展の継続性にも大きく影響する。
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