北京の初夏の夕暮れ時は、昼間の猛暑が嘘のように涼しくなり、気持ちいい。
夕涼みがてら、什刹海(シーチャーハイ)周辺を歩くと、紫色のハスの花や、ピカピカ光る雑貨を売る行商人と出会う。個人営業のマッサージ師や理髪師が、よれよれになった白衣をはおり、屋外のリラクゼーション効果をフル活用して仕事をする光景を目にすると、私までなんだかほっとする。
そんな什刹海も、最近では、おしゃれなスポットとして注目を集めているのに、ちょっとわき道にはいると、半ズボンに「トップレス」のおじさんたちが、うちわ片手に歩いていて、生活感がただよう。
ある通りは、いつも「屋外麻将(マージャン)場」となって、界隈の人たちが集まって来る。パイを混ぜながら、夕方のひと時を楽しんでいるこの人々は、屋外の「特権」を満喫する方法を、一番知っている人たちに違いない。(写真/文 佐渡多真子)
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note
什刹海(シーチャーハイ)周辺には、昔ながらの胡同(横町)や王府(昔の皇族の邸宅)が残り、人力三輪車での観光も楽しめる。ここ数年は、おしゃれなバーも相次いで開店した。
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profile
佐渡多真子(Tamako Sado )
1990年、フリーカメラマンとして独立し、日本の雑誌などで活躍。95〜97年、北京大学留学。その後、北京を拠点とした撮影活動を続けている。写真集に、『幸福(シンフー)?』(集英社)、『ニーハオ!ふたごのパンダ』(ポプラ社)がある。 |
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